さぴあインタビュー/全国版
学び合いを重ねながら
「自己探究」を深め
未来に生きる力を培う
東京都市大学付属中学校・高等学校 校長 篠塚 弘康 先生
きめ細かいコース制で
明確な目標に向かう意識を高める
校長 篠塚 弘康 先生
神田 そのために先生方が心がけているのが、生徒を「師近距離」で見守ることですね。この表現を見て、なるほどと思いました。干渉するのではなく、見守りを心がけ、必要に応じて生徒とコミュニケーションを重ねて、信頼関係を構築していくという意味ですね。
篠塚 教員が生徒と面談をしている光景はよく目にしますし、距離はとても近いですね。でも、過保護すぎてはいけません。時には突き放すことも必要です。それから、男の子は何を聞いても「別に…」としか答えない時期があります。家庭でもあまり話さないと思います。それだけに学校からの情報提供は大事なので、毎週、学年通信を発行して、生徒たちの学校生活の様子を具体的に伝えるようにしています。教員と生徒は親子ではありませんから、マンツーマンの関係はそう深くはありません。しかし、精神的な距離が近いと、たとえば何かあると友だちが教えてくれます。「○○くん、困っているよ」と。本人はなかなか言い出せないものですが、周りの友だちが気にかけて、わたしたちの耳に入れてくれるのです。
中野 生徒のネットワークのなかに先生も入っているということですね。信頼関係が築けていないとできないことですね。
神田 クラスはコース制で、Ⅱ類とⅠ類に分かれています。Ⅱ類は東大・京大・国公立大医学部など最難関大学をめざすコース。Ⅰ類は難関国公立大学・難関私立大学をめざすコースで、中1から分かれているのですね。
上/物理・化学・生物の実験室が6室あり、中学3年間で約60テーマの実験を実施しています
下/メディアセンター(図書館)ではノートパソコンの貸し出しもあり、自学自習にも最適です
篠塚 中学入試の成績によってⅡ類とⅠ類に分かれます。Ⅱ類とⅠ類は学習の深度は違いますが、年間カリキュラムや授業の進度は同じなので、進級時にⅠ類からⅡ類に転類することもできます。中1・2はⅡ類とⅠ類のみで、中3・高1では、Ⅱ類がαとβの2クラスに分かれます。さらに高2・3では、Ⅱ類・Ⅰ類ともに理系と文系に分かれます。
中野 進路に対応したきめ細かいクラス編成だと思います。こうしたクラス編成を採るメリットはどのようなところにありますか。
篠塚 まず、自分を見つめられるということです。「みんなでがんばろう」という気持ちはあっても、学力には個人差があり、それぞれが努力すべき目標や克服すべき課題に早い段階で気づくことができます。中学受験を終えたばかりですから、入学後すぐに「次は大学受験をがんばろう」と言うことはありませんが、早いうちから意識づけをすることは大切です。高2くらいになると、模擬試験などを重ねるうちに目標が下がってくる生徒がいます。そんなときも「このコースに入ったからにはがんばろう」「みんなと合格をめざそう」という気持ちになれます。
中野 進級段階でⅠ類からⅡ類に転類する生徒もいれば、Ⅱ類からⅠ類に転類する生徒もいるわけですね。そういった意味でも刺激になりますね。
篠塚 クラスの定員は決まっていないので、人数が増えればクラス数を増やします。入学時はⅡ類が2クラス、Ⅰ類が4クラスですが、入学後のがんばりが反映されていきますから、通常は中3で3クラスずつになります。入学時にⅠ類でも、がんばってⅡ類に入った生徒は、自分の学習ペースをつかんで転類したわけですから、転類後も成績は伸びていきます。
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