受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

この人に聞く

国際理解教育を推進して10年グローバル社会に必要な学力と人格を
「教養主義」の下で磨く6年間

 東京都立立川国際中等教育学校は、グローバル社会で活躍する人材を育成するために必要な国際理解教育を推進する都立の中高一貫校です。海外からの帰国生や在京外国人の受け入れも積極的に行っており、さまざまな国や地域をバックグラウンドに持つ生徒たちがそろう国際色豊かな環境が魅力です。毎日、どのような教育が展開されているのでしょうか。英語を中心としたカリキュラムや今後の構想について、校長の幸田諭昭先生にお話を伺いました。

東京都立立川国際中等教育学校
校長 幸田 諭昭先生

文系・理系のクラス分けをせず、
リーダーに必要な教養を深める

サピックス小学部教育情報センター部長広野 雅明
サピックス小学部
教育情報センター部長
広野 雅明

広野 都立の中等教育学校として、国際理解教育に力を入れている貴校に魅力を感じている受験生も多いと思います。まずは沿革からお話しいただけますか。

幸田 本校は、都立で唯一の国際中等教育学校として2008年4月に開校しました。「国際社会に貢献できるリーダーとなるために必要な学業を修め、人格を陶冶する」を教育目標に、海外帰国生や在京外国人の受け入れを積極的に行いながら、未来のグローバルリーダーの育成に努めています。目黒区駒場の都立国際高等学校と比較されますが、国際高校が「国際学科」であるのに対して、本校はあくまで「普通科」である点が異なります。普通科の進学校として、学習指導要領にのっとったカリキュラムの下、国際理解教育を推進しています。

 特徴的なのは、「教養主義」を掲げているところです。6年間、クラスを文系・理系に分けることなく、どの教科もまんべんなく学びます。6年次は科目選択制になるため、志望している大学によって時間割が大きく異なりますが、5年次までは全員が同じカリキュラムです。文系科目も理系科目も等しく学ぶことで、教養を深め、自分の可能性を広げてほしいと考えています。

広野 国公立大学受験の可能性を最後まで保持できるのと同時に、そこで学んだ知識は社会に出てからも大きく役立ちそうですね。帰国生や在京外国人の生徒たちはどのくらい在籍しているのですか。

幸田 1学年約160名のうち、帰国生は約30名、在京外国人は1~2名です。帰国生が滞在していた国としては、アメリカが若干多いですね。一般生も含めると、居住経験のある国はヨーロッパ、中東、東南アジアなど、全部で30か国以上になります。さまざまなバックグラウンドを持った生徒がそろっているわけです。

広野 日本の学校生活に慣れるのが大変な生徒さんもいるのではないですか。

幸田 なかには6年以上を海外で過ごしてきた子もいます。そういった生徒は、初めは日本の生活そのものに慣れない様子ですが、一般生と一緒に学校生活を過ごすなかで次第になじんでいきます。後期課程になると、誰が帰国生なのかわからなくなるくらいです。

 学習面では、国語や数学に苦手意識を持つ傾向があるので、1・2年生の段階で、その2教科を中心に取り出し授業を実施しています。つまずきが解消されたら通常授業に戻るというような形で、柔軟にフォローしています。

アクティブ・ラーニングで
みずから考える力を養う

外観写真1

Profile東京都立立川国際中等教育学校

所在地:〒190-0012 東京都立川市曙町3-29-37

JR中央線「立川」駅、多摩都市モノレール「立川北」駅より徒歩18分

TEL:042-524-3903

URL:http://www.tachikawachuto-e.metro.tokyo.jp 別ウィンドウが開きます。

広野 気になる英語ですが、どのような授業が行われているのでしょうか。

幸田 入学してしばらくは、帰国生と一般生の力の差が大きいので、両者を分けて授業を行っています。さらに、一般生のなかでも習熟度別にクラスを分けて、多展開授業を実施しています。1年生は週に5時間で、そのうち2時間はチームティーチングによる授業です。ネイティブの教員を交えながら、プレゼンテーションや「Show&Tell」(展示と説明)など、発信型のコミュニケーション能力を養成しています。ネイティブの教員は5人おり、都内の公立校としてはトップクラスの人数です。

広野 一般生のなかには授業についていけるか不安な生徒さんも多いと思います。

幸田 万全のフォロー体制を敷いているので、心配はありません。毎日小テストを課し、理解が不十分と思われる生徒には、取り出し授業や指名制の補習を行うなど、一人ひとりの力に合わせた指導を実施しています。卒業するまでに英検®準1級に合格することを目標に、一般生も帰国生もがんばっています。

広野 第二外国語の授業もありますね。

幸田 5・6年生を対象に、フランス語、中国語、ドイツ語の3か国語を自由選択科目として設置しています。加えてスペイン語も設けていますが、こちらは部活動という位置づけなので、3年生も選択できるのが特徴です。これらの授業では、机をコの字型に配置し、教員と生徒がざっくばらんに話をする形で進めています。先日、授業見学をした際、生徒たちが想像以上に流ちょうに話していたので驚きました。過去にそれらのことばを使う地域で生活していた生徒もいるので、そうした子たちの存在も良い刺激になっているようです。

広野 一方で、貴校の適性検査の内容を拝見しますと、文章を書かせる問題が多く、国語力が重視されている印象を受けます。国語の授業についてはいかがですか。

幸田 国語はすべての学習の基盤となる教科なので、グループワークを取り入れながら、自分で考え、自分のことばで発表することに重きを置いて授業を進めています。また、前期課程から古典も教えていますが、前期課程の生徒には、まだ理解しづらい部分があるのも事実です。そこで本校では、授業と連動して百人一首への取り組みを行っています。毎年2月に都内の公立中高一貫校対抗の百人一首大会があるので、それを目標に生徒たちも学習に励んでいます。

広野 ゲーム感覚で古文に慣れ親しむと、その後の学習がスムーズに進みそうですね。数学や理科に関してはいかがですか。

幸田 数学では、私立の中高一貫校でも多く使われている『体系数学』という教科書を使い、6年生の1学期には数Ⅲが終わるよう前倒しでカリキュラムを進めています。心がけているのは、生徒に苦手意識を持たせないこと。英語と同じく習熟度別授業を行うことで、置き去りになる生徒をつくらないよう配慮しています。また、グループごとに解法を考え、発表するような機会を用意しています。

 理科においては、前期課程では実験を積極的に取り入れ、興味や関心の喚起を図っています。実験後は、教員の作ったワークシートに結果をまとめ、仮説の設定から振り返りまでのサイクルをしっかり身につけるよう指導しています。

広野 どの教科もアクティブ・ラーニングを取り入れた授業を展開されていますね。みずから考え、発信する姿勢を重視されていることがよく伝わってきます。

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所在地:〒190-0012 東京都立川市曙町3-29-37

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18年10月号 この人に聞く②
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