受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

横浜女学院中学校

2022年10月19日(水)

ESDとCLILでグローバルな視野を育むとともに、失敗しても再起できる「自己受容力」を高める

 校訓に「愛と誠」を掲げ、「キリスト教教育」「学習指導」「共生教育」を重視する横浜女学院は、時代に即した改革を行っています。「国際教養クラス」と「アカデミークラス」とに分かれ、それぞれ異なるアプローチで学習を進めていくのも同校の特色の一つです。

 この日の説明会は、進路学習指導部の鈴木俊典先生による教育内容の説明からスタートしました。最初に紹介されたのが、国語の授業で実施する「リーディングワークショップ」です。そこでは、読書を通じて読解力を高めていくだけではありません。生徒が自分の好きな本を紹介したり、互いに感想を述べ合ったりする時間も設けています。鈴木先生は「感動を言語化することは、学習に必要な『メタ認知』の育成にもつながり、読解力が問われる大学入学共通テストとも親和性が高い活動です」と話します。

 同校の教育のキーワードともいえるのが、ESD(Education for Sustainable Development)とCLIL(Content and Language Integrated Learning)です。多彩なプログラムと探究型学習で「学びのきっかけ」を与え、生徒が自己肯定感を持って行動できる力を育んでいます。このうち「持続可能な開発のための教育」を意味する「ESD」では、SDGs(持続可能な開発目標)と探究活動を組み合わせて、一つの問題について多角的に考え、その解決策を探ります。高2では担当教員の指導の下、生徒がみずから設定したテーマに沿って仮説を立て、検証方法を設定したうえで絶対的な正解がない問題について論文を執筆します。一方、CLILは「内容言語統合型学習」を意味し、他教科の内容を英語で学び、英語4技能に「考える力」を加えた5技能を伸ばすプログラムです。

 このほかにも、課外活動として他校との「哲学対話」などを行う「学びプロジェクト」が実施されています。興味・関心を究める「学びプロジェクト遠足」も企画しているそうです。さらに、生徒の視野を広げるプログラムとして、中3全員が参加するニュージーランド海外セミナーがあります。これは、国際教養クラスは1か月、アカデミークラスは約14日間の日程で行われるもので、現地の姉妹校や提携校に通いながら英語力を高め、ESDやCLILの内容を踏まえた協働学習に取り組みます。鈴木先生は「本校では、生徒たちがさまざまな行事も含めた教育活動全体でコンテンツ(知識・技能)を身につけるとともに、それを使いこなすコンピテンシー(資質・能力)を培っていけるような学びを実践しています」と語りました。

 次に、英語科の鯉渕健太郎先生からは、デジタル教科書などのICTを活用した英語教育についての説明がありました。中学入学時点で一定程度の英語力がある生徒には、ネイティブ教員による週3コマの少人数制指導が行われますが、これには中2以降での途中参加も可能となっています。鯉渕先生は「中1・中2で基礎を固めたうえで、中3ではニュージーランド海外セミナーに向けて、生物多様性や多文化共生について英語で学びます。高校では歴史や平和学習と組み合わせた授業も行います」と語りました。

 入学試験に関しては教頭の佐々木準先生が説明を担当しました。受験に際しては「アカデミークラス」と、英語に特化した「国際教養クラス」のいずれか、または両方を選択します。合否は得点率で判定され、両方に出願した場合は国際教養クラスが不合格でもアカデミークラスへのスライド合格があります。複数回受験生への優遇措置や、合格発表後の得点開示もあるそうです。

 最後に、校長の平間宏一先生から次のようなメッセージが送られました。「将来、お子さんが自分の人生を振り返ったとき、幸せだと思えるような土台を築くのが本校の教育です。キリスト教の教えを基盤に、失敗しても再起して前に進んでいける『自己受容力』を育む機会を数多く設けています」

イメージ写真 眺望が良く、明るい雰囲気の図書室「メディアセンター」。ラグマットの上では、靴を脱いでリラックスしながら読書が楽しめます

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