受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

将来を見据えた10年一貫教育で
社会の担い手となるための
強固な土台を形成する

法政大学第二中・高等学校 校長 五十嵐 聡 先生

体験学習の柱は中3の研修旅行
今年からは新しい形で展開

聞き手1
サピックス小学部
教務部
西川 敦

神田 教育の特徴として「体験重視」も挙げられ、校外授業・林間学校・研修旅行・国際交流など、数多くの機会が用意されていますね。

五十嵐 これまでは中3の総合学習で、さまざまな研修旅行を行っていました。たとえば、北海道でファームステイをしながら農業体験をする、対馬・壱岐で文化交流の歴史をたどる、長崎・水俣で環境問題や核について学ぶ、といったことのほか、夏にはニュージーランド研修を行っていました。研修旅行は総合学習の軸となる取り組みなので、さらに深い学びを追究するため、行き先を見直して、今年から広島を中心としたコースに一本化することにしました。9月に4泊5日の日程で行う予定でしたが、緊急事態宣言の延長で延期となりました。ただ、それまでしっかりと事前学習をしてきたので、12月に行く方向で準備を進めているところです。

西川 具体的にはどのような内容の体験学習になるのでしょうか。

五十嵐 新たな取り組みなので、今まさに模索しながらやっているところです。中3の総合学習として行うもので、具体的には広島を切り口にして、クラスごとのテーマ、グループごとのテーマをそれぞれ決め、総合の時間を使ってグループごとに図書館などで調べます。図書館には約6万5000冊の蔵書と整備されたインターネット環境があり、探究型学習ができるスペースも設置されているので、そこで話し合ったり、まとめの作業をしたりできます。

 10月には中間発表があり、グループごとに調べてまとめた内容を、スライドを使って発表しました。テーマは実にさまざまです。核の問題、文化の問題のほか、カキの養殖の問題に取り組んでいるグループもありました。現地に行った後、最終的には中2に向けて、2月ごろに発表を行う予定でいます。

神田 この夏は「黒い雨」を巡る訴訟の判決もあり、やはり広島というと原爆のことがすぐに思い浮かびます。でもそれだけでなく、カキの養殖の問題も、最近はSDGsの取り組みの一つとして注目されています。また、戦時中の徴用に対する補償など、さまざまな問題を抱えています。

五十嵐 いろいろなテーマが考えられます。これまでの研修旅行で蓄積した経験を生かしながら、みんなで行き先を広島に決めたわけですが、良いところを選んだと思います。

22年1月 さぴあインタビュー/全国版:
目次|3|

ページトップ このページTopへ