受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

No.97

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は時間の単位のお話です。1時間は60分で、1日は24時間です。なぜ時間は10や100ではなく、60や24という、一見中途半端に思われる数で区切られているのでしょうか。

時間はなぜ60進法なの?

60は使いやすく便利な数

ひかるくん 算数の授業に時計と時間のことを習ったよ。それで不思議に思ったんだけど、なぜ1時間は60分で、100分ではないのかなあ。
えりちゃん そうね。1メートルは100センチメートル、1キログラムは1000グラムというように、10とか100とか1000ずつ単位が変わるのが普通なのにね。
ピグマ博士 この単位のように、10ごとに桁が繰り上がっていく数え方を10進法というよ。ところが、時間の場合は60秒が1分、120秒が2分というように、60ずつ繰り上がっていくよね。こういう数え方を60進法というよ。60進法は今から4000年くらい前、バビロニアという今のイラクの南の地域に住んでいた人たちが考えたといわれている。それがヨーロッパに伝わって天文学で広く使われ、時間にも使われるようになったんだ。
さやかちゃん ふーん。でも、どうして60なの?
ピグマ博士 大きな理由として考えられるのは、60が使いやすい数だからだよ。60は1でも2でも3でも4でも5でも6でも割り切れるし、さらに10でも12でも15でも20でも30でも60でも割り切れる。とても分割しやすい数なんだ。では、100はというと?
えりちゃん 2で割れるけど、3がだめで、4と5は割れる。6、7、8、9はだめ。意外に少ないのね。
げんちゃん でも、分けられるってことが大事なの?
ピグマ博士 たとえば、とれた獲物や農作物を、みんなに平等に分けるようなとき、分割しやすい数を基準にすると便利だよね。時間だって1日の長さを分けたもの。1時間が60分って便利だと思わないかい?
げんちゃん そういえば作文を発表するとき、「1時間あるから12人が発表するなら1人5分ね」って先生が言ってたっけ。
ひかるくん 10人だったら1人6分、15人だとしたら1人4分。確かに便利だね。

1日を24時間に決めたわけ

えりちゃん 60は納得したわ。でも、1日は24時間。これは10時間とか20時間にすればいいじゃない? なぜ1日を24時間にしたの?
ピグマ博士 それは1年という周期に関係しているといわれているよ。まず、古代の人たちは、新月が満ちて満月になり、満月が欠けて再び新月になるまで約30日かかることを理解して、それを1か月とした。さらにそれが12回繰り返されると、ほぼ同じ季節がやってくることを経験から知っていたんだ。だから12はとても大事な数だったんだよ。時間についても、そうした経験や考え方を利用して、1日の昼と夜の長さをそれぞれ12時間ずつとして、区切って計るようにしていったんだ。
さやかちゃん 昼の12時間と夜の12時間で24時間ね。
ピグマ博士 針で時刻を表すアナログ時計も、時間を示す「時針」は1周12時間。これもとても合理的なんだ。というのも、1周360度が12分割、つまり30度間隔で分けられているから、数字を配置するのも簡単だし、時刻もぱっと見てすぐにわかる。いちばん上が0時(12時)で、その真下が6時、右側90度の位置に3時があって、その反対側には9時があるよね。これが1日を20時間として、1周10時間の時計を作るとしたら、10個の目盛りを付けるのは簡単じゃないよ。
えりちゃん 丸いケーキを10個に切り分けるのが難しいのと同じね。
げんちゃん 「グーッ!」。急にケーキの話をするから、腹時計が鳴っちゃったじゃないか。
ピグマ博士 それはげんちゃんだけ(笑)。円周は半径の長さで切り分けると、ほぼ正確に6等分できるんだ。それを半分ずつに分けたら12。だから、1日を昼と夜、12時間ずつの24時間としているのは、この点からもとても合理的なんだよ。
さやかちゃん ほとんどのことは、10進法のほうが便利だと思っていたけど、そうとは限らないのね。
ピグマ博士 昔ながらの日本家屋や着物の寸法などに使われている尺貫法とか、アメリカやイギリスで長さの単位として使われるフィートやインチなども、10進法ではないよ。そういう単位もだんだん使われなくなってきたけど、時間が60進法を使い続けているのは、それだけ便利だからだろうね。

■保護者の方へ

 10進法はもともと、両手の10本の指で数を数えたことから発達したといわれています。一方、太陰太陽暦を採用していた古代メソポタミアでは、12が重要な数でした。月の朔望(満ち欠け)周期の回数である約29.5日を12倍すると、1年の長さに近くなるからです。60はその10でも12でも割り切れる数として大きな意味を持ちます。加えて小数がなかった時代、約数が多い60は、余りを出さずに割れる数として重宝されました。60という数の便利さと天文学的な意味が結びついて発達した60進法。何千年の時を経た今なお、世界中の時計が60進法で時を表示しているのは驚くべきことかもしれません。6月10日は「時の記念日」です。日本で初めて時計が時の鐘を鳴らしたこの日を機に、時間にかかわる数の不思議を調べてみませんか。

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