さぴあインタビュー/全国版
共に考え、挑戦し、創造する。
発展的な学びの場が
新しい世界を開く人を育てる
筑波大学附属駒場中・高等学校 校長 北村 豊 先生/中学副校長 町田 多加志 先生
先輩たちの功績を受け継ぎ
学外でも多様な活動に挑戦
校長 北村 豊 先生
広野 昨年、読売新聞社主催の日本学生科学賞で、内閣総理大臣賞を受賞された生徒がいますね。彼はサピックスの卒業生なので、気になって見ていたのですが、受賞したのが「点字を墨字に翻訳するアプリの開発」。現役の高校生が、視覚障害者をサポートする健常者のためのアプリを作ろうという発想自体がとても驚きでした。
町田 高2になると「課題研究」に取り組むのですが、その一つに「ともに生きる」というテーマがあり、その一環で点字資料を自作したことがきっかけのようです。筑波大学の附属校は11校あるうち、5校が特別支援学校です。そうした学校と交流するなかで、自分たちがコミュニケーションを取りにくいと感じて作ったそうです。賞の発表は12月にありましたが、担当の教員と一緒にガッツポーズをしてすごく喜んでいました。その後に世界大会で発表をするため、大学の先生の講義を受けなくてはならず、高3だった彼は、受験勉強と両立させるのは相当大変だったようです。無事に志望大学に受かってくれてよかったです。
髙宮 特別支援学校との交流から気づきがあって、アプリの開発につながったのですね。人権や道徳にかかわる教育については、どんな取り組みをされているのですか。
中学副校長 町田 多加志 先生
北村 いろいろなところに視点を向けさせようということは意識しています。特に自分とは違う立場の人たちはどう思っているのかといった、人権にかかわることは、総合学習の時間などにテーマを設けて取り組んでいます。また震災についても、テーマを絞って学んでいます。今年は東日本大震災から10年ということもあって、震災があった3月11日を含む1週間を震災学習ウイークにしました。中2生たちは感染防止対策を施し、日帰りで仙台に行って被災地を回ってきました。それに続く学習として、宮城県の大学の研究所の方からオンラインでお話も伺いました。そのほか、子どもの臓器移植手術を行った医師による講義を聴講するなど、さまざまなことに目を向けていますが、生徒たちは感受性が豊かで、いろいろなことを感じてくれます。
髙宮 すばらしいことです。各種の学術系オリンピックでの活躍も目覚ましいですね。
町田 興味のあるものを自分たちで見つけ、仲間を募ってチームを組んで積極的に参加しています。学校としてもサポートをしていて、過去に優秀な成績を収めた先輩たちを呼んで、数学オリンピックのワークショップなども開いています。どんな問題をやったらいいのか、どういう心づもりで臨んだらいいのかなど、実際に出場したからこそ伝えられることがありますから。先輩たちがオリジナルの問題を作って生徒たちに解かせ、それについて講義をしてくれることもあります。
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