受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

刺激し合い、高め合う
独自の教育プログラムで
みずから学び成長する力を育む

本郷中学校・高等学校 理事長 松平 賴昌 先生/校長 佐久間 昭浩 先生

「どうすれば生徒のためになるか」
改革の根底にある教員の意思統一

神田 貴校には、先生方の工夫で始められた教育プログラムがいくつもあります。検定制度もその一つですが、「本数検(本郷数学基礎学力検定試験)」はどのように活用されているのでしょうか。

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理事長 松平 賴昌 先生

佐久間 「本数検」は、中学は学年ごと、高校は全学年共通の試験を行って、点数に応じて級や段を与える本校独自の検定試験制度です。学内だけの検定ですし、履歴書に書けるようなものではないので、始めた当初は級や段の認定証をもらってもうれしくなかったようです。それでも、続けてデータを蓄積していくと、「この時期にこの段を得た生徒は、こういった大学に合格している」といった相関関係が見えてきます。それを生徒に示すようにしたら、自分で目標を設定して、積極的に取り組むようになりました。今では認定証をもらうときに、とても喜んでくれます。

岡本 中学で実施する数学の合同授業も特色の一つですね。中1と中2が同じ教材で学習するとのことですが、具体的にはどのような授業になりますか。

佐久間 中1と中2が2人1組になり、先輩から後輩へ学習に関するアドバイスを行う特別な授業です。年に3~4回実施し、その時期に応じたさまざまなカリキュラムを組んでいます。勉強を教えることだけを考えれば、教員がやったほうが効率的ですが、先輩が後輩に教えることに意味があります。後輩にとっては勉強を教わるだけでなく、学校生活に関するさまざまな相談ができる場にもなります。先輩は後輩を教えることでさらに理解が深まります。

神田 本郷における学習や学校生活の在り方が、先輩から後輩に受け継がれていきますね。そうしたことも先生方がいろいろ試行錯誤して、工夫してこられたのですね。

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校長 佐久間 昭浩 先生

佐久間 本校はもともとトップダウンではなく、ボトムアップの学校です。ある教員が現場でやっていたことを「これいいね、自分もやってみよう」といった形で広がっていくことがよくあります。ノウハウがなかった時期には、とにかく「教え込む」「与える」という形でやったこともありました。そうすると、生徒も保護者も喜びますし、教員も満足しますが、「やった割にその成果はどうなんだろう」という疑問がありました。今はそうしたアプローチはしません。

 よく「本郷はいろいろな改革をしている」と言われますが、わたしたちのなかで「改革」と言われて思いつくものがあるとしたら、それは「意識改革」です。教員間では「どういうアプローチをすれば生徒たちのためになるのか」についての意思統一が図られています。親鳥が、口を開けて待つヒナに餌を与えるのではなく、「どうしたら自分で餌を食べに動いてくれるか」という発想で、それぞれの教員が考えたことを実践しています。

22年6月 さぴあインタビュー/全国版:
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