- 10.7月号「そこが知りたい!」シリーズ Vol.4:
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学校教育法改正によって1999年に制度化され、設置が可能となった公立中高一貫校。首都圏でも都立の伝統校が一貫校に改編するなどして注目を集め、現在では新たな中学受験の選択肢として定着した感があります。その魅力は何なのか、「適性検査」は私立・国立校の入学試験とどう違うのか、どんな対策が必要なのか、実際に進学したサピックスの卒業生やその保護者の方の声を交えて紹介します。
景気低迷や新型インフルエンザの影響が心配されるなかで行われた今年の中学受験は、全体の受験者数こそやや減少したものの、都立中高一貫校4校の新設や私立大学付属校の新設などもあって、今年も激戦となりました。首都圏における2010年の中学受験人口は、公立中高一貫校受検者を含めると6万人を超えたとみられます。
首都圏の公立中高一貫校のなかで注目すべきは、開校初年度の08年度に27倍を超える空前の志願倍率を出した千葉県立千葉中です。10年度も15倍近い高い志願倍率となりました。一方、埼玉県では、県立伊奈学園中とさいたま市立浦和中が10年度も高倍率で、それぞれ11倍を超えました。また神奈川県の県立相模原中等教育学校は、開校初年度の09年度に16倍を超える高い志願倍率になりました。2年目の10年度も志願倍率は9倍を超えています。今春、都立4校が開校し、公立中高一貫校が11校となった東京都では、受験生が分散し志願倍率が10倍を超える学校はなくなりましたが、それでも新設の都立南多摩中等教育学校で9.74倍、都立大泉高等学校附属中で9.09倍と、公立の中高一貫校に対する注目度、期待度の高さを裏付ける結果が出ています。
私立や国立の中学を第一志望としている人が公立校を“試み受験”するケースも少なくありませんが、これまでの公立中学・公立高校とは一味違う、特色ある教育を行う中高一貫校の魅力はやはり大きなもの。中学受験を志した当初から、公立中高一貫校を第一志望としている人や、私立の合格校と比較したうえで最終的には公立を選ぶという人も珍しい存在ではなくなってきました。
| 開校年 | 08年 | 09年 | 10年 | |
|---|---|---|---|---|
| 千代田区立九段中等教育学校 | 06年 | 2名 | 3名 | 13名 |
| 都立桜修館中等教育学校 | 06年 | 4名 | 5名 | 9名 |
| 都立小石川中等教育学校 | 06年 | 14名 | 17名 | 22名 |
| 都立白鴎高等学校附属中学校 | 05年 | 0名 | 2名 | 0名 |
| 都立武蔵高等学校附属中学校 | 08年 | 1名 | 3名 | 6名 |
| 都立両国高等学校附属中学校 | 06年 | 6名 | 8名 | 2名 |
| 都立大泉高等学校附属中学校 | 10年 | — | — | 3名 |
| 都立富士高等学校附属中学校 | 10年 | — | — | 4名 |
| 都立三鷹中等教育学校 | 10年 | — | — | 4名 |
| 都立南多摩中等教育学校 | 10年 | — | — | 2名 |
| 神奈川県立相模原中等教育学校 | 09年 | — | 0名 | 1名 |
| 千葉県立千葉中学校 | 08年 | 15名 | 9名 | 21名 |
| 千葉市立稲毛高等学校附属中学校 | 07年 | 0名 | 0名 | 1名 |
| 埼玉県立伊奈学園中学校 | 03年 | 0名 | 1名 | 0名 |
| さいたま市立浦和中学校 | 07年 | 9名 | 9名 | 18名 |
| 15校計 | 51名 | 57名 | 106名 | |
さて、実際に公立の中高一貫校に進学した人たちは、どんな点が決め手となり公立校を志望したのでしょうか。サピックスの先輩と、その保護者の方に実際にお話を伺ってみました。
最も多かったのが、「文化祭などの学校行事の際に、実際に在校生のようすや学校の雰囲気を感じて」という声でした。これはどんな学校を選ぶ際にも共通ですが、私立に比べると情報量が少ないとされる公立の場合、「実際に見る」ということがより重要な判断材料になるのは確かなようです。
千代田区立九段中等教育学校に進学したH.Sさんのお母さんも、「5年生の秋に見学に行った文化祭での印象が決め手となりました」「生徒たちがみんな自主的に取り組んで、男女とも伸び伸びと自己を確立し表現しているようすが明確に伝わってきました」と話します。柔軟性の高い、個性的な生徒が多いらしく、入学したH.Sさん本人も「こんなすごい子がいるんだよ」と興奮気味によく話してくれるそうです。
また 、県立千葉中2年のY.Fくんのお父さんは、「大学進学率で実績のある高校の付属校という信頼感」を挙げます。ご自身も千葉高の出身ということもあり、「OBならではの生きた情報を手に入れることができたので、校風や指導態勢のようすを、先輩として息子に伝えることもできました」と話します。
| 設置年 | 学校名 |
|---|---|
| 2003年 | 埼玉県立伊奈学園中学校(伊奈町) |
| 2005年 | 東京都立白鷗高等学校附属中学校(台東区) |
| 2006年 | 千代田区立九段中等教育学校(千代田区) 東京都立桜修館中等教育学校(目黒区) 東京都立小石川中等教育学校(文京区) 東京都立両国高等学校附属中学校(墨田区) |
| 2007年 | さいたま市立浦和中学校(さいたま市浦和区) 千葉市立稲毛高等学校附属中学校(千葉市美浜区) |
| 2008年 | 茨城県立並木中等教育学校(つくば市) 千葉県立千葉中学校(千葉市中央区) 東京都立立川国際中等教育学校(立川市) 東京都立武蔵高等学校附属中学校(武蔵野市) |
| 2009年 | 神奈川県立相模原中等教育学校(相模原市南区) 神奈川県立平塚中等教育学校(平塚市) |
| 2010年 | 東京都立大泉高等学校附属中学校(練馬区) 東京都立富士高等学校附属中学校(中野区) 東京都立三鷹中等教育学校(三鷹市) 東京都立南多摩中等教育学校(八王子市) |
一方、「難関大学合格だけを目的とするのではなく、情操教育やキャリア教育との両輪に力を入れている点を重視した」と答える保護者の方も少なくありません。千代田区立九段中等教育学校のほか、都立両国高等学校附属中や都立白鷗高等学校附属中などは、地域社会との連携などを生かして、キャリアデザインに関する支援態勢を整えている点をアピールしており、早くから将来像について意識や関心を高めている点が評価されています。
また、都立立川国際中等教育学校や千葉市立稲毛高等学校附属中のように、国際教育に力を入れている学校もあれば、県立千葉中や都立武蔵高等学校附属中のように、「総合的な人間形成とともに、社会のリーダーの育成」を掲げている学校もあります。このように、各校それぞれに独自の特色を打ち出していて、志望校として検討するに必要な材料はそろっているといえそうです。
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