受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

学び合いを重ねながら
「自己探究」を深め
未来に生きる力を培う

東京都市大学付属中学校・高等学校 校長 篠塚 弘康 先生

進路探究プログラムの成果が
高い大学合格実績に反映

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神田 大学合格実績を拝見すると、今春は東京大学に12名が合格し、そのうち11名が現役生です。難関私立大学への実績も伸びています。一方で国公私立大学の医学部への実績もすばらしく、今春は37名が合格し、そのうち29名が現役。この現役合格率は全国で見てもトップクラスです。進学先は多岐にわたっていて、それぞれが自分の進路を見いだしているのがわかります。

篠塚 進学先に関しては、教員が特定の大学の受験を勧めることはまずありません。志望校は生徒みずからが見つけています。ただし合う・合わないはありますから、学部・学科ごとのガイダンスは非常にきめ細かく行い、自分に合うところに進むよう伝えています。そのための「受験力」をつけることにも力を入れています。

中野 「キャリア・スタディ」など、さまざまな進路探究活動が行われていることが、高い合格実績につながっているのだと思います。自分の将来の姿をイメージできてから受験勉強を始めれば、迷いなく目標に向かって進めるのではないでしょうか。

神田 中学入試について伺います。2022年度は、すべての回において前年より応募者数が増えています。全体で3966名と、前年の3534名と比べると12.2%も増えています。コロナ禍で応募者を減らす学校が少なくないなか、これだけの受験生を集めているのは、さまざまな教育の試みや成果が皆さんに伝わっているからだと思います。さて、来年度の入試は日程が変わるそうですね。

篠塚 一般入試を4回行うことは変わりませんが、来年度から2月1日の午前入試を設けることにしました。ですから1日の午前と午後、3日午前、5日午前の4回とし、募集定員も変わります。第一志望の受験生が入りやすい形にしたいと思います。

中野 入試問題も第一志望の受験生を考慮した内容を考えていらっしゃるのでしょうか。

篠塚 1日の午前と午後の受験生の入学率のこともありますから、そういったところを踏まえての問題になると思います。

中野 1日午前に新設したのは、第一志望校として選んでくださいというメッセージが込められているわけですね。

集合写真

篠塚 第一志望で合格すると、成功体験を持って入学できますから、その時点での成績はどうあれ、学校の中核を担う生徒になってもらえると思います。本校は帰国生入試も行っていますが、当初は「英語はできるとしても、他の教科は大丈夫だろうか」と心配したそうです。しかし、ふたを開けてみると、生徒同士が教え合い、学び合う関係がそこにはありました。苦手なことは友だちに聞いて、どんどん吸収していくことができます。本校では英語を試験科目に入れたグローバル入試も行っていますから、1学年に50人程度の海外生活経験者がいて、「自分は英語がしゃべれるんだぞ」と自慢するわけです(笑)。すると周りの生徒が刺激を受けて、自分もしゃべれるようになりたいと思うのですね。そういう環境がありますから、合格して入学していただければ、そのなかでまた人間関係が生まれ、刺激し合って、たくましく、強く成長できると思います。

神田 まさしく学び合う環境があるわけですね。最後に、受験生と保護者の方にメッセージをお願いいたします。

篠塚 本校には本当の学びができる環境、学び合って成長していける環境があり、それが明るく活気のある雰囲気を作り出しています。本校に来て以来、そのことを強く感じています。勉強をするにしても、行事や部活動をするにしても、それがいちばん大切です。ぜひ本校に来て、実際に確かめていただければと思います。

神田 先生方は大変だと思いますが、成長を促す仕掛けがたくさんあって、生徒たちは楽しい学校生活を送っている様子がうかがえます。本日はありがとうございました。

22年9月号 さぴあインタビュー/全国版:
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