受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

No.117

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は「声」のお話です。わたしたちはふだん当たり前のように声を出していますが、考えてみれば不思議です。声はどのようにして出るのでしょうか。また人によって声が違うのはなぜなのでしょうか。

なぜ声は一人ひとり違うの?

吐く息がつくる振動が声のもと

げんちゃん 今日、国語の時間にみんなの前で音読したら、先生に「よく通る、いい声だね」ってほめられちゃった。 げんちゃんイラスト
さやかちゃん げんちゃん、声が大きいもんね。
ひかるくん いい声を出すには「腹式呼吸がいい」と、先生が言っていたよ。胸じゃなく、おなかを使って呼吸をするんだよ。息を吸いながらおなかを膨らませて、息を吐きながらおなかをへこませるんだ。
えりちゃん ふーん。声って呼吸と関係があるんだ。
ピグマはかせ 声は呼吸をすることによって出るんだよ。喉の奥には「声帯」という、開閉する左右1対の「ひだ」の部分があって、肺から息を吐くとき、息が声帯を通ってひだを震わせて音を出すんだ。声を出しながら喉を触ってごらん。振動しているのがわかるはずだよ。
ひかるくん どれどれ。あっ、本当だ。ぶるぶると細かく振動しているね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 声帯のひだは気管の左右にあって、ひだとひだの間の隙間を「声門」と呼ぶよ。声門は呼吸をしているだけのときは開いていて、声を出すときは閉じているんだけど、閉じた隙間を息が通り抜けると声帯が震えて、振動が音になるんだ。その振動音が喉や鼻、口などにある空洞部分で響き合って、はっきりした声になるんだよ。そういう空洞部分を「共鳴腔」というよ。そうやって響き合って生まれた声を舌や唇、顎などを使って、いろいろな音声にしているんだ。
ひかるくん ふだん何も考えないで声を出しているけど、知らないうちに、いろいろな部分が動いているんだね。

背が高い人は声が低い?

ピグマはかせ 声が高いか低いかは声帯の振動数によって決まるよ。振動数が多いと高い声に、少ないと低い声になるんだ。声帯の大きさは人によって違っていて、一般にほかの部分が同じなら、声帯が大きい人は小さい人より声が低いよ。管楽器や弦楽器では、大きい楽器のほうが低い音が出るだろう。それと同じだよ。
えりちゃん じゃあ、一人ひとり声が違うのは声帯の大きさが違うからなの? えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 声帯の形や大きさの違いのほかに、共鳴腔の形や大きさの違いも関係しているよ。例外もあるけど、普通は、そうした体の部分は身長が高い人ほど大きいので、身長が高い人ほど低い声が出るといわれているよ。発声にかかわる体の部分は、人によって形も大きさも少しずつ違うから、一人ひとり声の特徴が違うのは当たり前のことなんだ。特に顔の造りは声の違いと深い関係があるよ。顔が似ている人、たとえば双子は声も似ていることが多いでしょ。
げんちゃん ものまねが上手な人って声だけじゃなく、顔つきも似せようとするよね。そのほうが似せやすいからなのかなあ。
ピグマはかせ ものまねが上手な人は、声帯や共鳴にかかわる器官の筋肉を上手に動かし、舌や歯、顎などの動きも工夫しているそうだよ。歌っているときの顔つきを似せれば、口の中の空間の使い方も似せられるよね。
さやかちゃん そういえば親子でも声が似ていることがあるわ。おばあちゃんの家に電話をすると、おばあちゃんか、おばさんか区別がつかないことがあるもの。 さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ それは顔の骨格などが似ているからというだけじゃなく、環境のせいだとも考えられるよ。子どもは赤ちゃんのときから親の声を聞いて育つから、自然に親と同じ声の出し方になることもあるんだ。どこの、どんなことばを使うかによっても声は違ってくるよ。たとえば、日本語と英語とでは息の使い方が違うので、日本人と英語圏の国の人とでは、声の質が違うといわれるよ。
ひかるくん 声には生まれつきではない部分もあるってことだね。
ピグマはかせ そうだよ。いろいろな要素が絡み合って、その人だけの声になるんだ。

■保護者の方へ

 声は人によって高低、強弱などがありますが、最も大きく異なるのは音色です。それは声帯や共鳴腔(鼻腔、口腔など)の形や大きさといった先天的な個人差以外に、そうした器官を、どのように使うかによっても変わります。使い方については、生育環境、生活習慣、使用言語、社会の価値観など、後天的な要素が大きく関係しているといわれます。声の個人差を活用した技術研究として、たとえば声紋分析による個人の特定や、音声認証による端末確認などがあり、これらは近年、大きな進歩を遂げましたが、こうした声の違いの背景を探る研究は、まだまだ発展途上の段階にあります。さまざまな方向からアプローチできる興味深いテーマといえるでしょう。

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