受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

子育てインタビュー

元駐米大使から未来を担う子どもたちへのメッセージ

自分の力を「決めつけない」で
高い目標に向かってジャンプしよう

 新型コロナウイルス感染症の拡大や国家間紛争の長期化などにより、先行きの見通しが立てにくくなった現代社会。未来を担う子どもたちは、どのような力を身につけていけばよいのでしょうか。今回は、外交官として長年にわたり活躍され、現在は北鎌倉女子学園の理事長を務める藤崎一郎先生に、SAPIX YOZEMI GROUPの髙宮敏郎共同代表がインタビュー。今求められている国際力の育み方などについて伺いました。

自立できる女性の育成をめざして
「ジエシカ改革」を推進中


北鎌倉女子学園中学校高等学校
〒247-0062 神奈川県鎌倉市山ノ内913
JR横須賀線「北鎌倉」駅より徒歩7分
TEL:0467-22-6900
URL:www.kitakama.ac.jp 別ウィンドウが開きます。

髙宮 藤崎先生は現在、国際社会が直面する重要課題について研究・提言を行う中曽根平和研究所の理事長を務める一方で、2017年から北鎌倉女子学園の理事長として学校改革にも取り組んでいらっしゃいます。どのような教育をめざされていますか。

藤崎 わたしは長い外交官生活から得た経験を教育に反映させたいと思っています。北鎌倉女子学園中学校高等学校はとてもいい学校ですが、時代の要請に合致していない部分もありました。そこで、現代社会で自立できる女性、自分で考えられる女性を育てようと、「ジエシカ改革」というビジョンを策定しました。

 ジエシカの「ジ」は、自立し、伸び伸びとした女性を表します。厳し過ぎた学則を見直し、土曜授業は原則的にやめ、部活回数を制限しました。生徒が自分の時間を持って、自分で行動し、自分で時間を管理できるようにするためです。次の「エ」は、英語です。ネイティブ教員を常勤化し、人数を増やし、毎日放課後に英会話をしたり、英語で遊んだりする大きな部屋をつくりました。3番目の「シ」は、施設設備の改善。校舎をリフォームして、新しい教育が実現できる環境に変えました。最後の「カ」は、地元である鎌倉に密着した教育をめざすということです。円覚寺や鶴岡八幡宮で英語のボランティアガイドをするなどの取り組みを行っていきます。

 学習面については、授業やペーパーと、ディスカッションやタブレットを併用するハイブリッド型をめざしています。知識を与えずアクティブラーニングを行っても、単なるおしゃべりで終わってしまいます。タブレットは使いますが、ペーパーも使います。大学受験は紙に手書きしなければならないし、社会に出てからも大事な手紙は紙に書かなくてはならないからです。

髙宮 開成中学校・高等学校の前校長・柳沢幸雄先生を学園長に招聘したり、校長は県立高校から女性のベテランを招いたり、ドルトン東京学園の副校長を情報担当の理事長補佐に起用したりするなど、外部からも積極的に人材を登用していらっしゃいますね。北鎌倉女子学園の教育が今後どう変わり、どう進化していくのか、わたしたちも大きな関心と期待を寄せています。

将来の可能性を広げるには
「決めつけない」ことが大切


Y-SAPIX Global Campus(YGC)からのお知らせ
「第9回 グローバル教育講演会&国内外進学フェア
〜世界と日本を視野に入れたグローバルな進路選択〜」
において、藤崎一郎先生の講演会を開催します。
ぜひ、ご来場ください。
2023年3月12日(日)開催予定
会場およびオンライン(ハイブリッド)にて実施

髙宮 これからの時代を担う子どもたちに、あらためて伝えたいことはありますか。

藤崎 裸眼と望遠鏡を併用する「複眼的思考」を心がけてほしいと思います。目の前のことは裸眼できちんと把握します。そのうえで、望遠鏡で将来の望ましい自分の姿を眺め、そこに至る段取りを自分なりに考えていくのです。

髙宮 先生は著書のなかで「部活漬け」になることに懸念を示していらっしゃいます。わたし自身、中高時代に野球部で練習にいそしんでいた経験が自分の背骨になっていると感じている一方で、もっといろいろな体験をしておけばよかったという思いも抱いています。

藤崎 部活にはいい面もたくさんあります。ただ、のめり込み過ぎて学生時代をそれだけで過ごすのはどうかと思います。これから自信をもって世の中に出ていくためには、学校で資格やスキルを身につけておくことが大切です。たとえば、北鎌倉女子学園では卒業していくときに、英語とITスキルを両手に武器として持っていってもらうようにしています。

髙宮 国際的に活躍できるような子どもを育てるために、保護者の方が気をつけるべきことはありますか。

藤崎 「決めつけないこと」です。保護者の方がお子さんの相談に乗ることは大事です。しかし、まずは本人の希望を尊重すべきで、保護者の方が「どこの大学に絶対に入れ」とか「あそこは難しそうだから安全な選択をしろ」とか指示し過ぎるのは疑問です。

 中高生を見ていると、本人たちも「わたしは英語が不得意だから」とか自分で決めつけがちなのが気になります。まだ10代なのですから、できないなどと決めつけないで、思い切ってチャレンジしてみるべきです。仮に失敗したとしても、「やって後悔する」ほうが「やらないで後悔する」よりも、悔いが少ないと思います。わたし自身、私立大学からの外交官試験受験はかつては例が少なく、勇気がいりました。

髙宮 学びの場では、まず思い込みや社会通念を排除することが大切になるのですね。本日は有意義なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

22年11月号 子育てインタビュー:
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