受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

「九転十起」の精神で
努力を重ねる6年間が
未来を切り開く力を育む

浅野中学・高等学校 校長 古梶 裕之 先生

苦しい受験期を乗り越えた経験が
この先の人生の自信になる

水岡 進路指導はどんなところを重視していますか。

古梶 「入れるところではなく、行きたいところをめざそう」と話しています。生徒が納得する受験ができるようにサポートするのが、わたしたちの役目です。ただ、最近は保護者がブレーキを踏むケースが多いですね。たとえば、本人は「絶対に東大に行きたい」と言っているのに、親は失敗をさせたくないので他大学を受けさせようとする例はよくあります。

 高3の12月から2月にかけては、人生の宝物のような時期だと思います。泣きたいくらいつらくて、それでも食らいついてがんばる。その経験があるから、その先の人生が開けていくのです。苦しい時期を乗り越えた力は、彼らの自信になり、一生の財産になります。それを奪わないでほしいと思います。以前、高3の12月の時点で、東大にE判定だった生徒がいました。厳しい判定なので、早稲田も受ける予定でしたが、入試日の直前になって、急に「早稲田は受けない、その日は東大受験のために勉強する」と言い出したので、お母さんが泣きながら電話をかけてきました。「ここまできたら、やりたいようにやらせてください。そのうえの結果だったら彼は納得します」と伝えました。すると見事に東大に受かったのです。子どもたちは、わたしたちの想像を超える力を持っています。そこは応援してあげたいですね。

集合写真

神田 やろうと思ったときの突破力、夢に向けての意欲、そうしたものを進路指導のなかできちんと見てあげているのですね。その結果が見事な実績につながっています。今年は東京工業大の合格者数が27名で、ここ数年、連続して全国1位ですね。東大は39名で首都圏では11位で、私立も慶應義塾大は全国3位です。すばらしい実績です。

水岡 最後に、受験生と保護者の方にメッセージを頂戴したいと思います。

古梶 覚えるだけの勉強のほうが楽かもしれませんが、「なぜかな?」と思うことは、受験勉強でも大事にしてほしいと思います。試験に受かるためだけに、あれだけの学習をこなしていくのはもったいないです。学んだことが血となり肉となるよう、体の中にしっかり取り込んでほしいと思います。それが中学に入って、より深く学んでいく土台になります。保護者の方は、模擬試験ができなかったとしても怒らないでください。本人もできなかったことはわかっているはずですから、「あのとき、わたしが言ったことをやらなかったからよ」なんて、傷口に塩をすり込むようなことを言うと逆効果です。言いたいことをのみ込んで、温かいお茶でも出してあげるくらいの余裕が持てるといいですね。

 大切なのは、子どもが何を考え、どういう方向に進もうとしているのかを理解してあげることです。理解して納得したら、心から応援してほしいですね。そばにいる両親が応援してくれていることで、どれだけ子どもは安心できるでしょうか。受験生も受験できることを当たり前と思わず、その機会を与えてもらえたことに感謝してほしいですね。そのうえで体に気をつけて、自分を高める努力をして勉強を続けてほしいと思います。

神田 親が一番の応援団にならなければ、誰があなたのお子さんを応援してくれるのかということですよね。先生のアドバイスは受験に向かう子どもたち、そして保護者の方への大きなエールになったと思います。本日はありがとうございました。

※『さぴあ』の取材においては、新型コロナウイルス感染症防止に最大限の注意を払っています。写真撮影の際のみマスクを外していただいています。

20年7月号 さぴあインタビュー/全国版:
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