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油だけを吸い取る素材が大活躍
2020年7月、インド洋の島国、モーリシャスの南東沖で、日本の海運会社が手配した貨物船が浅瀬に乗り上げる事故が発生しました。船の燃料タンクに亀裂が入り、約1000トンもの重油が流れ出てしまいました。そこは、さまざまな生き物がたくさんすんでいるとても貴重な場所。絶滅危惧種もいます。こうした生き物の命を守るために、早急に油を取り除くことが求められました。
*絶滅危惧種:一匹もいなくなる恐れがある生き物のこと。
これがマジックファイバー。日本で開発された優れもので、「ナノファイバー」という、とても細い繊維が集まってできている。

繊維どうしがうまくからみ合っていて、表面の隙間がとても狭いので、水だけをはじくんだ。
水の粒は丸くなる性質があるため、細かい溝には入り込めない。一方、油は丸い粒にはならないので、吸い取られるというわけ。
これが油だけを吸い取っている様子。すごいね!
*20グラムのシート1枚で、1リットルの油を吸い取ることができます。しかも、一度吸い取った油を垂らさず、シートの中に保ち続けることができる。
マジックファイバーは油のみを吸い取り、水をはじくため、水中に沈むことはない。だから、回収するのも簡単。
これがモーリシャスのマングローブ林で使われ、実際に重油を吸い取ったもの。真っ黒で油がびっしり!

マジックファイバーの活躍もあり、油はだいたい取り除けたようだよ。けれども、サンゴ礁や、根が入り組むマングローブ林から油を完全に取り除くことはできないという報告もある。人間が一度汚してしまった自然を、元の姿に戻すことは簡単ではないね。
写真提供/エム・テックス株式会社、モーリシャス緊急救援プロジェクト
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