受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

この人に聞く

2022年4月に開校 グローバル・リーダーの育成をめざす
千葉県初の公立中等教育学校

 2022年4月、千葉県初の公立中等教育学校として千葉市立稲毛国際中等教育学校が開校します。現在の市立稲毛高等学校・附属中学校が再編され、6年完全一貫教育によって、次世代社会を支えるグローバル・リーダーを育てるとの方針が示されています。「国際」「グローバル」がキーワードの新しい学校として、どのような教育を展開するのでしょうか。同校校長で、来春、中等教育学校校長に就任する伊澤浩二先生にお話を伺いました。

千葉市立稲毛国際中等教育学校
(千葉市立稲毛高等学校・附属中学校)

校長 伊澤 浩二 先生

教育効果を高めるため
6年完全一貫校に転換

サピックス小学部 教育情報センター部長 広野 雅明サピックス小学部
教育情報センター部長
広野 雅明

広野 来年4月、千葉市立稲毛国際中等教育学校が開校します。市立稲毛高等学校・附属中学校が再編されるのですね。

伊澤 現在の千葉市立稲毛高等学校は1979年に開校し、今年43年目を迎えました。附属中は2007年に開校。ここから中高一貫教育が始まりました。今、これを評価すると非常に成功していると考えています。教育はなかなか数値では測れませんが、一つの側面として進学実績が挙げられると思います。中学校からの入学者(定員80名)について、過去5年間の累計で見ると、東京大学3名、一橋大学6名、東京工業大学5名、地元の千葉大学に38名など、卒業生388名のうち98名が国公立大学に合格。早稲田大学82名、慶應義塾大学17名など、最難関の私立大学にも多数の合格者を出しています。

 中等教育学校となって生徒全員が一貫教育を受けるようになれば、実績はさらに上向くでしょう。また、中学と高校とで分断されないので、教育内容の重複がなくなるほか、部活動も6年間継続することができます。こうした一貫教育の効果を高めるため、稲毛高校・附属中学校は稲毛国際中等教育学校への転換を図ります。

質・量とも充実した授業で
ハイレベルな英語力を養う

広野 千葉県で初の公立中等教育学校ということで、多くの方の期待を集めています。どのような学校になるのでしょうか。

伊澤 めざす学校像として「地域・世界・未来を切り拓くグローバル・リーダーの育成」を掲げています。社会の在り方が劇的に変化するなか、今求められているのは主体的に考え、責任を持って行動し、他者と協働できる人材です。予測不可能な時代にあって、高い志を持ち、幅広い教養を身につけ、未来を切り拓いていくリーダーになる生徒を育てたいと考えています。

広野 具体的に、どのような教育が行われるのでしょうか。

伊澤 グローバル・リーダーをめざすには、まず英語力が不可欠です。そのため、英語の学習時間を非常に多くしています。中学校に当たる前期課程では、英語の授業を1年次は週6時間、2年次は週5時間、3年次は週6時間確保します。標準的な中学校では各学年週4時間が目安で、3年間の合計は420時間ですが、本校は595時間と約1.4倍です。さらにクラスを分割して20名という少人数で授業を受けてもらうので、基礎からしっかりと学ぶことができます。6名のネイティブ教員によるオールイングリッシュの授業も前期課程から行っていきます。

広野 質・量ともに充実した英語の授業が受けられるのですね。

伊澤 6年間しっかりと勉強してもらい、卒業時には全員がCEFRのB2レベル、英検®でいえば準1級を取得できるくらいの実力を持てるよう指導していきます。アメリカ、カナダ、オーストラリアへの海外語学研修も予定しており、海外でも思う存分力を試してもらいたいと考えています。

広野 国際教育にも力を入れるのですね。

伊澤 これまでも先の3か国の姉妹校などに本校の生徒を派遣したり、先方の生徒を本校で受け入れたりして、国際教育に積極的に取り組んできました。保護者による育友会(PTA)にも国際交流委員会があり、ホストファミリー向けの情報を発信するなど、生徒のご家庭の協力も得ています。これまでのこうした取り組みも活用しながら国際教育をさらに充実させ、「使える英語」を6年間で身につけさせたいと思います。現在は新型コロナの影響から海外語学研修はできていませんが、海外の学校とのオンラインでの交流は続けています。また、千葉大学の留学生を招いての交流も行っています。

