受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

「九転十起」の精神で
努力を重ねる6年間が
未来を切り開く力を育む

浅野中学・高等学校 校長 古梶 裕之 先生

教育理念の根本にあるのは
創立者の「努力」一筋の生き方

神田 初めに学園の沿革についてご紹介いただきたいと思います。

古梶 本校は1920(大正9)年、実業家の浅野總一郎翁によって創立され、今年の1月にちょうど100周年を迎えました。当初は浅野綜合中学校という校名で、その開校式のときに總一郎翁は「十分に学問を修め、将来実地のことに当たる知識・才芸を養い、全力を尽くして働く人になってほしい、そういう人を養いたい」ということを述べています。自身は、産業立国をめざして、埋め立てや港湾整備、電力事業などの産業インフラの整備に注力した人で、勤労を尊び、得た利益を社会に還元するという志を持って事業をしました。

聞き手1
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹

神田 回想録を読ませていただきましたが、總一郎先生は医師の家に生まれ、恵まれた生活ができたでしょうに、自分がめざす道に進むために家を出て、商売で失敗するなど苦労をされました。最初は失敗の繰り返しでしたが、そのままでは終わらせていないですね。欧米視察に行く前、淀川に堰を造って水力発電をしたいと申請しますが、大阪府に反対されます。それでもあきらめず、視察から帰ってきてから水力発電所を全国各地に造っています。努力すれば達成できるのだということを、身をもって示された方ですね。

古梶 總一郎翁の生涯は「努力」そのものです。卒業式の式辞で、「わたしは働く人がいちばん好きだ、人が8時間働いたら9時間、9時間働いたら10時間と、人より常に余分に働くことが大事だ」と話しています。初代校長に就任したのは、敬虔なクリスチャンであった水崎基一先生で、水崎先生は「愛」を根幹に置く教育を実践しました。教育者としては、生徒には職業体験を通して労働の重要性を教えています。「実社会に適応できるように育てるなかで、自分の長所を発見できるようにすべきだ」という考え方を持っていました。創立者にしても初代校長にしても、自分の能力を生かす職業に就いて、社会に貢献できる人間を育てなくてはならないという、共通の理念があったと思います。それが本校の100年の歴史のなかで受け継がれています。

神田 中学に入ると、4月に創立者教育がありますが、入学したらまずそうした總一郎先生の生き様を学ぶわけですね。

古梶 新入生は知らないでしょうから、「努力の人がつくった学校なんだよ、その遺伝子を君たちは受け継いでいくんだよ」と教え、早く浅野の生徒にしたいですし、早く浅野を好きになってほしいと思います。あきらめずに努力し続けることの大切さ、待ちの姿勢ではなく、自分から攻めていくことの大切さも伝えたいですね。

神田 まさしく校訓の一つである「九転十起」の精神ですね。

古梶 浅野總一郎翁の生きる姿勢を表したのが「九転十起」です。失敗するのは必ずしも悪いことではありません。大切なのは失敗をしてもあきらめず、そこから学んでもう一度挑戦していくことです。前に進む努力を重ねる精神なのです。

メインビジュアル
2020年3月に創立者・浅野總一郎翁像を修復し、總一郎翁の生涯を刻んだ「100年リング」を建設

20年7月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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