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  • 18年1月号 サピックスecoクラブ 世界のえこ事情 第24回

サピックスecoクラブ 世界のえこ事情

サピックスecoクラブ 世界のえこ事情 第24回/エゾシマくん・キョクさん


インド

南アジアにあるインドは、日本の約9倍の広さがあり、人口はおよそ13億人。米や小麦の栽培が盛んな、世界有数の穀物生産国です。また、糸の原料となる「ワタ」という植物を昔から作っています。今回は、インドの綿花農家で働く人たちが抱える問題についてのお話です。



キョクさん エゾシマくんは、糸車って知っているかい?

エゾシマくん 知ってるよ! 糸を紡ぐ(繊維を引き出して、よりをかけて糸にする)ための道具でしょ。
キョクさん そうそう。今は、ほとんどの糸が機械で作られているけれど、糸といえば昔は、糸車で紡ぐことが当たり前だったんだよね。インド人は、中東から伝わった糸車を改良して、軽い力で糸を紡げるようにしたんだ。それ以降、糸作りが格段に早くて楽になったんだって。
エゾシマくん インドの糸って何からできているの? インドの糸車「チャルカ」

キョクさん 羊毛や麻からも糸はできるけれど、主にワタの実である綿花を紡いで糸にしていたんだよ。インドのワタは、小規模な農家で作られていて、実った綿花と種を手作業でとり、その種を翌年の畑にまくという方法が昔から行われていたのだけれど、手間の割に、収穫量は少なかったんだ。
エゾシマくん えぇ、そうなんだ…。
キョクさん そこで、1960年ごろから綿花の収穫量が多い外国産の種や化学肥料、農薬を使うようになった。
エゾシマくん 収穫量は増えたの?

世界の綿花生産量ランキング(2014年)

キョクさん あぁ、増えたさ。おかげで、生産量も世界トップ。もちろん輸出はされているけれど、インド国内で使う分も多い。
エゾシマくん ほぉー!
キョクさん ところが、いいことばかりではない。たとえば、その綿花を育てるときに欠かせないのが害虫退治。これを怠ると綿花がだめになってしまうため、農薬を使うんだ。しかし、きちんとした知識がなく、農薬を決められた量より多く使ったり、マスクや防護服を着けずに使ったりして、めまいやひどい吐き気など、体調不良に悩まされるようになった。 軽装で農薬をまく様子

エゾシマくん うーむ。
キョクさん そこで、登場したのが遺伝子を人工的に組み換えた新しい品種の綿花。ワタ自身が殺虫成分を作り出し、害虫を退治できるので、農薬をまく量をぐっと減らすことができるってわけ。
エゾシマくん それはすごい技術だね!
キョクさん 成果を上げている一方で、問題も起きている。この綿花の種は値段が高いし、実から種をとることが禁止されていて、毎年買わなければならない。日照りで綿花がうまく育たないと、借金だけが残ることもあるし、それに、害虫を抑える効果がうまく出ないと訴える人もいるよ。
エゾシマくん そうなんだ…。
キョクさん そんななか、農薬に頼らない綿花作りを行う農家も出てきた。
エゾシマくん 農薬に頼らないって、害虫は大丈夫なの?
キョクさん たとえば、牛のふん。牛のふんをこしたものに数種類の野草を擦りつぶして混ぜてまくと、虫よけになるらしい。
エゾシマくん ふんに、そんな使い道があるんだね!
キョクさん ほかには綿花畑の近くに、害虫の天敵を集めるための作物を育てておいて、綿花畑に害虫が発生したときに天敵が害虫を食べてくれるようにしておくという方法もある。
エゾシマくん おぉ! 「虫には虫を」ってことだね!
キョクさん ただし、こうした農法は、通常の綿花と比べて収穫量が少ないっていうのが課題だけどね。
エゾシマくん なかなか難しいんだなぁ。
キョクさん インドの綿花農家にとって、どうするのがいちばんいいのか、見つけるにはもう少し時間がかかりそうだよ。

遺伝子

生き物の設計図のようなもの。地球上のすべての生き物が「遺伝子」を持っている。

遺伝子組み換え

ある生き物の遺伝子に別の遺伝子を組み込むことで、ある特定の性質を持たせるようにすること。遺伝子組み換え作物には、殺虫成分を作り出すことができるものや、除草剤をまいても枯れないもの、栄養価が高いものなどがある。

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