さぴあインタビュー/全国版
内省と気づきを促す教育で
他者のために行動できる
真のリーダーを育成する
栄光学園中学高等学校 校長 望月 伸一郎 先生
立場の違う海外の人との交流が
自分を振り返るきっかけに
玉井 国際交流にも力を入れていらっしゃいます。海外研修はアメリカとフィリピンで、どちらもイエズス会の学校との交流がメインですね。
望月 フィリピン・セブ島の姉妹校との交流は、始めてからもう25年たちます。滞在中はホームステイ、スクールステイ、そしてエクスポージャーの三つを体験します。特にエクスポージャープログラムでは、貧しい人たちの居住環境を改善するNPOの活動に協力し、スラムに住んでいた人たちが新しい家を作る活動に、姉妹校の生徒と一緒に参加します。栄光の生徒たちは滞在中、実際に建設作業を手伝わせてもらったり、帰国後はチャリティー販売をして家の建設資金を集めたりしています。スラムに住んでいると聞くと、貧しい人々という先入観だけで見てしまいがちですが、一緒に過ごしてみると、とても明るく好奇心に満ちています。地元の公立小学校と交流するプログラムもありますが、日本の小学生とは違います。何でも楽しむ力、何でも知りたいという気持ちにあふれ、そのエネルギーに生徒たちは圧倒されます。「自分たちはこの子たちのように学びたいと思っていただろうか」「自分たちは何ができるだろうか」「自分自身は能力をどう生かしたらいいのだろうか」と、たくさんのことに気づいて考えるようになります。
上/天井が高く、広々としたラーニングスペース。生徒たちの学びと憩いの場です
下/約5万8000点の資料を所蔵する図書館。約55席の閲覧席やAV視聴コーナーも備わっています
玉井 そういう体験こそ大切ですね。言語だけなら日本でも習得できますから。
望月 セブ島に行かなければわからないこと、そこで体験できることをする。まさに一次情報に触れる大切な機会です。
神田 アメリカ研修はボストンカレッジとの交流が中心ですね。アメリカのなかでもトップレベルの大学ですね。
望月 ボストンカレッジの夏季研修は全米の高校生向けの研修プログラムですが、本校は同じイエズス会の学校として30名の高校生が参加させてもらっています。いろいろなテーマでディスカッションをして発表する、8日間のプログラムです。言語の面では苦労しますが、ここでもいろいろなことに気づきます。たとえば、中米から来ているアメリカ人の生徒が、「卒業したら親の母国のためにこんなことをしたい」などといった話をします。それを聞くと、同じ年なのに自分のバックボーンや将来について、こんなに真剣に考えていないと気づきます。参加者や大学生のリーダー、指導者と共に、人生についてより深く考える特別な1週間になっていると思います。新型コロナウイルス感染症の影響で今年度は中止になりましたが、今後も続けていきたい取り組みです。
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