受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

No.117

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は「うま味」のお話です。だしなどに含まれるうま味は料理をおいしくするのに欠かせない味。とはいえ、甘味や塩味のようなはっきりした味はありません。うま味とはどんな味なのでしょうか。

うま味ってどんな味?

「うま味=おいしさ」ではない!?

げんちゃん もうすぐお正月だね。ごちそうがたくさん食べられるから楽しみだなあ。 げんちゃんいらすと
さやかちゃん わたし、お母さんとおせち料理を作るよ。ちゃんとコンブやかつお節で「だし」を取るところから作るんだって。
げんちゃん そもそも、だしってどういうものなの?
ピグマはかせ だしは料理の味を良くする「うま味」のもとだよ。おみそ汁だって、だしが入っているからおいしいんだよ。だしがみそのおいしさをさらに引き出しているんだ。
ひかるくん うま味ってよく聞くけど、要するに、おいしさのことだよね?
ピグマはかせ そう思うかもしれないけど、ちょっと違うんだ。甘味(甘い)、塩味(しょっぱい)、酸味(酸っぱい)、苦味(苦い)、そしてうま味(うまい)の五つは、人間の舌で感じられる基本的な味といわれ、ほかの味を混ぜ合わせても作ることができない味として、国際的に認められているんだ。
ひかるくん 「甘い」「しょっぱい」「酸っぱい」とかならよくわかるけど、うまいって、どんな味なんだろう? ひかるくんイラスト
ピグマはかせ はっきりした味ではないよ。たとえば、だしを取るために、乾燥したコンブを水に浸して、しばらく置いてからその水を飲んでみると、水にコンブのうま味成分が溶け出て、普通の水とは違うまろやかな味がすると思うよ。
えりちゃん うま味って、コンブにしかない味なの?
ピグマはかせ コンブのうま味成分はグルタミン酸というアミノ酸の一種。アミノ酸とはたんぱく質を作るもとになっている物質だよ。グルタミン酸は野菜や肉、魚などいろいろな食品に含まれているよ。トマトは特にグルタミン酸が豊富で、煮込み料理やケチャップにして利用されているよね。
 一方、イノシン酸といううま味成分をたくさん含んでいるのがかつお節。肉や魚にも含まれているよ。それから干したキノコ、特にシイタケは、グアニル酸といううま味成分を含んでいる。このグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸の三つがうま味成分の代表だよ。
さやかちゃん うま味は、いろいろな食べ物に含まれているのね。

日本人が発見した「うま味」

ピグマはかせ しょうゆや、みそも、うま味成分が多いよ。この二つは主にダイズから作られるよね。発酵によってダイズのたんぱく質が分解されることで、グルタミン酸が増えるんだ。ハムやチーズも製造過程でグルタミン酸が増えるので、うま味成分が多いよ。
 また中国の豆板醤、タイのナンプラー、イギリス生まれのウスターソースなどの調味料も発酵によって作られるので、うま味成分がたっぷり入っているよ。
さやかちゃん お料理の作り方によく出ている「うま味調味料」っていうのは何なの? さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ グルタミン酸やイノシン酸などのうま味成分を使って作られた調味料だよ。実は、初めて作られたのは日本なんだ。それまでは甘味、塩味、酸味、苦味の四つが基本的な味とされていたんだ。そこにうま味が加わったのは、日本人の働きが大きいんだよ。明治時代の終わりごろ、化学者の池田菊苗博士は、コンブだしの正体がグルタミン酸であることを発見して、それを「うま味」と名付けたんだ。そこからグルタミン酸を使った「うま味調味料」が作られるようになったんだ。
えりちゃん うま味は日本人が発見したのね。 えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 欧米では長い間、うま味という味があることに気づかなかったんだよ。食材をじっくり煮込んで、しっかり味付けをする料理が多いので、素材そのものが持っているうま味が隠れてしまうんだ。日本では素材の味を生かす調理法が多いので、食材にうま味があることに気づきやすかったんだね。今ではうま味は世界的に認められて、「umami」が国際語として外国の辞書にも載っているよ。
げんちゃん へえー。うま味は英語でも「ウマミ」なんだ。すごいね。

■保護者の方へ

 ユネスコの無形文化遺産に登録された和食。健康志向の高まりとともに世界的に注目されている和食のうま味ですが、うま味物質成分があるのはコンブやかつお節だけではありません。だしを取るための食材は地域によってさまざまです。欧米や中国では、肉、魚、野菜を何時間も煮込んでブイヨン、フォン、湯(タン)などを作ります。これに対し、日本のコンブだしは乾燥コンブを水につけて作ります。これは日本でコンブがたくさんとれるだけでなく、日本の水が、食材のうま味が溶け出しやすい軟水であることとも関係しています。世界各地でどんなだしが使われているのか、その背景を知ると、地理的条件や気候、特産物、歴史的要素なども関係していることがわかり、食の奥深さが感じられます。

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