受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京都立桜修館中等教育学校

2022年10月8日(土)

「真理の探究」をキーワードに独自の論理学習や国際理解教育を実践し、世界に役立つ人材を創出

 目黒区にある東京都立桜修館中等教育学校の前身は、1929年に設立された旧制東京府立高等学校です。戦後、東京都立大学附属高等学校となり、2006年に完全中高一貫の中等教育学校に改組されました。「高い知性、広い視野、強い意志」を持った、国際社会を担う人材の育成をめざしています。

 オンラインで開催された説明会で校長の石崎規生先生は、「本校では6年間を見通した系統的な進路指導を実践しており、中学は自己を見つめる時期と位置づけています。生徒は『真理の探究』という校訓の下に学問を究め、論理的な思考能力や広い視野を身につけながら、それぞれの将来を考えていきます」と語りました。

 同校の教育の柱となるのが「論理学習」です。中学では「数学で論理を学ぶ」「国語で論理を学ぶ」という授業を設定し、アクティブ・ラーニング形式で思考力を鍛えます。このうち数学では四則演算のパズルを活用したり、日常のシーンにあるものを題材にしたりしながら数量関係を理解し、論理的考察力を培います。一方、国語ではディベートなどを取り入れて、筋道を立てながら自分の考えを表現できる力と、幅広い視野を持って相手の話を理解する姿勢を養います。論文作成にも取り組み、執筆のための基礎力を段階的に磨いていきます。こうした学びの集大成として、5年生では各自が選んだテーマについて研究し、5000字に及ぶ論文を書き上げます。さらに、6年生ではその論文の概要を英訳し、研究論文集としてまとめます。石崎先生は「一連の探究学習により、困難な課題に主体的に取り組み、粘り強く解決していく力が身につきます。ここで得た学びを、将来の進路選択につなげる生徒も少なくありません」と話しました。

 もう一つの柱である国際理解教育も充実しています。Pre-Empowerment(1年生)、留学生と英語漬けの時間を過ごす国内英語合宿(2・3年生の希望者)、日本文化に触れる関西研修旅行(3年生)、シンガポールを訪れる海外修学旅行(5年生)、リーダーシップ育成アメリカ研修(4・5年生の希望者)などがあり、異文化への理解を深めると同時に、コミュニケーション能力を高める貴重な機会となっています。新型コロナの影響で一時中断していた渡航プログラムですが、今年から徐々に再開しているそうです。加えて4・5年生では週2時間、自由選択科目として英語以外の言語を学ぶ外国語講座を開講。フランス語・ドイツ語・スペイン語・ハングル・中国語から興味のあるものを選択できます。

 このような特色ある教育活動と発達段階に合わせた進路指導により、例年高い大学進学実績を挙げています。2022年春は既卒者を含め、国公立大学に62名が合格。早稲田大学には40名、慶應義塾大学には23名など、最難関私立大学にも多数の合格者を輩出しました。文系・理系の割合はほぼ半々で、女子の4割以上が理系を選択している点も特徴です。

 最後に、生徒が制作した学校紹介動画により、行事の様子が紹介されました。同校では都立大学附属高等学校の時代から「自由と自治」を尊重する校風で、生徒が主体となって熱心に学校行事や部活動に取り組んでいます。なかでも三大行事のクラスマッチ(体育祭)・記念祭(文化祭)・合唱コンクールは、いずれも高校生の幹部生徒が企画・運営し、学校全体で盛り上がる自治活動です。「今だからこそできる最高の行事を」という生徒の強い思いの下、伝統の灯を絶やさずに続けられているそうです。石崎先生は「行事やクラブ活動では、クラスや学年を超えて多くの生徒と交流します。さまざまな出会いを通して、一生つき合える友人を見つけてほしいと願っています」と結びました。

イメージ写真 東急東横線「都立大学」駅から徒歩10分。約2万8000㎡の広大な敷地には、4面のテニスコートや弓道場などの施設が充実しています。部活動も活発で、弓道部や吹奏楽部が実績を挙げています

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