受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

多様な仲間と学び合うなかで
自然に育まれる国際理解と
未来を創り出す力

渋谷教育学園渋谷中学高等学校 校長 田村 哲夫 先生 副校長 高際 伊都子 先生

個々の生徒が得意分野を発揮
全校で取り組む「Water is Life」

水岡 先ほどターニングポイントとおっしゃいましたが、やはり文部科学省のさまざまな事業への参加は大きな挑戦だったのでしょうか。

聞き手2
サピックス小学部
教務部
水岡 俊幸

高際 2006年に文部科学省の「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」(SELHi)に手を挙げたとき、本校の英語科としての課題は「クリティカルシンキング」と「アカデミックライティング」でした。クリティカルシンキングを持ってテキストを読み込み、アカデミックな基軸で書く、という二つの柱でスタートしました。これは非常に高評価を頂き、生徒たちの間にも、物事を批判的に見たり、意見を述べ合ったりすることがおもしろいと思える雰囲気が出てきました。模擬国連やディベートに、生徒たちの目が向く良いきっかけにもなったと思います。その後、2014年にスーパー・グローバル・ハイスクール(SGH)の指定を受けたときに掲げたテーマは、「グローバルリーダーの育成」でした。リーダーシップというと、人の先に立って引っ張っていくという印象がありますが、そうではなくて、自分で課題を見つけてその解決のために行動できる、それがリーダーに求められる資質ではないかと考えて取り組みました。

 SGHは渋幕とともに指定を受けたので、5年目の最後の年に集大成ということで、両校主催で「世界高校生水会議−Water is Life」を行いました。これは2年おきに開催されている、水問題に関する高校生の国際会議です。これまでシンガポールとオランダで開催され、第3回は本学園がホスト校となって昨年の夏に開催しました。

神田 サピックスも協賛させていただきましたが、世界18か国から29校が参加した大きな国際会議になりましたね。

高際 地理的に遠い国の参加は難しいのではないかと思っていましたが、世界のすべての地域からの参加がありました。日本からは渋渋と渋幕のほか、6校が参加しました。それぞれが自国の水問題について1年ほどかけて研究活動を続け、その成果を大会で発表するわけですが、それぞれの国が抱える問題は深刻です。水が少ない地域はやはり水のリサイクル、リユースを取り上げ、豊かな先進国は水を買う問題、水の消費に関する問題を取り上げていました。

神田 まさしくバーチャルウォーターですね。両校合わせてボランティアの生徒が約550人も参加されたそうですね。

高際 会議は完全にオールイングリッシュなので、英語を苦手とする生徒にはハードルが高いと考え、ボランティアを募集するにあたっては、英語力はあえて問いませんでした。その代わりにブースを分け、主に英語力を用いて貢献するチームと、それ以外の、たとえばパソコンに関するテクニカルな部分で手伝うチームなど、役割別に分けました。装飾を担当する生徒もいて、宗教的なことや差別のことも考えながら、おもてなしの気持ちで皆さんに喜んでもらえる装飾を考えていました。そうしたことは英語でなくても、日本語で議論するだけでも十分に国際理解につながります。本当に海外で活躍したいと思ったら、自分で英語を学べばいいのです。

神田 すべての生徒が、自分の得意分野を生かして総合力で世界と交流したということが伝わってきます。すばらしいグローバル教育ですね。

19年5月号 さぴあインタビュー/全国版:
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