受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

共に学ぶ喜びを感じながら
未来を心豊かに生きる
たくましさを育む

日本女子大学附属中学校・高等学校 校長 椎野 秀子 先生

深く追究する教科の授業
「好き」を究める「年間研究」

先生写真
校長 椎野 秀子 先生

神田 今おっしゃったことは、成瀬先生が唱えられた「自念自動」、つまり「自ら考え、自ら学び、自ら行う」という教育方針に通じるものですね。「自ら考え、自ら学ぶ」といったことばを教育理念として掲げる学校は今では珍しくありませんが、成瀬先生は100年以上も前からおっしゃっていたのですね。

椎野 「自念自動」は今も教育の根幹として受け継がれています。授業やあらゆる場面で、自分で課題を見つけて調べ、話し合ってまとめたものを発表することによって、深い学びにつなげています。本校は卒業生の約80%が日本女子大学に進学しますから、「大学合格をめざす」というような発奮材料はありません。だからこそ「今」をきちんと深く掘りながら見ていくことを大切にしています。今という「近く」を見る目と、大学ではなく、もっと先の10年後、20年後の人生という「遠く」を見る目の両方を養ってほしいと生徒たちに伝えています。

 授業でも、あらゆる場面で深堀りします。たとえば国語では、中2になると『アンネの日記』を分厚い文庫本の完全訳で読みます。中3では原爆の恐怖と悲劇を描いた井伏鱒二の『黒い雨』を読みます。わたしは国語の教員ですが、せっかくなら一生忘れない作品を取り上げて学びたいと思っています。

中野 中3では「年間研究」がありますが、これは卒業論文のようなものですか。

椎野 「年間研究」は、中学3年間の集大成と位置づけているもので、自分で興味のあるテーマを決めて、1年間をかけて調べていきます。人形浄瑠璃の人形作りに挑戦する生徒もいれば、スーパーで買ったアジの内臓に生息する微生物をひたすらチェックした生徒もいます。仮に、アイドルをテーマにしたとしても、立派な研究になります。何が入り口でも学問研究につなげていければいいのです。やはり自分の「好き」を究めていくことは楽しいですし、充実した学びになります。

21年8月号 さぴあインタビュー/全国版:
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