受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

この人に聞く

中等教育学校に一本化で新時代へ多様性を尊重し協働性を磨く
新しい教育の舞台が始動

 これまで中学校(男子部、女子部)と中等教育学校の3校に分かれていた桐蔭学園が、2019年度から共学化する中等教育学校に一本化されます。この新しい環境のなかで、バランスの良い知性を磨く「アクティブラーニング型授業」、主体的に学ぶ力を育む「探究」、社会で自分を生かす道を見つける「キャリア教育」を3本柱にした新しい教育がいよいよ始動。その狙いと特色を校長の岡田直哉先生に伺いました。

桐蔭学園中等教育学校
校長 岡田 直哉先生

全員参加の語学研修など
多彩なグローバルプログラム

サピックス小学部教育情報センター部長広野 雅明
サピックス小学部
教育情報センター部長
広野 雅明

広野 いよいよ来年度から、共学化する中等教育学校に一本化されますね。まず、その狙いを教えてください。

岡田 一本化によって6年間の一貫教育体制が確固としたものになり、カリキュラムの自由度も高まります。男女が協力し合う現代社会の状況を踏まえ、これからの社会で求められる多様性を尊重する精神や協働性を、よりしっかりと育てたいと考えています。

広野 小学部からの内部進学生は、中等教育学校にどのように接続されますか。

岡田 基本的には1年次から混合します。ただ、英語だけは内部進学生のほうが進んでいるので、最初の1年間は授業クラスを分ける予定です。

広野 2020年度から大学入試も大きく変わります。英語4技能を伸ばすための対応についての準備はいかがでしょうか。

岡田 すべての学年で4技能の習得を意識した授業を始めています。1~3年次の英語の授業は週6コマで、そのうち1コマは少人数クラスで行うネイティブ教員の授業です。通常授業でも最初の10分間はリスニングの時間を設けています。英検®対策にも力を入れており、3年次終了までに全員が準2級以上の取得をめざしています。本校では全員にタブレットを貸与しているので、英語学習アプリなどを使って、各自が英検®対策に取り組んでいます。

広野 英語力を活用する機会にはどのようなものがありますか。

岡田 さまざまな体験型のグローバルプログラムを展開しています。なかでも最大の行事が、3年の春休みに2週間実施する、クラーク(フィリピン)での全員参加の語学研修です。3年間で身につけてきた英語4技能のパフォーマンスを、ここで存分に発揮してほしいと考えています。

広野 留学制度などはあるのでしょうか。

岡田 アメリカ、ニュージーランドを中心とした短・中・長期の留学プログラムを用意しています。提携校への留学であれば、帰国後は留年することなくスムーズに進級できるようになっています。また、校内でもさまざまなグローバル体験ができるように工夫しています。放課後、気軽に立ち寄って、オールイングリッシュでネイティブの教員や友だちとコミュニケーションが取れる交流スペース「グローバルラウンジ」を設けているのもその一例です。カラフルなインテリアを施した楽しい空間です。

みずから考える力を育む
実践型の教育

外観写真1

Profile桐蔭学園中等教育学校

所在地:〒225-8502 神奈川県横浜市青葉区鉄町1614

小田急線「柿生」駅、同「新百合ヶ丘」駅、東急田園都市線「あざみ野」「市が尾」「青葉台」各駅よりバス

TEL:045-971-1411

URL:http://toin.ac.jp 別ウィンドウが開きます。

広野 桐蔭の特色の一つである理数教育について教えてください。

岡田 これまでの理数教育を重視してきた伝統を生かし、新しい中等教育学校でも力を入れていきます。特にプログラミング、バイオ、ロボットの3分野には重点的に取り組みたいと考えています。人工知能(AI)社会の到来に向け、プログラミングやロボットの仕組みを理解することはますます重要になっています。こうした最新技術の可能性と限界を知ることは、テクノロジーを盲信せずに活用するために欠かせません。そのためのスキルの基礎を身につけてほしいと考えています。

