理科・情報・探究を柱に、体験を重視した教育プログラムで個性と適性を引き出す

　東京電機大学は「実学尊重」という建学の精神の下、技術で社会に貢献する人材の育成をめざす理工系大学です。その系列校である東京電機大学中学校・高等学校では、理科・情報・探究の三つを柱に、体験を重視した教育プログラムで生徒一人ひとりの個性と適性を引き出す学びを実践しています。

　東京電機大学の初代学長で、ファクシミリの生みの親として知られる丹羽保次郎先生は、「よき技術者は人としても立派でなければならない」ということばを残しています。これを受け、説明会の冒頭であいさつに立った校長の平川吉治先生は、「本校では『人間らしく生きる』という校訓を掲げ、生徒の人間性の向上を図っています。未来が予測困難な現代においては、個性を磨き、自分の価値観をしっかりと持つことが大切です。本校は生徒の学ぶ意欲を後押しし、一人ひとりが自分の意思で物事を選択し、その決断に自信を持って人生を歩んでいけるような人間に成長してほしいと願っています」と語りました。

　続いて、入試・広報担当の阿部裕之先生から教育内容について説明がありました。同校では中高6年間を3期に分けた中高一貫教育を実施し、中学では1クラス約30名の少人数制できめ細かい指導を行っています。まず中1・2については基礎力養成期と位置づけ、自立学習を確立させます。中3・高1では習熟度別クラスを設けて効率的な授業を展開します。そして、高2からクラスを文系と理系とに分け、高3ではたくさんの自由選択科目を開講し、進路別に演習中心の授業を実施して志望大学への合格をめざします。例年、生徒のおよそ80％は他大学を受験しますが、学内推薦で東京電機大学に進学する場合も、国公立大学の併願は可能だそうです。

　同校の特徴の一つは理科教育です。中1から高2までの5年間で100種類以上に及ぶ実験や観察を行うなど、物理・化学・生物・地学の4分野において自然科学本来の魅力を伝える工夫がなされています。加えて、実験器具を手作りする機会も多く、中2の物理では、生徒は実験器具や試料を保管する「実験BOX」を自作します。この取り組みについて阿部先生は、「器具にはそれぞれ必要な仕様・仕組みがあることを理解し、物への興味を深めてほしいと考えています。また、グループ作業とは異なり、個々の作業では誰もが主体的に試行錯誤して手を動かすようになるので、真のアクティブ・ラーニングになります」と話します。授業はチームティーチング制を採用しており、教員と実験補助員の2名体制で行うため、安全性への配慮や生徒へのサポート体制も行き届いています。

　創立当初からプログラミング教育にも注力しており、3室のコンピュータ室に100台のパソコンが設置されています。情報教育の授業では「表現力を鍛えること」が目標とされており、生徒は中1からプログラミングの基礎を学んで教育用ロボットを動かす実習に挑みます。それを通して自分のアイデアが実現する感動や、人を楽しませる喜びを体験するのです。学年が進んだ高1では、高水準汎用プログラミング言語「Python」によるプログラム演習にも取り組みます。

　このほか、独自教科として行う「探究」も特色の一つです。中学では週1コマ、探究の授業が行われていますが、その専門教員が配置されています。生徒はさまざまなテーマについて「課題認識→情報収集→分析・思考→まとめ・表現→新たな課題認識」というサイクルを繰り返し、これからの社会で求められる探究心や課題解決力を養成します。探究学習は授業内にとどまらず、林間学校や修学旅行などの行事とも連動して、教科横断的に学ぶ機会を設けています。阿部先生は「遠足や修学旅行では、集合から解散までの計画を生徒自身がグループで立てて行動します。計画通りに進まないこともありますが、そのなかでみずから考え、数々の経験を積み重ねながら、生徒たちは徐々に自立する力を備えていくのです」と結びました。

JR「東小金井」駅から徒歩5分。充実した運動施設に加え、約6万冊の蔵書を誇る図書館も備えています

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