受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

世界に通用する教育を通して
「新しい価値」を生み出す
グローバルリーダーを育成する

海城中学高等学校 校長 柴田 澄雄 先生

「先輩ができたなら自分もできる」
その思いがより高い目標へと導く

集合写真

堀口 先ほどの山田さんをはじめ、海外大学に目を向ける生徒は確実に増えているのではないでしょうか。

柴田 2021年度は6名がチャレンジして、延べ13大学に合格し、そのうち3名が進学しました。現在の高3生のうち、海外大学への進学希望者は5名ほどいます。

神田 国内の大学では、特に医学部への進学実績が目を引きます。2021年度の国公立大学医学部医学科の現役合格者数は35名で、全国では7位、首都圏では3位です。もちろん、そのほかの分野でも多くの合格者を出していて、一人ひとりが希望進路を実現する力を6年間でしっかり身につけていることがわかります。

柴田 先ほどの社会科総合学習では、中1からいろいろな職場に足を運ぶ機会を設けていますが、そのなかで多くの生徒たちが心を打たれて帰ってくるのが医療分野なのです。自分もこういうところで仕事をしたいと思うのでしょうね。生徒をサポートするために教員が医学部小論文講座を立ち上げて、もう十数年がたちます。そして、難関を突破する先輩が出てくると、後輩たちは「自分も国立大学の医学部に入れる」と思うようになり、志望者が増えていきました。

堀口 中学入試については、変更や新しい試みなど検討されていることはありますか。

柴田 今のところ考えていません。入試のことについて言うと、わたしたちが感じているのは、年を追うごとに子どもたちの非認知能力が下がってきているということです。リアルな経験を積んでいない結果、コミュニケーション能力や共感能力が低下し、自立性・自発性が乏しくなっているのではないかと心配しています。そういう子どもたちを6年間かけて、能動的で主体的で、そして「新しい価値」を生み出すような人材に育てなくてはなりません。それがわたしたちの使命であり、社会的な責任です。そのような能力の育成を促すような中学入試ができればと思って、今いろいろな形で試行錯誤をしているところです。

神田 子どもたちに実体験が乏しいことはわたしも感じます。それだけに貴校が導入されているような、実体験が組み込まれた教育プログラムは今後ますます必要になりますね。そうした意味でも中等教育の重要性をあらためて感じた先生のお話でした。本日はありがとうございました。

22年3月 さぴあインタビュー/全国版:
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