受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

ドルトン東京学園中等部

2022年10月20日(木)

学習者中心主義の教育メソッドを実践。「学ぶ楽しさ」から「創る喜び」を引き出す

 2019年に東京都調布市に開校したドルトン東京学園中等部・高等部では、アメリカの教育家ヘレン・パーカーストが1908年に提唱した「ドルトンプラン」を教育の基盤としています。その特徴は、「自由」と「協働」という二つの原理に基づき、「学習者中心主義の教育」を実践していることです。生徒の探究心や知的好奇心を育てるとともに、個人の能力を最大限に高めることをめざす取り組みが評価され、2022年度入試ではかなりの高倍率となった回がありました。

 この日の説明会は3年ぶりに対面で開催されました。学園の立ち上げからかかわり、今年7月に校長に就任した安居長敏先生は、「社会が目まぐるしく変化する時代には、働き方も大きく変わり、転職やキャリアアップ、副業開始などの転機に合わせて生涯学び続けていくことになります。だからこそ、学校教育は『多方向・複線型の生き方』を見据えたものでなければなりません。本校が開校以来、常に意識してきたのは『生徒にとって最適な学びかどうか、必要な学びかどうか』という視点です。これからも、新たな価値を生み出すための挑戦を続けていきます」と語りました。

 生徒の知的な興味や旺盛な探究心を育て、個人の能力を最大限に引き出すために、同校の教育は「アサインメント(Assignment)」「ラボラトリー(Laboratory)」「ハウス(House)」という三つの柱で構成されています。入試広報室長の木之下瞬先生は「アサインメントは学習を進めるための設計図です。教科ごと・単元ごとに、学ぶための目標・目的・手順・達成ポイントなどを示しているので、生徒たちは見通しを立てながら、主体的・自律的に取り組んでいます」と説明しました。

 また、「ラボラトリー」は、学びを広げ、探究を深めるための時間です。これは、探究のスキルを身につけることを目的に、学年に応じたテーマに取り組む週2コマの「基礎ラボ」と、個人の興味・関心の幅を広げ、深める週3コマの「探究ラボ」とから成ります。この探究ラボは、教科の枠を超えて多様なテーマを扱う「テーマラボ」と、自分でテーマを決めて学ぶ自由な時間「オフィスアワー」とに分かれています。

 一方、「家庭的な教室」を意味する「ハウス」は、学年の違う生徒たちで構成される縦割りのコミュニティーです。同校では、通常の授業は同学年の生徒たちが集うクラスで受けますが、朝礼・清掃などや多くの学校行事は、ハウス単位で行われます。木之下先生は「今年度は、高校生となった1期生が中心となって、ハウスの団結力を大いに高めてくれています」と話しました。

 続いて、中3の男子生徒2人が登壇し、部活動や普段の学習への取り組み方など学校生活の様子について、木之下先生の質問に答えるかたちで、具体的な例を示しながらわかりやすく説明しました。また、木之下先生の「何か大変だと思うことはありますか」という問い掛けに対しては「定期試験は行われないものの、単元ごとの確認テストが頻繁に行われ、課題なども多いので、スケジュール管理が大変です」と答える一方、使用するアプリや課題の提出方法の統一など学校側に求めたい改善点をしっかり挙げました。そうしたところからも、同校が「生徒にとって最適な学びかどうか、必要な学びかどうか」という視点を大切にしていることが伝わってきました。

 閉会後、参加者はグループに分かれて施設を見学しました。授業が行われている普通教室のほか、多様な学びや交流のための空間「ラーニングコモンズ」、ジムやアリーナなどの運動施設、9月に竣工したばかりのSTEAM校舎などが時間をかけて案内され、保護者の方からはさまざまな質問が投げ掛けられていました。

イメージ写真 STEAM校舎の1階にはものづくりの拠点になる「クラフト・ラボラトリー」があります。中間階(2階)には学習活動の基盤となる「ラーニングコモンズ」が設けられ、3階は最新設備を整えた理科実験室が並ぶ「サイエンス・ラボラトリー」です

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