受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

この人に聞く

21世紀型教育を追求する6年間社会へ、世界へ羽ばたくために
12のコンピテンシーを鍛える

 校名変更と共学化から5年目を迎えた三田国際学園中学校・高等学校。中学入試での志願者が年々増えるなど、人気を集める理由は「世界標準」の教育にあります。「五つの力を伸ばし、12のコンピテンシー(能力・行動特性)を身につける」という21世紀型教育は、社会での活躍を最終目標にしています。今春、中学校にもメディカルサイエンステクノロジークラスが誕生するなど、ますます進化する同校の教育について、学園長の大橋清貫先生にお聞きしました。

三田国際学園中学校・高等学校
学園長
大橋 清貫先生

「世界標準」の教育で
変化の時代に活躍をめざす

サピックス小学部 教育情報センター部長 広野 雅明
サピックス小学部
教育情報センター部長
広野 雅明

広野 2015年に三田国際学園中学校・高等学校となって、今年で5年目ですね。

大橋 中学校から入学した1期生が現在、高2になりました。スタート当初からわたしたちが取り組んできたのは、生徒がみずから考え、チャレンジする21世紀型教育、「世界標準」の教育です。変化の激しい時代にあって、生徒たちには社会で活躍できるだけの〝武器〟を持たせたいと考えています。

広野 「世界標準」の教育とは、具体的にはどのようなものですか。

大橋 これからの時代に不可欠な「考える力」「英語」「サイエンスリテラシー」「コミュニケーション」「ICTリテラシー」という五つの力を伸ばす教育です。英語なら、英語で考え、意思の疎通ができるようにすることを目標に掲げています。コミュニケーション力は生きていくうえで必須の能力ですし、サイエンスリテラシーとICTリテラシーは、この時代ならではのスキルとして重視しています。これらに加えて、自分で考える力を育てることが、21世紀型の教育であり、「世界標準」の教育だと考えています。

広野 自分で考えるということはとても大事ですね。何から何まで教えてしまうと、そのときはわかったつもりでも、後には何も残りません。大学受験だけではなく、社会に出た後で活躍できる力をつける教育が大切ですね。

大橋 五つの力に加え、さらに12のコンピテンシー(能力・行動特性)を掲げて、社会で活躍する人に共通する資質を高めています。12のうち、最も大事にしているのが、自分たちで考え、ディスカッションして、何かをつくっていくという"Co-Creation(共創)"です。一人で学ぶだけでなく、他者と共に学ぶことに意味があります。自分とはまったく違う考え方をする人がいる、この先に学ぶことがあったんだと理解したときに、学びの天井を突き抜けます。そこからが伸びしろなのです。

 創造性やリーダーシップも次の時代を生きていくには必須のものです。授業ではもちろん、それ以外でもさまざまな教育シーンを活用して力を伸ばしています。たとえば、小学生のときにはいちばん後ろの席で、引っ込み思案だった子も、本校に来れば前に出て手を挙げ、みんなを引っ張ろうとするようになります。保護者の方は文化祭などでその様子を見て非常に感動しますね。

広野 その辺りが保護者の方に評価されているとともに、志願者が増える理由にもなっているのですね。

大橋 本校は、社会に出てから活躍することを重視しており、そのコンピテンシーを鍛えていくことに主眼を置いています。まず、生徒には教えられたこと、教科書に出ていることはしっかり理解し、対応できるようにしないといけないと話しています。唯一の正解に対応できなければ、その先はありません。それに加えて、教えてもらっていない、教科書に載っていないことをやってみようとする、自分で考えてみる、そしてそれを自分の意見としてまとめる。こういったことにチャレンジしていくことが21世紀型教育だと考えています。

相互通行型授業で
「なぜ?」を考える

外観写真2

Profile三田国際学園中学校・高等学校
(MITA International School)

所在地:〒158-0097 東京都世田谷区用賀2-16-1

東急田園都市線「用賀」駅より徒歩5分、小田急線「成城学園前」駅よりバス

TEL:03-3707-5676

URL:www.mita-is.ed.jp 別ウィンドウが開きます。

広野 授業にはどんな特徴がありますか。

大橋 「共創」の考え方をもとに、インプットした知識で社会的な課題を解決していくアクティブ・ラーニングが中心です。本校では相互通行型授業と呼んでいますが、教員が問い掛けをして、生徒が自分の意見を述べたり、グループディスカッションをしたり、グループで一つの答えを導いたりするのが特徴です。

 相互通行型授業でいちばん大切なのが、教員が最初に投げ掛けるトリガークエスチョンです。これは生徒の興味・関心、探究心や主体性を引き出す「引き金」で、ここから学びがスタートします。これまで5年間の研修をやってきていますから、本校の教員はアクティブ・ラーニングに非常に自信を持っています。

広野 中1の授業を拝見させてもらいましたが、みんな本当に楽しそうですね。グループワークをしたり、プレゼンテーションをしたり、一斉授業ではないからでしょうか、入学してまだ1か月ほどとは思えませんでした。

大橋 ICT教育にも力を入れています。生徒全員がiPadを持ち、コミュニケーションを拡張させたり、自分の考えや思考を飛躍させたり、プログラミングを通じてクリエーションしていく力を伸ばしたりしています。基礎学力の定着のために、朝学習ではAI(人工知能)を活用した確認テストも実施しています。

広野 機器を使いこなすためのICT教育ではないのですね。

大橋 機器はあくまでもツールです。言語教育も重視していますが、英語もツールとして扱い、大学受験対策だけではなく、英語で考えることを目標にしています。早い段階から「読む・書く・聞く・話す」の4技能を磨いていますが、英語の授業数の6~7割がネイティブスピーカーの教員と日本人教員のチームティーチングなので、必然的に話す機会や聞く機会は多くなります。また、世界を見通す力や論理的な思考力を鍛えるために、理科では週に1~2回は実験をしてサイエンスリテラシーを磨いています。

広野 勉強と学力の関係として、ためてきたものが急に〝開花〟することがよくあります。貴校ではさまざまなブレイクスルーのきっかけを用意しているのですね。

大橋 生徒が変わっていく瞬間を教室で何度も見てきました。たとえば、本校の理科の教員は、「理科を学ぶ作法」を重視しています。最初はわからなくても、「なぜ?」「不思議だな」と思ったことを「こうではないか」と考えるプロセスを大切にすることで、理科が好きではなかった生徒も変わっていくのです。

イメージ03「疑問→仮説→実験→考察」といった論理的思考のプロセスを意識しながら進められる理科実験

広野 理科を知識教科という感覚でとらえると、おもしろくないですね。「なぜそうなるのか」を考える授業の意味は大きいと思います。サピックスの理科の教材も数年がかりでつくり直して、自分の手で書かせるものにしました。授業も実験を取り入れたり、大きな写真を使ったりというものに変えたところ、理科が好きになった生徒が増えました。いちばん楽しいところなんですね。

大橋 教員には常々、教科書の内容にとらわれなくていいと言っています。天井を取り外すと、生徒は大きく成長し、化けていくのです。

広野 限界を決めてはいけないのですね。従来の20世紀型教育では、生徒は先生を超えられません。お互いに伸び合うことが大切だと思います。

外観写真2

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(MITA International School)

所在地:〒158-0097 東京都世田谷区用賀2-16-1

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19年7月号 この人に聞く②
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