受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

「九転十起」の精神で
努力を重ねる6年間が
未来を切り開く力を育む

浅野中学・高等学校 校長 古梶 裕之 先生

グローバル教育の柱は
「多様性」と「独創性」

聞き手2
サピックス小学部
教務部
水岡 俊幸

水岡 グローバル教育にも力を入れていますが、どのような力の育成をめざしていますか。

古梶 英語ができることだけがグローバル教育だとは思っていません。大きな柱は、「多様性の理解」と「独創性の育成」の二つです。「多様性の理解」というのは異文化理解です。それが他者への理解につながります。「独創性の育成」とは、自分のことばで自己表現ができるということがスタートになります。たとえば、日本のことを知り、それを自分のことばで海外の人に紹介できることが一つの大きな目標だと思っています。そのうえでの対話力の向上ですね。相手の話をきちんと聞く受信力、そして根拠を示して自分の考えを聞いてもらう発信力がとても大事です。「グローバル」というと、すぐに英語力の育成や海外研修の充実という話になります。もちろんそれは手段として大事ですが、根本的には多様性の理解と自己表現の完成の二つが重要だと考えています。

水岡 さまざまなプログラムを用意されていますが、中2の春休みに行われる「ベーシック・コミュニケーション・プログラム」とはどのようなものですか。

古梶 10人が1チームになって、ネイティブの教員が待つ18の教室を回って授業を受けます。1日6コマ、3日間ですべての授業を受ける形式になっています。先生によっていろいろな内容が語られます。そこで2年間学んだ英語が、コミュニケーションツールとしてどこまで通用するのか、何が足りないのかを知ってほしいと思っています。

キャプションあり
上/野球・サッカー・ラグビーなどの公式戦も行われる、広々としたグラウンド。このほか、柔道・剣道・卓球場や屋内プールを備えた総合体育館「打越アリーナ」もあります
下/2階建ての図書館「清話書林」の蔵書数は5万8000冊。自習スペースも充実していて、多くの生徒が利用しています

水岡 英語の運用能力を高めるわけですね。これを発展させたのが「エンパワーメント・プログラム」でしょうか。

古梶 「エンパワーメント・プログラム」は、中3から高2の希望者を対象に、夏休みに1日6時間、5日間にわたって集中的に学ぶものです。生徒5人に1人ずつアメリカの大学生がつき、スピーチをしたり、ディスカッションをしたりします。自分の意見をまとめ、相手に伝えることが最も大事です。

神田 夏休みにはスタンフォード大学とオックスフォード大学という、欧米を代表する名門大学での研修がありますね。

古梶 スタンフォード大学での研修は高1と高2が対象で、期間は10日間です。大学が開発したプログラムの下、コミュニケーション力や発想力を学びます。大学生との交流やシリコンバレー周辺の大学・企業への訪問もあります。

 オックスフォード大学での研修は中3から高2が対象で約2週間のプログラムです。ホームステイをしながら、大学生や教授と共にワークショップやディスカッションを行うほか、街へ出てイギリスの文化や芸術にも触れます。

神田 スタンフォード大学では理系の専門分野からの刺激もたくさん受けるでしょうね。

古梶 たとえば、身の回りにあるものだけを使って実験をするという課題が出されるようです。材料を買わずに、部屋にあるものだけを使って、アイデアを出さなければならないので、考えて工夫する必要があります。こんな使い方があったのかということを知って、見ているようでいて実は見えていないことに気づかされるようですね。物の見方が変わり、頭の使い方も変わると思います。

 このようにして多様性と独創性が身についていくのです。

20年7月号 さぴあインタビュー/全国版:
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