受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

サピックスecoクラブ 世界のえこ事情

サピックスecoクラブ 世界のえこ事情 第21回/エゾシマくん・キョクさん


サケ輸出大国の抱える問題

南アメリカ大陸の太平洋側にあるチリは、南北に細長い形をしています。海岸周辺はペンギンの繁殖地となっているほか、さまざまな海洋生物が生きている自然が豊かな国です。今回は、そんなチリ南部で盛んに行われているサケの養殖業が直面している、海の汚れについてのお話です。



キョクさん ねえ、エゾシマくんは、お寿司でいちばん好きなネタは何?

エゾシマくん ぼく、お寿司は食べないよ。
キョクさん そうか。ぼくは、表面を少し焼いたサーモンが大好物なんだ。
エゾシマくん へぇ〜。サーモンってサケのことでしょ。
キョクさん うん。日本のお寿司屋さんやお店でたくさん売られているけれど、ここ数年、そのなかに海外から輸入されたものが増えているんだって。
エゾシマくん ほえぇ〜。

サケ・マスの国内生産量と輸入量の推移

出典/東京税関HP「サケ・マスの輸入」より


サケの養殖の様子

キョクさん 日本に輸入されてくるサケのなかでも、最も多いのがチリ産の養殖サケ。
エゾシマくん 養殖って?
キョクさん 魚介類を人工的に育てることさ。チリは、古くから漁業で生活している人が多いけれど、サケの養殖業も盛んに行われているんだ。
エゾシマくん そうなんだ。
キョクさん チリの産業として、とても大事なサケ養殖だけれど、2016年に大変な出来事があったんだ。
エゾシマくん なになに?
キョクさん 大規模な赤潮が発生して、養殖されていた2000万匹以上のサケが死んでしまったんだって。
エゾシマくん あ、あかしお??
キョクさん 赤潮は、生活排水や工業排水などによって海水中の窒素やリンが増えると、それを栄養とする植物プランクトンが異常に増えて、海水面が赤く染まるほどになることさ。海水温が高くなるとより発生しやすくなるんだ。


※自然の状態よりも栄養が多すぎること


チリの海岸に大量に打ち上げられた魚

エゾシマくん 海にそんなことが起こるなんて知らなかった…。
キョクさん プランクトンが大発生すると、その死がいが分解されるときに酸素がたくさん使われて海水中の酸素が少なくなる。すると、魚が大量に死んでしまうことがあるんだ。プランクトンがえらに張り付き、呼吸ができなくなって死んでしまう魚もいる。
エゾシマくん そんなに深刻なことになるんだね。
キョクさん しかも、今回の赤潮で死んでいるのは、養殖サケだけではない。チリ周辺にいる魚貝類、クラゲ、海鳥、ほ乳類など、たくさんの海洋生物も「被害者」だ。
エゾシマくん そんな〜。
キョクさん その原因は、エルニーニョ現象だろうといわれているけれど、詳しいことはまだよくわかっていないんだ。
エゾシマくん うぅ…。
キョクさん 地元では、サケ養殖によって海底に積もるサケのふん、食べ残された餌、サケが病気にならないための薬などによる海の汚れが原因ではないか、という声も上がっているんだって。
エゾシマくん どうにか原因をつきとめてほしいけれど…。
キョクさん 赤潮対策に生かせるように、今年からチリの海水調査が行われるようなので、今後の動きに注目だね。

エルニーニョ現象

南アメリカのペルー沖から太平洋の中央までの広い海域で、海面の温度がいつもより高くなる状態が半年以上続く現象。東から西へ吹く風(貿易風)がいつもより弱くなって、太平洋の西側にあるあたたかい海水が東へ広がるので、いつもは冷たいペルー沖の海水があたたかくなるんだ。日本付近の気候にも影響するといわれているよ。

エルニーニョ現象のとき

普通のとき

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