受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

互いに尊重し合う
心豊かな学びの日々が
真の知性と品性を育む

雙葉中学校・高等学校 校長 日下部 和子 先生

毎日のささやかな行動から
蓄積されていく豊かな人間性

先生写真
校長 日下部 和子 先生

神田 学校生活の柱は「一人ひとりを大切にする」ことですね。

日下部 「一人ひとりを大切に」というカトリックの人間観が柱になっています。「神様が一人ひとりに良いものを与えてくださっているので、大事にしましょう」ということですね。自分が大切ならお友だちも大切です。両親、兄弟姉妹、そして自分にかかわるすべての人、さらには世の中の人すべてが大切という考え方です。

神田 雙葉高等女学校の卒業生で、4年前に亡くなられた、ノートルダム清心学園の理事長・渡辺和子先生が、「残暑御見舞いのはがきを出すと、5代目校長のシスター高嶺信子先生はどんなに忙しくても必ずお返事をくださった。そのことで常に先生が自分を大切に思ってくださっていることを感じた。それこそが教育の本質ではないか」とお話しされています。

日下部 シスター渡辺は、何度か岡山から本校にお越しくださいました。創立100周年のときは記念講演で、「自分に与えられた環境を嫌だと思わず、そこで自分ができる精いっぱいのことをすればよいのです」とおっしゃいました。それは、後に出版された著書『置かれた場所で咲きなさい』につながる内容でした。

神田 本当にすてきなことばですね。

日下部 生徒は教員から言われたことばや、生活のなかで「受け取ってきたもの」を、自分のなかで自然に蓄えていくのだと思います。それは、ちょっとしたことだったりします。たとえば、お弁当箱を持ち帰るのを忘れる生徒がたまにいるのですが、それを見つけた担任の教員は、お弁当箱を洗います。お父さん、お母さんのような気持ちで、自然に洗うわけですね。翌日、生徒にお弁当箱を渡すと、生徒は「洗ってくださったんだ」と感じるようです。また、本校では具合が悪そうな生徒がいれば「大丈夫?」と声を掛けますし、ちょっとした失敗や体調のフォローを各教員がしています。そういう姿を見て、いつかどこかで生徒それぞれが同じように行動してくれればいいなと思います。

神田 ささやかに思えることでも、それが6年間積み重なって、社会に出たときに必ずどこかで生きてくると思います。

日下部 わたし自身、在学中を振り返ると、何か良くないことをしても、頭ごなしに怒られたことはなかったように思います。先生方は、わたしたちの振る舞いについて、「それは、雙葉の生徒として、人としてふさわしいことですか」と問い掛け、「あなた方の良識に委ねます」と言われたものでした。また、「大いにいたずらをしなさい。ただし、誰も傷つかない、みんながくすっと笑えるいたずらに限ります」と言われたこともありました。一生懸命に考えていろいろないたずらをしました。後になって、自分を客観的に見つめ、周囲の人を思いやることを学校生活のさまざまな場面で習ったのだとわかりました。そういう雙葉らしい学校生活は、今も変わっていません。もちろん、中高生ですから、失敗することもあります。でも、「よくなかった、ごめんなさい」と言うことができれば、それは成長過程で許されることなのです。

20年12月号 さぴあインタビュー/全国版:
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