受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

「やってみなはれ精神」と
主体的に学ぶ探究学習で
生徒の心に火をつける

雲雀丘学園中学校・高等学校 校長 中井 啓之 先生

企業や大学での研究活動
学年を超えた探究ゼミも

キャプションあり
上/‌約270席ある「ひばり食堂」は、放課後には「Hibari-GYM」という自習室になります
中/‌ガラス壁を採用した職員室の一角には、質問コーナーが設けられています
下/‌阪急「雲雀丘花屋敷」駅と直結。登下校時に利用できる雲雀丘学園専用の改札口があります

藪田 その探究学習について、貴校ならではの特徴的な取り組みには、どのようなものがあるのでしょうか。

中井 コース制をなくすときに、学問に対する興味を生徒に持たせることに注力していこうとしました。初代校長のことばに、「生徒の心に火をつけろ」というものがあります。知識を詰め込むことではなく、心に火をつけることこそ本校のすべき教育だというのが方針の一つとしてあるのです。

 また、学校設立の経緯から考えると、社会とつながることも大切にしており、今もサントリーと阪急電鉄からは大きなバックアップを受けています。そんな本校ならではの探究活動の一つとして、企業や大学の協力を得て行う探究プロジェクトがあります。なかでもサントリーの研究所での研究活動や、鳥取大学の医学部での研究活動は長く続いています。

 どのプロジェクトも、ただ体験するだけで終わってしまっては意味がありません。その経験から何かを学んだと言えるようになるには、みずから考えて発表する経験を伴わなければならないのです。だから単に研究者の指示で試験管を振るだけではなく、自分でデータを取って考察し、発表をする。そして、研究者を相手に質疑応答をする。学校に戻ってからは、それを文章化し、大学の推薦入試に向けて自分のポートフォリオにアップします。そうした振り返りを行って初めて学びになるものだと思います。

中川 「探究ゼミ」という講座も開講しているそうですね。

中井 はい。探究的な学びの一環として2019年から「探究ゼミ」を始めました。これは、教員一人ひとりが自分のやりたいことをテーマとして、それに興味を持つ生徒を学年の枠を超えて集めて行うゼミ活動です。例を一つ挙げると、「表現の自由・報道を考えるゼミ」では、16名の中高生が朝日新聞阪神支局を訪ね、1987年に起きた同支局の襲撃事件について支局長の話を聞いた後、「表現の自由」や「ネット時代の報道の在り方」をテーマに討論をしました。

 こうした探究ゼミは、曜日などを決めて定期的に実施するものもあれば、単発的に実施するものもあり、現在は十数講座ほどが行われています。1人の教員が複数のゼミを担当しているケースもあり、たとえば、「法律」「経済」「交通網」という、テーマの異なる三つのゼミを担当している教員もいます。

 このように、本校の探究学習は、探究の時間に授業として行うもののほかに、「プロジェクト」や「ゼミ」もあります。前者については、教員は生徒と外部とをつなぐ役割をしていますが、後者は教員の興味・関心を生かして行っているわけです。この探究の授業については、中2からスタートし、最終的には論文作成まで行っています。

藪田 それだけいろいろなことをされていると、探究学習がキャリア教育にもなりますね。

中井 はい。さらに進路指導部のほうでキャリア教育の機会も設けています。今はちょうど大阪大学やそのほかの大学と連携できるように動いているところです。

21年2月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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