受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

探究・発信型の学びを基盤に
将来への意識を高める
新しい教育システムを導入

開智中学・高等学校 中高一貫部 校長 菅沼 健児 先生

大村博士の思いを受け継ぐ
生徒たちの探究の姿勢

神田 2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞なさった大村智先生が名誉学園長です。大村先生は高校の教員経験があり、教育方針には先生の教育についての考えが生かされているそうですね。

先生写真
中高一貫部 校長 菅沼 健児 先生

菅沼 開校前の1995年、当時は北里研究所にいらした大村先生を学園の理事としてお迎えしました。大村先生は、子どもたちが自分で考え、自分で問題を解決していく力を中高6年間で培っていける学校にしたいと希望されていました。本校の教育理念において、社会貢献が最も重要な部分ですから、将来どのような形で社会に貢献したいのかを意識して、中高6年間で必要な力をつけていってほしいと思います。大村先生も、けっして自分の利益や名誉のために研究されたわけではなく、病に苦しむアフリカの人々を救いたいという思いで続けてこられたと思います。その信念を生徒たちにも受け継いでほしいですね。中学受験を経て入学してくるので、成績が気になるのは当然のことですが、良い成績をとるのはあくまでも手段であって、目的ではないことは意識してほしいと思っています。

神田 理系の優秀な生徒には「大村賞」という賞を授与していますね。この賞は、まさに大村先生の思いを未来につなげるものといえますね。

菅沼 大村賞は1期生が卒業するときに創設されたものです。2021年度卒の第19期生まで、計22名の生徒に授与されています。これまでの受賞者は、卒業後に医師や研究者としてさまざまな場で活躍しており、国内外の大学院などで研究を続けている卒業生もいます。生徒たちは「科学の甲子園」など外部のコンテストにも積極的にチャレンジして賞を獲得しています。今年はミュオグラフィーの研究で「日本地球惑星科学連合2021年大会高校セッション」で奨励賞を受賞した生徒もいます。

神田 ミュオグラフィーは、宇宙から地球に届く宇宙線ミューオンを測定することで構造物の厚みや空洞の有無を測定する技術です。学校のブログを拝見しましたが、そういう分野があるのを知って、自分で調べ、関係機関に掛け合って宇宙線検出器を借りるなどして研究を進めたそうですね。すばらしいことです。

菅沼 本人は、「自分はそんなに行動力があるタイプではないと思っていた」と言っています。いろいろ調べるうちにいつの間にかどんどん行動していて、「自分がいちばん驚いた」と言っていました。

神田 「他の星に住むには」というテーマで、探究の学習に取り組んだことがきっかけだったそうですね。データ分析や資料作成は大変だったけれど、物理の先生がアドバイスしてくれて、何とか研究を進められたとか。ミュオグラフィーは東京大学で研究が進んでいて、さまざまな探査に応用できる期待の技術です。大学では航空宇宙工学を学びたいと希望しているそうですが、将来がとても楽しみですね。

21年12月号 さぴあインタビュー/全国版:
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