受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

探究・発信型の学びを基盤に
将来への意識を高める
新しい教育システムを導入

開智中学・高等学校 中高一貫部 校長 菅沼 健児 先生

素朴な疑問から出発する探究
集大成は英国でのプレゼンで

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玉井 教科の学習と並ぶ教育活動の柱として、早くから探究型の学習を取り入れていますね。探究型の学習は、どのように進められるのでしょうか。

菅沼 中1から高1までの全員が個人の探究テーマに取り組み、中2と高1のときに全員が探究テーマ発表会で発表します。身近な事柄に対する素朴な疑問から出発して、まずは疑問の答えを自分なりに考えて仮説を立て、文献調査や実験・観察などを行って検証し、考察していきます。こうした一連の流れを繰り返すことによって、思考力と課題解決力が育っていきます。

神田 テーマ例を拝見しましたが、どれもおもしろそうですね。文系では、たとえば探偵小説の「叙述トリック~読者が騙される仕掛けと伏線~」というものがありました。どのようなことばを選べば読者がトリックにかかりやすいかを研究するとは、おもしろいところに着眼したと思います。理系の例では「小作農/兼業農家の未来を明るくするにはどうすべきか?」というテーマが出ていました。これは文系にも通用するテーマですが、稲の育て方などを研究しているそうなので理系からのアプローチですね。理系・文系という枠を超えた研究ができるのも、探究型の学習の良いところですね。

玉井 探究にはフィールドワークが欠かせませんが、学年ごとにテーマを設けたフィールドワークも行っていますね。中1は磯のフィールドワーク、中2は森のフィールドワーク、中3は関西フィールドワークで、それぞれグループ研究をして発表するわけですね。高2になると英国フィールドワークがありますが、これはどのような内容ですか。

菅沼 フィールドワークの集大成として、ロンドン近郊のブルネル大学の寮に1週間宿泊し、それまで積み上げてきた探究テーマの成果を英語でイギリスの大学生に向けてプレゼンテーションをし、ディスカッションもします。これはたいへん貴重な体験になります。

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玉井 希望者を対象とした海外研修は、通常なら中3ではオーストラリアとカナダでの語学研修、高1ではカリフォルニア大学バークレー校での「次世代リーダー養成プログラム」がありますね。

菅沼 カリフォルニア大学バークレー校での研修は、「リーダーシップとは何か」を考えることがテーマです。高1ぐらいだと、将来の目標がはっきりしていなくて悩んでいることが比較的多いのですが、このプログラムに参加した生徒は「何かしなくては」という思いを抱いて帰ってきます。「じっとしていてはいけない」と思うようで、それが直接的な行動として文化祭での活動につながったりします。海外では、積極的に発言しなくてはならない雰囲気があります。行ってすぐは恥ずかしくて何も言えなかった生徒でも、だんだんできるようになっていきます。それを日本の社会でも試してみようと思い、「自分の考えを形にしなくてはならない」と考えるようです。そのような姿勢は、周りの生徒にも良い影響を与えます。

21年12月号 さぴあインタビュー/全国版:
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