受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

サピックスecoクラブ 世界のえこ事情

サピックスecoクラブ 世界のえこ事情 第18回/エゾシマくん・キョクさん


密猟によって奪われる命


アフリカ大陸の最南端にある南アフリカ共和国は、広大な国土に豊かな自然があり、金やダイヤモンドなどの天然資源に恵まれています。内陸部には国立公園や自然保護区が数多くあり、野生の生き物を間近で見られるサファリ体験が人気で、観光資源となっています。今回は、そんな野生の王国、南アフリカ共和国の野生生物「ビッグ5」の一つ、サイの今についてのお話です。



キョクさん 今回はサイの話だよ。

エゾシマくん サイって?
キョクさん 角があって、厚くて硬い皮膚におおわれている大型のほ乳類さ。まるでよろいをまとっているみたいにね。
エゾシマくん ふうん。
キョクさん アフリカ南部にいるサイは、絶滅寸前まで減ってしまったものの、長年守り続けたことで2万頭(*1)にまで回復させた歴史がある。けれど今、再び命の危機にさらされているんだ。
エゾシマくん どうして?
キョクさん 手に負えないほど、角をねらった乱獲が増え続けているって話さ。角を取るだけならまだしも(*2)、サイを殺してから角を取っているんだ。
エゾシマくん ええーっ!
キョクさん 特に、野生のサイが最も多くすむといわれている南アフリカ共和国では、ここ数年で1年間当たり1000頭を超えるサイが殺されているんだって。

南アフリカ共和国で
 1年間に殺されているサイの数

出典/TRAFFIC

エゾシマくん サイの角ってそんなに価値があるの?
キョクさん 主にアジアで彫刻やアクセサリーの材料になる。それから、がんやリウマチをはじめ、さまざまな病気に効く薬になると信じられている。だから、高値で売れるんだ。
エゾシマくん そうなんだ…。
キョクさん けれど、サイの角は、ワシントン条約で国際的な売り買いは行ってはいけない決まりになっている。それでも、金よりも高値で売れるとあって、決まりを破ってこっそり猟をするんだ。それを「密猟」っていうんだよ。
エゾシマくん 何とかならないの!?
キョクさん 南アフリカ共和国政府は、サイがいる国立公園や保護区などにレンジャー(自然保護官)を派遣して、見張りを強化しているけれど、密猟は取り締まりが追いつかないほど勢いが増しているんだ。
エゾシマくん う〜、どうすればいいんだ。
キョクさん そもそも、どうしてサイの角を密猟するかという点で考えてみてよ。
エゾシマくん 高値で売れるからだよね…。そうか、買う人がたくさんいるからか。
キョクさん そう。買う人がいなくなればもうからないから、密猟をする人もだんだん少なくなるはずなんだ。
エゾシマくん なるほど。
キョクさん だから、各国がサイの角を使った製品の違法な輸入や使用を取り締まるなど、国際的な協力がもっと必要だよね。ちなみに日本では、サイの角を使った製品を見ることは、ほぼなくなっているよ。
エゾシマくん 多くの人にサイの現状を知ってもらうのもいいかもね!

ビッグ5

 ヒョウ、バッファロー(水牛)、ライオン、ゾウ、サイのことで、かつて狩りをするときに、最も危険で手強い動物と考えられていたことからついた名前といわれる。今では、南アフリカ共和国の紙幣のデザインとしても使われるほど、国を代表する動物になっている。


ワシントン条約

 絶滅の恐れのある野生の生き物を守るために、その生き物そのもの、またはそのからだを材料とした製品の国際的な取引を制限する取り決め。

サイの角の国際取引解禁を求める声も

 2016年9〜10月に第17回ワシントン条約締約国会議が南アフリカ共和国で開かれたよ。この会議では、南アフリカ共和国の隣の国スワジランドが、条件付きでサイの角の国際取引を再開し、角の売り上げをサイの保護のための費用にすることを提案したんだ。しかし、その提案には、「取引を認めれば、サイの角を欲しがる人も増えて、密猟はなくならない」など反対する国が多く、否決されたよ。だから、今後もサイの国際取引禁止は続くんだ。

*1 WWFホームページより
*2 サイの角は爪と同じで切ってもまた生えてくる

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