受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

能動的な学びのなかで
育まれる独自性と社会性、
そして将来への高い意識

鷗友学園女子中学高等学校 校長 大井 正智 先生

自分の居場所があってこそ
能動的な学びは成功する

先生写真
校長 大井 正智 先生

神田 校訓の「慈愛と誠実と創造」についてご説明いただけますか。

大井 「慈愛」とは他者とのかかわり合いのなかで、相手を思いやる心を持つ社会性を、「誠実」とはみずからの道を切り開く強い意志を持ち、それを誠実に伸ばす独自性を表していて、この社会性と独自性を合わせて新しいものを「創造」しようということです。本校の教育の土台には常にこの校訓があり、各教科でも、校訓に合わせた目標設定をしています。生活指導もそうで、「あなたのこの行動は『慈愛と誠実と創造』のこんなところと違うよね」という考え方で指導します。

神田 理科はかなり前から実験中心の授業で、社会でも考えさせる授業を実践されていますね。「鷗友イズム」ともいえるようなカリキュラムがあって、それが教科だけでなく、生活指導にも生かされているということなのですね。

大井 勉強と学校生活は連動していなくてはならないと思います。子どもたちにとって、学校は安心できる場所であることが大切です。そういう場所があることで、自然に勉強に入っていくことができます。本校では、中1は3日に1度の席替えをしていますが、そのときはクラスの席替えだけでなく、4人でつくっている理科のグループも変えるなど、すべてを入れ替えます。いつも席が違い、話し合う人も違う。それが日常なのです。たとえば調べ学習をするとき、女子の感覚では仲の良い者どうしが集まって、「何を調べようか」と始まりますが、本校では何を調べるかが先に決まっていて、その内容ごとに、やりたい生徒たちが集まります。

キャプションあり
上/図書室の蔵書数は約5万冊。PCルームや自習スペースのほか、シラバスに合わせて、各学年の推薦図書を集めたコーナーもあります
下/五つの理科実験室があり、実験器具も充実。豊富な実験・観察を通して、生徒の「科学する心」を育んでいます

中野 たくさんの人と触れ合う仕組みになっていると、この人はどういう性格で何が好きで得意なのかなど、いろいろな情報を知ることができますね。

大井 アクティブ・ラーニングは生徒に居場所がないとうまくいきません。居場所がないと、失敗するのを恐れて自由な発言ができないからです。また、逆に格好いい発言をすると「あの人何?」と言われてしまいます。格好いい発言をすると、みんなが「おおっ」と驚き、難しい問題ができると「すごいね」と言って自然に拍手が起こるという雰囲気が本校にはあります。

中野 アクティブ・ラーニングをするうえで重要になる「ルーブリック」という評価表を取り入れていらっしゃいますね。これについてご説明いただけますか。

大井 「ルーブリック」は教科ごとに学習などの達成度を判断する基準を示すもので、導入して今年で2年目になります。ルーブリック評価表には、たとえば国語なら、語彙力・読書力・共感力・批判力などの評価項目と、それぞれの到達レベルが記載されています。生徒は今の自分のレベルを判断し、向上させるための目標設定をして、それに向けて努力をします。ただ教えられているだけでは、うまく動いていきません。やはり自分から進んで勉強するのだという意識が必要です。

神田 これこそ本当のアクティブ・ラーニングですね。

大井 ルーブリック評価表には、どういう生徒を育てたいかという、各教科の教員たちの思いが詰まっています。たとえば社会なら、平和に関することならこの辺りまで理解してほしい、といった大枠が書かれています。理科でも、実験やレポート作成などの項目ごとに、細かい評価レベルが設けられています。レベルはS・A・B・C・Dの5段階があり、それを生徒自身に評価させるのですが、最初は、教員からすると「あれでSなの?」と思うくらい、生徒たちの自己評価は極めて高いです(笑)。でも学年が上がると、たとえば実験をして振り返ったとき、「Sと自己評価したけど、やっぱりAだったかな」と自分で気づきます。

中野 その気づきが成長につながるのですね。

19年1月号 さぴあインタビュー/全国版:
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