広野 理数系の授業にはどんな特色がありますか。

岡田 理科では、現象と理論を結びつけて理解してもらえるよう実験を重視しています。また、各教室に備えたプロジェクターと手元のタブレットをフル活用し、映像を駆使した授業を行っています。数学でも、小テストに加え、タブレットを使った学習を積極的に行います。教員との双方向のやり取りが活発になるだけでなく、学習履歴が蓄積されるので、それを生かして、きめ細かい指導ができるようになりました。

広野 数学は女子が苦手としがちですが、そうしたフォローも課題ですね。

岡田 性差というより個人差にしっかり向き合いながら、ていねいにフォローすることが大切だと考えています。そのため数年前から個別学習支援として、土曜日の午後に、卒業生による個別指導の時間を設けています。これは大きな成果を挙げています。

広野 アクティブラーニング型授業を実践されていますが、生徒たちの雰囲気はいかがですか。

岡田 「アクティブラーニング型授業」「探究」「キャリア教育」はわたしたちの教育の3本柱です。まず、アクティブラーニングに関しては、全授業の20%以上に導入することを目安としています。本校のアクティブラーニング型授業の特色は「個→協働→個」というサイクルを重視すること。最初に一人ひとりが何を学ぶかを確認し、グループワークやペアワークといった協働を通じて理解を深め、最後に一人ひとりが学びの成果を確認する。そのプロセスを繰り返すのです。特定の生徒が話すだけで終わらないよう、たとえば議論担当、メモ担当、発表担当といった具合に役割分担を決め、やりっ放しにならないように、全員に「ふり返りシート」を記入させるなどしています。

広野 ていねいな指導ですね。進路選択については、どのようにサポートされていますか。

岡田 「自分の内面を知り、社会を知り、その関連を知ったうえで進路を選択してほしい」。そんな思いから、さまざまなキャリア教育の取り組みを行っています。中学生のうちから多彩なキャリア講座を展開するほか、4年次では「ジョブシャドウイング」という取り組みを行います。文字どおり、社会人に影のように付き従う体験です。いわゆる「職業体験」ではなく、社会人の行動やマインドを追体験することに重きを置いた内容です。こうした体験を通じて、表面的な「仕事」だけでなく、「人生」に思いを馳せてほしいのです。もちろん、そのための事前学習もしっかり行います。こうした経験を踏まえ、4年次の終わりに文系・理系を選択します。新しい中等教育学校では私立型の科目選択はなくなり、全員が国公立型になります。

広野 次に「探究」について教えてください。

岡田 主体的な学びのスキルを身につけるためのプログラムです。ハイライトは、3年次で1年間にわたって取り組む「15歳のグローバルチャレンジ」です。生徒全員が国連大使として活動するという内容で、生徒はそれぞれ自分の担当する国を決め、その国にまつわる研究テーマを選び、データを調べ、研究をまとめ、発表や討論に挑みます。現在、中等教育学校には「模擬国連部」があります。2007年に発足した比較的新しいクラブですが、ニューヨークの国連本部で行われる世界大会に何度も出場するなど驚異的な実績を残しています。この成果を全生徒に広めようと考えて、このプログラムをスタートさせました。この活動に先駆けて、1・2年次には、課題設定や情報収集、整理やアウトプットの方法を繰り返し学びます。

イメージ01 ネイティブの教員や友だちとコミュニケーションが取れる交流スペース「グローバルラウンジ」を開設(写真は高校のもの)

イメージ02 吹き抜けで明るい光が差し込む食堂

外観写真2

Profile桐蔭学園中等教育学校

所在地:〒225-8502 神奈川県横浜市青葉区鉄町1614

小田急線「柿生」駅、同「新百合ヶ丘」駅、東急田園都市線「あざみ野」「市が尾」「青葉台」各駅よりバス

TEL:045-971-1411

URL:http://toin.ac.jp 別ウィンドウが開きます。

18年10月号 この人に聞く①
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