受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

関東学院中学校

2022年10月11日(火)

「Olive STREAM」を推進し、他者愛を持った「サーバント・リーダー」を育成

 関東学院中学校の源流の一つは、米国のバプテスト伝道協会によって1884年に創立された横浜バプテスト神学校です。1919年に旧制中学校として設立されました。キリスト教の精神に基づく校訓「人になれ 奉仕せよ」を継承するとともに、時代の変化を見据えた先進的な教育を実践し、共生社会に貢献できるサーバント・リーダーの育成をめざしています。

 この日の説明会は、中学校の授業見学からスタートしました。参加者は最新鋭の理科実験室や技術室など同校の教育を支える設備と、多彩な授業に取り組む生徒たちの姿に直接触れた後、校長の森田祐二先生から教育内容の詳しい説明を受けました。

 森田先生は、まず新型コロナウイルス感染症の流行により教育の場でもコミュニケーションが不足しがちになっていることを憂慮し、「失敗すること」に恐れを抱く生徒が増える可能性を指摘しました。そして、「生徒たちがやりたいことをできる環境を整えるのが本校のスタンスです。時代に合わせた教育に取り組んでいきますが、生徒にはスキルを身につけたその先にあるものを考えてほしいと思っています」と語りました。

 続いて、昨年度から提唱している「Olive STREAM」という教育ビジョンについて説明がありました。オリーブは聖書に登場する平和の象徴であり、校章のモチーフにも使われていますが、同校では理系分野に重点を置いたSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)教育のうち「Engineering」は「English」の意味も込められており、さらに芸術・教養(Art, liberal arts)と宗教(Religion)を加えて「Olive STREAM」と呼んでいます。

 たとえば理科では、5室の理科実験室を活用して、実験重視のカリキュラムで探究心を培うとともに、ものづくりを通して「協働」することも学んでいます。また、大学と連携して科学や数学の探究プログラムに取り組むほか、高校生の希望者を対象に、ハワイ島での理科研修も実施しています(2022年度の研修先は小笠原諸島)。

 芸術・教養に関しては、美術室のほかに陶芸室も備えているのが特徴で、生徒たちはそこで作品を制作します。希望制の華道・茶道・中国語・韓国語などの課外授業、アプリを開発するデジタル講座、“働くとは何か”を考える「考働学」の講座なども開講されています。

 英語は通常授業のほかに、英会話が週1~2回あり、クラスを3分割した少人数制で英会話スクールの講師がオールイングリッシュでの授業を行う「ベルリッツ・メソッド®」も週2回導入されています。「いろいろな国籍の講師がいるので、その国の歴史・文化も学ぶことができます」と森田先生は言います。さらに、高1の生徒全員を対象にオンライン英会話も実施し、4技能を鍛えます。海外研修の機会もあり、2022年度はイートンカレッジでのサマープログラム(高1・2希望者)が実施されました。

 力を入れている探究学習については、「Human(Quest)Tourism」というものがあります。これは、自分の関心のある社会課題に取り組んでいる人に会いに行き、探究的な目線で問いを立て、「学修計画書」を作成して大学への学びにつなげていくプログラムです。高校では「探究ショートツアー」や、地元・横浜の企業とSDGs(持続可能な開発目標)について一緒に考える取り組みもあり、2022年の「SDGs Quest みらい甲子園」の首都圏大会では高2生が最優秀賞に輝きました。

 こうした同校の教育の根幹にあるのがキリスト教教育です。日々の礼拝と聖書の授業を通して、社会のために行動できる人物を育成しています。森田先生は、「宗教を学ぶことは他者愛を身につけることです。自分の力がどうしたら社会に役立つかを考えることが大切です。本校ではさまざまな学びのチャンスを整えて、知識・技能を身につけ、経験を重ね、人と人とをつなぐ力を培い、失敗を恐れない生徒を育成していきたいと考えています」と強調しました。

 2023年度の一般入試では、受験生の負担を軽減するため、2月5日午後の二期入試を2科(国語・算数)で実施します。また、一期を含むすべての入試で「CEFR利用」が可能となり、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠) A2(英検®準2級相当)以上の資格を持つ受験生に優遇措置があることも伝えられました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 横浜・三春台の丘に広がる学習環境が整備されたキャンパス。中学教員室前には気軽に質問できる「アシストセンター」があり、生徒たちが訪れやすい雰囲気です

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