受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回はエアコンのお話です。暑い夏に欠かせないエアコンですが、どのようにして部屋を冷やしているのでしょうか。その仕組みを探ってみましょう。

どうしてエアコンから冷たい風が出てくるの?

「水をまくと涼しくなる」現象を利用

ひかるくん きょうも暑いね。エアコンがないとやってられないよ。
さやかちゃん 本当だね。でもエアコンって、どうやって部屋を冷やしているのかしら。電気を使ってものを温めるならわかる気がするけど、電気でどうやってものが冷やせるのか不思議だわ。 さやかちゃんイラスト
げんちゃん 冷蔵庫もそうだよね。ものを冷やすとしたら、冷たい水をかけるか、氷に触れさせるかしかない気がするけど。
ピグマはかせ 確かに、水の力で空気を冷やしているエアコンもあるよ。冷水式エアコンといって、大きなビルなどで使われているんだ。でも、みんなの家にあるようなエアコンはそうではなく、高い圧力をかけて液体にした気体が、気体に戻るときに周りから吸収する「気化熱」というものを利用しているんだよ。
えりちゃん もっとくわしく教えて。 えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 液体が気体になることを「気化」というんだけど、そのときには周りから熱を奪うんだ。これが気化熱だよ。熱が奪われるわけだから、周りの空気は冷やされる。汗をかいたとき、少しして汗がひくと、ひんやりしてくるでしょ。汗が蒸発して気体になるときに、周囲から熱を奪うからひんやりするんだよ。また、夏の暑い日に、庭などに水をまいたことがないかい? あれは「打ち水」といって、まいた水が蒸発するときに周囲から熱を奪うから涼しくなるんだ。エアコンはこの原理を利用して部屋を冷やしているんだ。
さやかちゃん つまり、エアコンの中で水を蒸発させているってこと?
ピグマはかせ それに近いことがエアコンの内部では起こっているんだよ。

パイプの中を回る熱の運び屋さん

ピグマはかせ もう一つ覚えておいてほしいのは、液体や気体には、圧力を上げて収縮させると温度が上がり、圧力を下げて膨張させると温度が下がる性質があるってことだよ。この性質を使えば、熱を部屋の中から外に運ぶことができるんだ。 げんちゃんイラスト
げんちゃん なんか難しそうだね。
ピグマはかせ そんなに難しくはないよ。気化熱もそうだけど、エアコンには理科で習う原理がたくさん使われているよ。エアコンは部屋の中にある室内機と、部屋の外にある室外機の2台がセットになっているのは知っているよね。
ひかるくん 室外機は壁の外側にある機械だよね。中に扇風機のファンみたいなものがあって、エアコンをつけると温かい風がもわっと出てくるよね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ その温かい風の熱は、もともと部屋の中にあったものなんだよ。室内機と室外機はパイプでつながれていて、「冷媒」と呼ばれるガスがパイプの中をぐるぐる回っているんだ。圧力を変えて、この冷媒の温度を上げたり下げたりすることで、冷媒に接する空気の温度を変えているんだよ。
えりちゃん 冷媒が熱の運び屋さんってわけね。
ピグマはかせ そのとおり。まず室外機から室内機に入ってきた液体の冷媒は、圧力を下げることによって膨張して気体に変わるんだ。このとき気化熱として周りの空気から熱を吸収してくれるので、部屋の空気が冷たくなって涼しくなるんだよ。次に、熱をもらった冷媒はパイプを通って室外機に戻り、今度は室外機のコンプレッサー(圧縮機)で圧縮されて液体になるんだ。このとき部屋の中の空気から吸収した熱が外に排出され、冷媒は冷たい液体になって、また室内機に戻り、そこで気体になるんだよ。この繰り返しで部屋の中を涼しくしているんだ。冷蔵庫がものを冷やす仕組みも同じだよ。冷蔵庫にも内部と外部をつなぐパイプがあって、その中を冷媒がぐるぐる回っているんだ。
ひかるくん エアコンも冷蔵庫も、冷媒という熱を運んでくれるものがあるから冷やすことができるんだね。電気の力でものを冷やす仕組みって、そういうことだったんだ。
ピグマはかせ 電気で冷やすというより、冷媒を圧縮したり、ファンを回したりするときに電気を使うんだよね。特に冷媒を液体にするには高い圧力が必要なので、エアコンは消費電力が大きいんだ。

保護者の方へ

 エアコンに欠かせない冷媒にはかつて、「特定フロン」が使われていました。その後、特定フロンがオゾン層を破壊することがわかったため、使用が禁止され、代わりに「代替フロン」が使われるようになりました。代替フロンにはいろいろな種類がありますが、主に使われているのはHFC(ハイドロフルオロカーボン)という物質です。これはオゾン層には影響を与えませんが、二酸化炭素よりはるかに強い温室効果ガスであり、地球温暖化をもたらすとして、昨年秋の国際会議で生産や消費の削減が決まっています。このため家庭用エアコンでは、より温室効果の少ない新しい冷媒も使われ始めています。化学や物理の原理から環境問題まで、身近な家電が教えてくれることはたくさんあります。

ページトップ このページTopへ