受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

社会貢献するための
全人教育を通して
「己の如く人を愛する」人に

暁星中学校・高等学校 校長 髙田 裕和 先生

自分の大切さを知ることで
他者も大切にできるようになる

先生写真
校長 髙田 裕和 先生

神田 教育理念は「キリスト教の愛の理念そのもの」とされています。これはどのような意味ですか。

髙田 人は独りでは生きていけません。人とどうかかわりをつくって生きていくかを考えたとき、本校が人を育てるうえで大事にするのは、「己の如く人を愛せよ」ということです。そのためには、自分自身が何者かを知る必要があります。それがなければ「人を大切にする」ことはできません。自分が何者なのかを知ることにより、自分と同じように人を大事にすることを知るのです。神様はすべての人に同じようにまなざしを注いで、大切にしてくださいます。人に優劣はありません。そのことを本校の教育を通して悟ってくれればと思っています。

神田 教育方針には3点挙げられています。「常に高潔なる精神を堅持し、誠実勤勉でなければならない」「真理を探求し、正しい人生観を育成し、常に永遠なるものに想をいたすものでなければならない」「伝統を重んじ、校風を愛し、平和と秩序の内に心身を鍛錬して、学校生活を豊かにし、かつこれを楽しむものでなければならない」ですね。

キャプションあり
上/125周年記念事業として、2018年に完成した講堂。1000席以上の座席があります
下/講堂の上の階に位置している体育館も、2018年に完成しました

髙田 そういうことが、人を育てていくうえで大切だろうと思っています。2点目の「永遠なるもの」というのは、自分を超えた存在です。先ほども申しましたが、自分が何者かがわからなければ、永遠なるものにどう向き合えばいいかもわからないと思います。自分が何者かということに気づくと同時に、自分を超えた存在に対してどう向き合えばいいかを知る、ということになると思います。

山口 3点目に「学校生活を楽しまなくてはならない」とありますが、先生の目からご覧になって、生徒たちは楽しんで学校生活を送っていますか。

髙田 先日、本校の文化祭であるエトワール祭を生徒と一緒に体験しました。新型コロナ対応で例年どおりとはいきませんでしたが、自分たちでさまざまな企画を考え、しかも今回は外部からお客さまをお招きして開催できたので、生徒たちはとても喜んでいました。

山口 卒業生の方もたくさん来られたと思います。通常なら特別な行事がなくても、事あるごとに卒業生の方たちが学園に戻ってこられ、在校生たちと触れ合うことが伝統になっているそうですね。

髙田 同窓生の方々が各方面で活躍していますから、先輩方にどんな考えで自分が進路を決めたかなどのお話を伺ったり、お仕事の現場にお邪魔したり、さまざまな形で協力していただいています。自分が将来どういうところで、どういう形で生きていけるか、を考える助けになっていると思います。

神田 創立以来、多様性を重んじているとのことですが、卒業生の方々のお名前を拝見してもとても多彩ですね。学界・政財界はもちろん、詩人、ファッションデザイナー、人間国宝になられた歌舞伎界の方々から、映画監督、俳優、音楽家、芸能人など、多方面でご活躍の著名な方々が数多く名を連ねています。こうした卒業生がいらっしゃると、在校生の皆さんも強い気持ちで、自分の好きな道を探っていくことができると思います。

髙田 誰かと比較することなく、自分が一人の存在としていちばん大切なのだということをわかってもらえればと思います。だからこそ、自分と一緒にいる人も同じように大切なのだと。それがわたしたちの教育の根幹ではなかろうかと思っています。

23年2月号 さぴあインタビュー/全国版:
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