受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

高い志と探究心を育み
「サイエンス」の力で
グローバルに活躍する人に

横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校 校長 永瀬 哲 先生

ノーベル賞受賞者を含む
多くの科学者が教育を支援

聞き手1
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹

神田 貴校は高校・中学ともに開校して間もない新しい学校ですが、一年一年、大きな実績を積み重ねてこられました。まずは高校開設から今日に至るまでの歩みと、先生が学校にかかわってこられた経緯についてお聞かせいただけますか。

永瀬 横浜港開港150周年を迎えた2009(平成21)年4月、開港記念事業の一つとして開校したのが横浜サイエンスフロンティア高等学校です。その翌年には文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けました。SSHの期間は5年間ですが、1期・2期と続けて指定を受け、今年度から3期目に入っています。また、2014年には文部科学省のスーパーグローバルハイスクール(SGH)にも指定され、5年の指定期間終了後、昨年度からは横浜市指定の「横浜版SGH」という形で取り組みを継続しています。

 一方、附属中学校は2017年4月に開校しました。その1期生が今年度から高校に進学したので、高校1年生は附属中学からの進学生と高校からの入学生が融合した学年になっています。わたしは高校が開校する2年前に整備推進委員会の一員として開校準備に携わった経験があり、その後、横浜市教育委員会の指導主事になりましたが、2016年に高校の校長代理として本校に勤めることになり、2019年4月に校長に着任しました。

神田 附属中学校は開校して4年ですが、生徒さんたちはすばらしい成果を挙げていらっしゃいます。2019年に行われた「アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-25)水ロケット大会」では日本代表になり、日本天文学会主催の「つくばサイエンスエッジ2020」でも2チームが金賞を受賞するなど、数多くの大会やコンテストで優秀な成績を収めていますね。

永瀬 本校には「先端的な科学の知識を基にした智恵や技術・技能を駆使して、グローバルリーダーたるサイエンスエリートを育成する」という明確な教育理念があります。入学してくる生徒たちのモチベーションは高く、保護者からも自分の子どもを応援しようという熱意が強く感じられます。教員も、生徒の夢を大事に育んでいこうという熱意を持っています。そして何より本校は、スーパーアドバイザーや技術顧問という形で、先端科学技術分野において優れた功績をお持ちの科学者・研究者の方々に支援していただいています。たとえば、産業技術総合研究所名誉フェローの浅島誠先生は、常任スーパーアドバイザーとして頻繁に学校に来て、講演の機会を持ってくださっています。また、本校は実験設備なども整っているので、研究を進めるうえでも恵まれています。そうした人的資源と教育環境が整っていることが、生徒の成果に結びついているのだと思います。

神田 たくさんの、それも一流の研究者の方々や企業・研究機関などから支援を得ていますね。どのような経緯でそうした方々が支援してくださるようになったのでしょうか。

永瀬 開校の数年前にアドバイザリー委員会が組織され、そのとき委員長を務めておられたのが、本校の特別科学技術顧問である横浜市立大学名誉教授の小島謙一先生です。委員会にはほかに、東京大学名誉教授で理化学研究所名誉研究員の和田昭允先生もいらっしゃいました。和田先生は日本にも海外にもないサイエンスに特化した学校を創設したいという強い熱意をお持ちで、それに共感した方々がアドバイザリー委員会で案を出し、本校のベースがつくられました。

 和田先生は、昨年お亡くなりになった、ノーベル物理学賞受賞の小柴昌俊先生や元東京大学総長の有馬朗人先生などにも声を掛けてくださり、お二人にスーパーアドバイザーになっていただきました。和田先生がいらっしゃるならと、ノーベル物理学賞を受賞された小林誠先生もスーパーアドバイザーを引き受けてくださっています。

神田 ノーベル賞を受賞された先生方がこれだけ一つの学校にかかわっているとは驚くべきことです。そのほか、多くの研究所や企業、また大学との連携もありますね。

永瀬 横浜市立大学との連携では、医学部実習やさまざまな研究に参加・見学させていただいているほか、高校2年生の研究活動で指導や助言をいただくなどしています。横浜国立大学とも連携していて、生徒への指導においてご協力いただいています。

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さまざまな分野の実験室・実習室がそろう恵まれた教育環境も魅力です

21年4月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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