受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

この人に聞く

共学化から2年新校舎で進化した付属校ならではの学び
6年間で「自分」をつくり、大学で結実

 法政大学の付属校として「自由と進歩」の学風を受け継ぎながら、70年以上の歴史を刻んできた法政大学第二中・高等学校。2016年に新校舎がすべて完成し、共学校として新たなスタートを切りました。以来、中高大連携プログラムや国際交流活動などを充実させ、大学付属校としての魅力がさらに増しています。受験にとらわれることなく、学びの本質にじっくり向き合える6年間。その教育の特色や学びの魅力を、校長の北詰昌敬先生に伺いました。

法政大学第二中・高等学校
校長 北詰 昌敬先生

付属校の特色を生かし
中高大の連携も充実

サピックス小学部教育情報センター部長広野 雅明
サピックス小学部
教育情報センター部長
広野 雅明

広野 貴校は、三鷹市の法政大学中学高校、横浜市の法政大学国際高校とともに、法政大学が併設する三つの付属校の一つですね。その法政大学は近年大きな改革を進めて話題になっています。

北詰 2014年、総長に田中優子氏が就任し、大学のブランディングの取り組みがスタートしました。ブランディングというと、対外的な価値を高めるもの、というイメージを抱かれるかもしれませんが、ここでいうブランディングとは、自分たちがこれまでしてきたことを振り返り、その価値を自覚し、社会に何が発信できるかをあらためて検証し、ことばにしていく作業でした。

 わたしたち付属校の教員も参加して、「法政らしさとは何か」を徹底的に話し合いました。その結実が2016年に完成した「法政大学憲章」です。冒頭に「自由を生き抜く実践知」ということばを掲げており、これが大学から社会への約束です。

 この「実践知」とは、いわゆる「実学」とも違い、社会が抱える課題を解決するための倫理性を持った〝知〟です。実践というからには現場に根ざすことが大切で、それを担うためには、一人ひとりが自立し、他者に共感的でなければなりません。そんな内容を盛り込んでいます。

広野 大学の魅力が高まると、いずれはそこに進学する多くの生徒さんたちのモチベーションもさらにアップしますね。

北詰 田中総長が江戸文化の研究者ということもあり、文部科学省の私立大学研究ブランディング事業の採択を受けた新たな研究事業「江戸東京研究の先端的・学際的拠点形成」もスタートしました。スーパーグローバル大学として国際交流の取り組みも活性化しています。現在15学部体制で、英語だけで講義を行うグローバル教養学部(GIS)も設置されており、総合大学としてさらに魅力が増していると思います。

広野 一方で、貴校は、2016年4月、男子校から共学校に生まれ変わりました。校舎も新しくなりましたね。

北詰 共学化と、それに伴う校舎の建て替えに当たっては、教育の在り方や学校の将来像について、学内で徹底的に話し合いました。というのも、1939(昭和14)年に旧制中学として創立して以来、本校には男子校としての長い歴史があり、共学化に際しては抵抗感があったのです。しかし、本校は創立以来、一貫して多様性や個性の違いを認め合う精神を大切にしてきています。その精神があるからこそ、多士済々の人材を世の中に輩出することができているのです。では、振り返って、これまでわれわれがやってきたことは、共学化によってできなくなるようなものだったのか。また、多様性を認めると言いながら、男女の多様性については否定するのか。そうした、侃々諤々の議論の末に、教員会議の多数決で共学化が決定したのです。

 それからは、学校を挙げて新たなコンセプトづくりに取り組み、これまで大切にしてきた教育理念や目標を踏まえつつ、社会情勢も加味して具体的な目標を盛り込んだコンセプトシートを完成させました。そしてそのコンセプトに沿って、中高大連携や国際化などをキーワードにした学校づくりを進めています。

広野 中高大の連携は、付属校の大きなメリットの一つですね。具体的にはどのような取り組みがあるのですか。

北詰 大学の教員がゼミ生とともに来校して授業を行うといった機会は中学段階から用意していますが、大学との本格的な連携は高校からです。たとえば、多摩キャンパスで毎年夏に行われる英語合宿「Hosei Summer English Camp」は人気で、英語をしっかり学べることに加えて、留学生リーダーや派遣留学生との交流を通じて、大学生活のリアルなロールモデルを見つける機会にもなっています。また、理工学部や生命科学部など理工系の学部が共同で開催する理科体験授業「ワンデー・サイエンス・カレッジ」では、小金井キャンパスで実験や実習が体験できます。

