受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

自由な校風を守り続け
盛んな行事やクラブ活動で
個性あふれる人物を育む

東大寺学園中・高等学校 校長 森 宏志 先生

人間性を育てる試みとして
「東大寺学」という科目も

聞き手2
サピックス小学部
上本町校校舎責任
中嶋 峰樹

中嶋 次に、教科学習のカリキュラムの特徴について伺えますか。

 本校のカリキュラムは、極めてオーソドックスです。中学から入った生徒は、高3まで週34時間の授業を受けます。7時間目はなく、公立校との違いは土曜日に授業が4時間ある点です。ただ、中高一貫校ですから、高校の内容の一部を中学で学ぶことができるので、中学では、いくつかの科目で先取り学習をしています。たとえば、数学は中2までに中学の内容を学び終え、中3では高校数学の内容に入っていきます。国語については、中学で古文や漢文の授業も行います。そのほか、情報や家庭科についても中学で先取りをしています。以上のことから、高校からの入学生は、中学からの入学生と進度調整をするために1年間は別クラスとしています。そして高2からは、中学・高校入学生を問わず、文系・理系に分けたクラス編成になるのです。

中嶋 補習などもあるのでしょうか。

 はい。中学入学直後は、学ぶ習慣が身についていない生徒もいるため、数学と英語は指名制の補習を行っています。また、中学・高校入学生を問わず、放課後や長期休暇中に実施する補習もありますが、参加は強制ではなく任意です。

中嶋 設立母体が東大寺ということで、他校では経験できない学びもあるのではないでしょうか。

 中等教育は豊かな人間性を育てる場でもあるので、本校では、中学の道徳教育の一環として、「東大寺学」という独自の科目も取り入れています。これは、本校の常任理事である東大寺の僧侶が中心となって、中学3年間で約20テーマの講義を行うものです。礼儀作法の話から始まり、仏教の基本的な考え方も学びます。今の時代は合理的な考え方が主流になっていますが、それとは視点の違う人間のありようを説く仏教思想に触れることができる内容です。例年であれば座学だけではなく、東大寺に残る田んぼで田植えから収穫、餅つきまでを経験します。また、東大寺境内でのマラソン大会なども実施しています。しかし、昨年は、新型コロナの影響で、境内では写生会のみの実施となりました。

21年7月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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