受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京女学館中学校

2022年10月6日(木)

英語で道徳を学ぶ授業を導入し、国際社会に必要な「包摂的な指導力」を養成

 東京女学館は、「諸外国の人々と対等に交際できる国際性を備えた、知性豊かな気品ある女性の育成」をめざし、伊藤博文、渋沢栄一といった各界の要人から成る「女子教育奨励会」によって1888年に設立されました。建学の精神を今に受け継ぎ、「高い品性を備え、人と社会に貢献する女性の育成」をめざしています。

 説明会であいさつに立った校長の渡部さなえ先生は、「本校が考えるリーダーシップとは、いつも1人のリーダーが牽引するのではなく、それぞれが得意分野を生かしながら、時にはリーダーを務め、時にはサポート役に回る『インクルーシブ・リーダーシップ』です。行事や部活動など多様な機会を通して、一つの課題をみんなで共有し、主体的な視点を持って解決する『包摂的な力』を培ってほしいと願っています」と話しました。

 そのために、同校では体育祭や記念祭(文化祭)といった学校行事はもちろん、模擬国連大会への参加、ビオトープの管理なども「実行委員会方式」(スタディ・アジェンダ)をとり、生徒主体で運営しています。また、今年度から中2・3の道徳・理科・英語の授業に「グローバルコンピテンスプログラム」を導入しました。これは、外国人教員とクラス担任のチームティーチングの下、アクティブ・ラーニング型の授業をオールイングリッシュで行い、国際社会で生きていくのに必要な知識、コミュニケーションスキル、異文化を理解しようとする精神などを養うプログラムです。同校の教育目標である「人と社会に貢献する女性の育成」に沿ったもので、こうしてインクルーシブ・リーダーシップの基盤を築いていきます。

 学習指導については、進路指導部の井上聡先生が紹介しました。成長段階に応じてきめ細かい指導を行っている同校では、早い段階で学習習慣や生活習慣を身につけさせるため、中1から「フォーサイト手帳」というスケジュール帳を活用しています。また、年に数回、面談を実施しているほか、今年度からはOGのチューターによるサポート制度も開始され、手厚いフォロー体制がさらに充実しました。

 主要教科の基礎力向上を図る取り組みも強化しています。英語は中学で少人数での完全習熟度別授業を実施し、スキットづくりやプレゼンテーションなどのアクティビティーで生徒の主体性を引き出しています。グローバル教育にも注力しており、アメリカ文化研修(高1・2の希望者)、東南アジア文化研修(中3~高2の希望者)、韓国文化研修(中3・高1の希望者)など、海外で学ぶ機会も豊富です。

 基礎・基本を重視する同校では、単元ごとに数学・英語の確認テストや小テストを頻繁に行っています。特に、数学では授業やテストで間違った問題を「訂正ノート」に解き直して提出させ、生徒一人ひとりの理解度や進捗状況を把握しています。このほか、始業前・放課後・長期休暇中には、無料の学習講座や体験講座が年間200以上も開講されます。基礎から発展までさまざまなレベルの講座のなかから自分に合ったものを受講でき、検定試験対策講座もあります。

 さらに、今年度からは高1・2で新カリキュラム「総合的な探究」がスタートしました。2年間かけて研究論文に取り組み、大学の研究室訪問、大学教授の出張授業受講、グループワークでの意見交換などを経て、研究論文を作成し、発表します。

 国際的視野を養う目的で、2004年に国際学級が設置されたことは同校の大きな特徴です。このクラスでは、日本人教員と外国人教員の2人担任制の下、英語をツールとしてプレゼンテーションやエッセイライティングの力を育む授業、英語劇などを通じてインクルーシブ・リーダーシップを育むイベント、留学プログラムなどにより、生徒一人ひとりの語学力向上と国際感覚の養成を図っています。

 こうした一連の取り組みは大学合格実績にも結実し、2022年度は東大を含む国公立大学に7名、早慶上理ICUに66名が現役で合格しました。

 2023年度入試では、一般学級入試の募集人員に変更があります。2月1日午後が40名から35名に減り、2月2日午後が30名から35名に増えることが伝えられました。

イメージ写真 渋谷区広尾の各国大使館が立ち並ぶ閑静な場所に位置しています。校内には約6万冊の蔵書を誇る図書館、室内温水プール、フルコンサートピアノを備えた記念講堂、ビオトープなどがあります

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