 進路指導では、大学の教員が学部別に直接説明してくれますし、付属3校の高校1年生とその保護者を大学に集めて行う「ウェルカム・フェスタ」という大きな催しもあります。これは、大学教員による講演、現役大学生によるクイズ大会、保護者向けの就活説明会などを含む半日イベントで、法政大学の教育について深く理解できる充実した内容です。

図書館を最大限に活用した授業
多くの教員が司書教諭免許を取得

外観写真1

Profile法政大学第二中・高等学校

所在地:〒211-0031 神奈川県川崎市中原区木月大町6-1

JR 南武線「武蔵小杉」駅より徒歩12分、JR 横須賀線「武蔵小杉」駅より徒歩15分、東急東横線・東急目黒線「武蔵小杉」駅より徒歩10分

TEL:044-711-4321

URL:http://www.hosei2.ed.jp

広野 新校舎の特徴を教えてください。

北詰 自慢の一つが図書館です。新校舎では、エントランスのすぐそばに図書館を置き、読書センター、学習センター、情報センターという三つの機能を持っています。読書の場として充実した蔵書があるだけでなく、館内には教室代わりに使えるスペースも整備し、さまざまな授業に活用しています。たとえば国語の授業で、自分で選んだ伝記を読み、その魅力を発表したり、社会の授業で時事的な社会問題をテーマに新聞を作ったり。資料の読解、分析、表現、共有のプロセスをすべて含んだ学びを実践する授業を展開できる場となっているのです。

 紙、デジタルの区別なく充実した情報に触れられるよう、パソコン教室も図書館に隣接しています。全教室にプロジェクターを備えているので、ここで作成したコンテンツは教室でも簡単に発表できるようになっています。

広野 まさにアクティブ・ラーニングのためのスペースですね。

北詰 「生徒がつくる図書館」というコンセプトも掲げており、図書委員が中心となって、ビブリオバトルなどのイベントも企画しています。これは、生徒がそれぞれ自分の思い入れのある本について対戦形式でアピールし、観客をより魅了したほうが勝ちというもの。文化祭でも迫力たっぷりのバトルが繰り広げられていて本当に感心しました。

 さらに、こうした生徒たちの取り組みをきちんとサポートできるように、教員に司書教諭免許の取得を奨励しています。専任の司書教員もいますが、加えて、それぞれ専門の分野(教科)を持った教員にも司書教諭資格を持たせたほうが、生徒にさまざまな可能性を提示できると考えたのです。免許取得に補助を出した結果、現在では20人近くの教員が司書教諭資格を取得しており、彼らが委員会を結成して、さらなる図書館の活用方法を検討しているところです。

中学のカリキュラム(2019年度入学者)
区分テーマ第1学年第2学年第3学年教科合計
国語自ら学ぶ力、言葉、表現を学ぶ54514
社会自ら調べ、考え、表現する力を習得34411
数学「数学が好き」という生徒を育てる55414
理科実験・実習から自然の本質を知る34411
音楽豊かな表現力を獲得する2114
美術発想力と表現力、美術の楽しさを知る2114
保健体育心技体のバランスを整える43310
技術・家庭生活と関連づける2215
外国語総合的な英語力の基礎を身につける56617
数学定着1週間単位で授業の総まとめを行う112
英語定着1週間単位で授業の総まとめを行う1113
総合的な学習の時間各教科の学びを総合化する※11
ホーム
ルーム
道徳1113
特別活動1113
総時間数343434102

※「総合的な学習の時間」については、表中の時間数とは別に各学年とも週2時間分を集中的に実施する
※各学年2時間(週当たり)のホームルームのうち1時間は「道徳」に、他の1時間は「特別活動」に充当する

外観写真2

Profile法政大学第二中・高等学校

所在地:〒211-0031 神奈川県川崎市中原区木月大町6-1

JR 南武線「武蔵小杉」駅より徒歩12分、JR 横須賀線「武蔵小杉」駅より徒歩15分、東急東横線・東急目黒線「武蔵小杉」駅より徒歩10分

TEL:044-711-4321

URL:http://www.hosei2.ed.jp

18年8月号 この人に聞く
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