数学の学習時間も多く確保
基礎学力を徹底して鍛える

広野 英語教育や国際教育の充実ぶりがよくわかります。ほかにはどんな特色がありますか。

伊澤 論理的な思考力を身につけるために、数学の学習にも力を入れます。今の社会で起きているさまざまな課題に対応するには、従来の文系・理系の枠を超えた幅広い知見が必要になるので、数学を学ぶことも重要です。そのため、数学の授業も週5時間にします。前期課程3年間では525時間になります。標準的な中学校が420時間ですから、数学もかなり多く学習できるカリキュラムになっています。さらに、英語と同様、1クラス20名の少人数制でていねいな指導を行います。

広野 文系だから数学は不要という考えはもう通用しないですね。論理的な思考をするためには大切ですし、大学で経済・経営系の学部・学科に進む場合も、数学の知識は必須です。

イメージ01中庭をぐるりと囲むように教室が配置されています

伊澤 科学技術が進歩するなかで、いわゆる文系と理系の思考がうまく交わる必要があると考えています。前期課程ではとにかく英語・数学、そして国語の学習をしっかりやっていきます。

広野 国語は勉強しても伸びないと考える人もいますが、そんなことはありません。前期課程の3年間で力をつけることは非常に有効ですね。英語嫌い、数学嫌い、国語嫌いは中学で決まりがちですから、その間のモチベーションをいかに上げるかが大事です。前期課程からしっかり学習すれば、その先の選択肢も広がると思います。

伊澤 授業の進度は速いですし、家庭でもしっかり学習してほしいので、課題も多くなると思います。本校の英語科の職員が「量が質になる」と言っていましたが、確かに理があると思います。

広野 しっかり勉強させる環境になりそうですね。

伊澤 附属中には意欲の高い生徒がとても多いです。中等教育学校でも、将来は科学の最先端に立ちたい、芸術の分野で活躍したい、ジャーナリズムの世界へ進みたいなどといった、さまざまな夢を持つ生徒たちが切磋琢磨できるような環境をつくっていきたいと思います。

イメージ02約5万冊の蔵書のある図書館。2023年以降に改修される予定です

広野 いろいろな方向に進む生徒がいる環境で育ったことは、どの生徒にとっても財産になりますからね。

伊澤 プレゼンテーション力も鍛えていきます。最初は苦手な生徒もいるでしょうが、経験を重ねることで力はつきます。いろいろな方法で自分を表現できるようになってもらいたいと考えています。

広野 高校に当たる後期課程の3年間では、どのように学んでいくのですか。

伊澤 単位制を導入し、多様な講座を設定します。生徒一人ひとりの興味・関心に応じた深い学びができるよう、また、文系・理系の枠を超えた幅広い教養が身につくよう工夫しました。6年間なら、前半の4年間で基礎力・応用力を育み、後半の2年間で学びたいことを学ぶという、一貫教育の利点を最大限に生かしたカリキュラムにもなっています。

広野 後期課程では、第二外国語がカリキュラムに入っていますね。

伊澤 5年次・6年次で選択科目として、中国語・ドイツ語・フランス語の授業を置いています。週2時間の授業があり、どの言語もネイティブ教員が授業を担当します。

広野 英語以外の言語を学ぶと、英語の理解も深まるといわれます。楽しみですね。後期課程では、大学受験を見据えた講習や補習なども行われるのでしょうか。

伊澤 実施する予定です。ただ、自分で考えて努力することも重要なので、学校が拘束しすぎるのもよくないと考えています。

広野 いくら知識を与えても消化しきれないと伸びません。授業がかなり充実しているので、学校で学んだことをベースに、自分で復習をして力をつけていくのがいちばん良いと思います。

伊澤 6年間の学校での学習だけで、志望する大学に合格できる力をつけていきたいと考えています。一方で、途中でつまずいたり、一時的に意欲を失ったりするときもあるかもしれません。そうしたフォローもしっかりしていきたいと思います。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

21年12月号 この人に聞く
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