受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

可能性への挑戦を促す
多彩な学びの場が
大きな成長へと導く

洗足学園中学高等学校校長 宮阪 元子 先生

精神的な成長を促す「他流試合」
問い続けたい「幸福とは?」

聞き手2
サピックス小学部 教務部
中野 英樹

中野 もう一つの大きな特徴として「他流試合」といわれる学外活動があります。生徒たちは学外の交流活動や研修プログラム、コンクールなどへ積極的に参加していますね。

宮阪 アクティブ・ラーニングといっても、教室でできることは限られています。学んだことを活用するために、どんどん外に出ていってほしいと考えています。本校ではそれを「他流試合」と呼び、現在、250件以上の学外活動に参加しています。その多くは学校が勧めているものですが、生徒が見つけたものや、生徒の発案から実現したものも少なくありません。たとえば、今年で4回目を迎える「ジャパンメトロポリタン模擬国連」は、海外で行われた模擬国連の国際大会に参加した生徒たちが、「日本でもやりたい」と言って他校に呼びかけて始めたものです。昨年は20校以上が参加しました。

神田 すばらしい行動力ですね。「他流試合」のなかにはボランティア活動もありますね。カンボジアにも行かれたとか。

宮阪 カンボジアでは、現地の女の子たちの夢が、自分たちの夢とはまったく違うことに衝撃を受けていました。向こうでは豚を飼うことが夢なのです。フィリピンの語学研修でも、必ずスラム街のようなところに行きますし、学校に行けない子どもたちを支援する施設も訪れます。奉仕の精神が芽生えてきて、語学を学ぶ以上の意義があります。

 夏休みには毎年、弦楽合奏部が東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県大船渡市にボランティア演奏に行っています。市長や地元の方のお話を聞いて、生徒たちは多くを学びます。今回は老人ホームでも演奏しました。そこは目が見えない方の施設で、100人ぐらいが集まって、演奏に合わせて手拍子をしてくださいました。わたしも同行しましたが、まったく体を動かせなかった方が、そのときだけは手拍子をしてくださったということを後で伺って感動しました。

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神田 音楽にはそういう力がありますね。

宮阪 本校は音楽に力を入れています。「楽器習得プロジェクト」といって、バイオリン、フルート、クラリネット、トランペットのなかから好きな楽器を選んで、中学卒業までに演奏できるように練習します。大船渡に行くのは弦楽合奏部ですが、参加した生徒はみんな「勇気をもらった」「元気をもらった」と言います。生徒は緊張して演奏し、でも終わると皆さんがアンコール、アンコールと言ってくださいます。その場にいさせていただけてよかったということをわたしも感じました。

中野 人間が感じる幸せは、人の役に立てたと思う瞬間にあるのではないかと思います。人の役に立ちたいという思いがあったからこそ、相手の方にも喜んでもらえたのだと思います。

宮阪 わたしは「幸せって何?」と、生徒が入学したときからずっと問い掛けたいと思っています。最初は何かをやることが幸せだと思うかもしれませんが、突き詰めていけば、「周りの人が幸せになったときに自分も幸せを感じる」という答えが返ってくると思います。中野先生がおっしゃるように、何かをやってあげたときではなく、それをみんなが受け止めてくれたと感じたときがお互い幸せなのだと思います。「幸せって何?」に対する正解はありません。それをあえて問い掛けて、追求していく6年間を生徒全員が送ってくれると幸いですね。

17年11月号 さぴあインタビュー/全国版:
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