受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

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多彩な学びの場が
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洗足学園中学高等学校校長 宮阪 元子 先生

聖書に由来する校名が表す
教育理念「謙愛」

聞き手1
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹

神田 初めに学園の沿革についてご紹介いただきたいと思います。

宮阪 本校は1924(大正13)年、前田若尾によって創設されました。若尾先生は四国の土佐藩の士族の家に生まれ、東京に出て教職に就きましたが、1923年の関東大震災の際、「もし命が助かったら女子の教育に生涯を捧げよう」と決意したそうです。そのことばどおり、九死に一生を得た若尾先生は震災の翌年、自宅の2階の一室を開放して私塾を始めました。

 当時、女子が社会で生きていくためには、まず手に職をつけなくてはならなかったので、最初は裁縫学校のような形でしたが、生徒を集めるのに苦労して、やっと集まった6人でのスタートでした。当時は大正デモクラシーによって自由主義の機運が高まってはいましたが、女子が高い教育を受けるような時代ではありませんでした。そこに女性一人で切り込んで、女子のために一から学校をつくり上げたのです。

 その後、戦争になり、自宅の敷地内に建てた校舎は焼けてしまいました。それでもあきらめず、土地を探して現在の地に校舎を建てました。戦争も終わり、これからというときに病に倒れ、1947年に亡くなってしまいましたが、その志を受け継いだ女性たちによって学校は大きくなり、現在は幼稚園から大学院まである総合学園となりました。

神田 若尾先生は後世に大きな影響を与えた方だと聞いています。クリスチャンでいらしたのですね。

宮阪 敬虔なクリスチャンでした。校名は聖書に由来します。ヨハネ伝第13章に、最後の晩餐の前に、主であり師であるイエスが弟子たちの足を洗い、「あなた方も互いに足を洗い合えるような謙虚で慈愛に満ちた気持ちを持ちなさい」と教え諭されたと書かれています。その一節から「洗足」という校名を頂いています。

 若尾先生は「謙虚」と「慈愛」をひと言で「謙愛」と表しました。本校では謙愛の精神を育み、社会に有為な女性を育てることを目標に、教職員が一致団結して教育に取り組んでいます。若尾先生はまた「理想は高遠に、実行は卑近に」という教育標語もつくりました。理想は高く持ちなさい、そして理想に近づくためには地道に努力をしなさい、ということです。これも大切に守り伝えています。

神田 女性が自立するために、今の名門女子校の多くが裁縫を習得させ、それだけではなく教養を高め、崇高な理想を実践し続けたという伝統があります。貴校はその先鞭をつけられた学校の一つだと思います。宮阪先生はどのような経緯で学園とかかわってこられたのですか。

宮阪 20年ほど前、洗足学園は時代に合わせた教育を行うため、大きな学校改革を行いました。そのなかで多くの教員が入れ替わり、わたしもそのときに入職しました。以来、本校では進学実績を高めるために、勉強合宿や講習を始めるなど、さまざまな改革を行ってきました。

神田 その20年間のご苦労が花開いて、今の洗足学園があるのですね。

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17年11月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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