受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

千葉市立稲毛国際中等教育学校

2022年9月26日(月)

未来を担うグローバル・リーダーを育成する、千葉県初の公立中等教育学校が始動

 「地域・世界・未来を切り拓くグローバル・リーダーの育成」をめざし、千葉県初の公立中等教育学校として2022年度に開校した千葉市立稲毛国際中等教育学校。その母体である市立稲毛高等学校は2007年に附属中学校を併設し、中高一貫教育を行ってきましたが、2024年度の入学者を最後に高校から募集を停止し、段階的に6年完全一貫の教育体制に移行します。

 オンラインで開催されたこの日の説明会は、学校紹介動画が上映された後、保護者から寄せられた質問に教頭の河邊圭介先生が答える形で進行しました。

 同校の教育の最大の特色は「Inage Quest」と呼ばれる探究活動です。「課題設定→情報収集→整理分析→まとめ・表現」という流れで、発達段階に応じてさまざまな課題に向き合い、社会で必要とされる力を養っています。これまでも、附属中学では「iちばn(一番)プロジェクト」「道プロジェクト」「成田プロジェクト」「東京ABCプロジェクト」といった日本の伝統文化や地域への理解を深めるための活動を行ってきました。一方、高校では千葉市の諸問題について提言する「千葉市創生プロジェクト」や、ゼミナール形式の「SDGs(持続可能な開発目標)リサーチプロジェクト」などに取り組んでいるそうです。体育館の踊り場から生卵を落下させて、割れないような仕組みを考える「Egg dropコンテスト」もそうした探究活動の一つ。グループで多種多様な体験をしながら、理数的な発想力・思考力とともに論理的な表現力も身につけていきます。

 ハイレベルな国際教育・英語教育に力を注いでいるのも特徴です。現在、中高合わせて10名の外国人教員が勤務する同校では、日本人教員による指導も含め、多くの英語の授業がオールイングリッシュで行われています。さらに、5・6年次の選択科目として、中国語・ドイツ語・フランス語の授業が週2時間あり、どの言語もネイティブ教員が指導します。外国の中高生との交流を図る行事や交換留学制度のほか、5年生全員を対象とするアメリカ、カナダ、オーストラリアでの海外語学研修、4年生全員を対象とする福島県のブリティッシュヒルズでの英語合宿も実施される予定です。

 カリキュラムに関しては、中等教育学校のメリットを生かして、前期課程(中学)で基礎力を徹底的に鍛えます。英語と数学の前期課程3年間の授業時間数は、それぞれ標準的な公立中学校より100時間以上多く設定されています。「英語と数学はどちらも20名前後の少人数制のクラスで、数学は3年次から習熟度別授業を行います。十分な授業時間を確保したうえで、3年次からは高校の内容も先取りで学びます」と河邊先生。そのため、後期課程(高校)の5年次・6年次では多彩な科目から興味・関心や自分の進路に対応した学びの選択が可能となります。河邊先生は「本校は英語教育のイメージが強い学校ですが、探究活動の充実を図り、論理的な思考力を育てていく活動も増えています。文系・理系に偏らない力をつけていくことが、本校の新たな視点になっています」と語りました。

 定期考査は年4回から8回に変更し、学習の定着を確認しながら、よりきめ細かく、生徒一人ひとりに対応した指導を実施しています。また、学習支援プラットフォームの導入により、生徒・保護者・学校の3者が6年間の学びの記録を共有することで、生徒の学校生活をしっかりと支え、学習習慣の確立や学びの調整力を育んでいます。

 2023年度入試の募集定員は160名で、男女別の定員数は設けていません。河邊先生からは、「本校の適性検査は、日々の授業の成果を測るものとなっていますので、小学校でのさまざまな活動を大切にしてください」とのメッセージが送られました。

イメージ写真 2023年冬から2024年冬ごろまで、校舎や体育館などの大規模改修工事が実施されます。工事期間中は、ICT環境が整備された旧市立高洲第二中学校の校舎と、現グラウンドに建設する仮設校舎で生活し、部活動などは近隣のスポーツ施設を使用する予定です

www.city.chiba.jp/school/hs/001/index.html 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