受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

サピックスecoクラブ 世界のえこ事情

サピックスecoクラブ 世界のえこ事情 第20回/エゾシマくん・キョクさん


日本人の知恵で生き返る大地

アフガニスタンという国は、国土のほとんどが雨の少ない乾燥した山地です。山の雪解け水が川へ流れ出しているため、その水を使った農業が盛んで、かつては100%近い(*1食料自給率を誇る農業国だったといいます。今回は、そんなアフガニスタンで起きている自然災害と、緑豊かな大地を取り戻すための取り組みについてのお話です。 *1 JICAホームページより



キョクさん ねぇ、ねぇ。アフガニスタンという国を知ってるかい?

エゾシマくん ん~、知らない。どんな国なの?
キョクさん 西アジアに位置する農業国。ニンジンの原産国なんだよ。
エゾシマくん へえ~。のんびりした国なんだろうね。
キョクさん ところがそうでもないんだ。長く続く紛争に悩まされている一方、2000年ごろからはたびたび自然災害に襲われているんだ。
エゾシマくん どんな自然災害?
キョクさん 一つは、干ばつだよ。長い間、雨が降らなかったり、雨の量が少なかったりしたために起こる水不足のことさ。
エゾシマくん 水不足かぁ。
キョクさん 干ばつで、特に深刻な被害を受けているのが、中小の川沿いなんだ。
エゾシマくん どうして?
キョクさん 大きな川沿いに比べると、水が豊富にあるわけではないから、そういうところでは地下水路をつくって、水を手に入れていたんだ。しかし、干ばつによって、地下水が枯れるようになってしまった。
エゾシマくん 地下水が枯れるほど…。
キョクさん 一方、大きな川沿いでは、初夏になって気温が上がると、山の雪解け水が一気に川に押し寄せて大洪水になり、多くの農地が被害を受けるという問題が起きている。
エゾシマくん 干ばつに洪水…。心配だね。
キョクさん 農業用の水どころか、きれいな飲み水を手に入れることさえ難しくなってしまったってわけさ。
エゾシマくん うぅ…。
キョクさん そんなアフガニスタンの大地に緑を取り戻そうと活動している日本人グループがいるよ。
エゾシマくん そうなの?
キョクさん そのグループのリーダーで医師でもある中村哲さんは、水不足の地域に、大きな川から水を引き入れる用水路をつくれば、緑が豊かになり、そこで再び農業もできるようになるのではないかと考えたんだ。
エゾシマくん おぉ!
キョクさん 水路づくりには、江戸時代に完成した技術を取り入れているんだって。

▲じゃかご(上)とヤナギ(下)の様子

エゾシマくん どんな技術?
キョクさん 「じゃかご」という金網のかごに石を詰め込んだものを並べて水路の壁をつくるんだ。
エゾシマくん ほほー!
キョクさん さらに、じゃかごの上に土のう(布袋の中に土を詰めたもの)を積んで、そのすきまにヤナギを植える。
エゾシマくん どうして?
キョクさん ヤナギは、水を求めて、石の間に根を張るんだ。だから、金網が古くなり、切れる頃には、根がしっかり石を支えているってわけ。
エゾシマくん へえ! でも、どうして昔からの技術を取り入れたの?
キョクさん 金網と石は、現地で手に入れやすい。それに、水路が壊れたときに、現地の人が簡単に修理できるでしょ。
エゾシマくん そういうことか!
キョクさん 中村さんたちのグループは、2003年から7年かけて、長さ25.5キロの用水路を完成させたんだよ。
エゾシマくん おぉ〜!
キョクさん 今では、小麦やトウモロコシのほかに、ニンジン、ジャガイモ、ダイコンなど、さまざまな作物が収穫できるようになったんだって。
エゾシマくん 水の大切さが実感できるね。
キョクさん 中村さんたちは、今もアフガニスタンの別の場所で、農業用の水路をつくる活動を、現地の人たちと一緒に続けているよ。
エゾシマくん これからの活動にも目が離せないね。

食料自給率

食べ物は、国内で作られているものと、外国から入ってきたものとに分けることができるよ。自給率とは、食べ物全体のうち、どのくらい国内で作っているかを示す割合のことだよ。

写真出典/ペシャワール会

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