さぴあインタビュー/全国版
将来を見据えた10年一貫教育で
社会の担い手となるための
強固な土台を形成する
法政大学第二中・高等学校 校長 五十嵐 聡 先生
30名以下の少人数クラスで
一人ひとりに目が届く授業を
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹
神田 初めに、法政大学第二中・高等学校の沿革と、先生が学校にかかわってこられた経緯についてお聞かせください。
五十嵐 本校は140年を超える歴史を持つ法政大学の付属校です。1939(昭和14)年に旧制の法政大学第二中学校として創設され、戦後に学制改革で法政大学第二高等学校となり、1986年に第二中学校が設置されました。そして2016年には共学化を実現するとともに新校舎が完成したのです。法政大学は長い歴史のなかで「自由と進歩」の学風を継承し、何ものにもとらわれない自由な発想と、それを実現していく実践力を大切にしてきました。本校もこの精神を受け継ぎ、一人ひとりが自分の考えを持つとともに、それぞれの考えをぶつけ合い、話し合い、結論を導き出すという姿勢を大切にしています。
わたしはちょうど中学校が開校した年に、中学の教員として採用されました。当時は1学年4クラス編成で、1クラスは40名でしたが、現在は中1・2が8クラスあり、1クラス28~29名の少人数としています。中3は6クラス編成で、1クラス37~38名となっています。
神田 これだけの規模がありながら、生徒一人ひとりに目が行き届く、非常に恵まれた環境ですね。先生は博士号をお持ちですが、大学院を卒業されてから教職に就かれたのですか。
五十嵐 わたしは大学院のマスターまで新潟にいました。縁があって本校に来ることになり、その後にドクターを取得しました。本校に来てすばらしいと思ったのは、当時から、教員がみんな研究熱心で、教育と研究という二つの軸を一つにして取り組んでいたことです。わたしはもともと地学が専門で、岩石や地質について地道に研究を続けていましたが、2002年に横浜国立大学で新しくドクターコースができるということを聞き、本校の教員をしながら、社会人入学の枠で入ったのです。本校に就職したときは、地学を志す生徒を一人でも増やしたいという気持ちでした。
神田 地学は大切な学問です。しばしば報道されているように、日本はいつ大地震が起きてもおかしくない状況です。にもかかわらず、各地に原発があり、糸魚川-静岡構造線を西縁とするフォッサマグナが横断している新潟県には、新発田-小出構造線など、判明しているだけでも複数の断層帯が走っています。事実、新潟地震や新潟県中越地震、新潟県中越沖地震など、大きな地震が昭和から平成にかけて起きており、そこに世界最大級の原発、柏崎刈刃原発があるのです。また、最近は毎年のように各地で水害が発生しており、地学の知識は、環境保護だけでなく、安全な暮らしを守るうえでも重要です。
五十嵐 日本の高校では、地学が学べる場はあまりありません。日本列島に暮らす人間として知らなくてはならないことは、中学までに学ぶ必要があります。そこで何を教えるべきか、中学の理科教育のなかでも真剣に考えられています。
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