受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回はレトルト食品のお話です。「開けてすぐに食べることができる」「長期間保存ができる」など、非常に便利なレトルト食品。それはどのようにして作られるのでしょうか。

レトルト食品はどうやって作られるの?

長期保存の決め手は密封と殺菌

ピグマはかせ もうすぐ防災の日だけど、みんなの家ではちゃんと非常食を用意しているかい?
げんちゃん 用意しているよ。レトルトの五目ごはんとかカレーとか。温めるだけで食べられるから便利だよね。
えりちゃん うちはレトルトのおかゆがあるわ。災害のときは水道も使えなくなったりするから、水分が多いおかゆは水分補給もできて便利なんだって。
ひかるくん レトルト食品って、長く置いておいても腐らないけど、不思議だよね。
げんちゃん 本当にね。だいたい「レトルト」ってどういう意味なのかしら。 さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 「レトルト」というのは、圧力や熱を加えて殺菌処理をする「釜」のことだよ。水や空気を通さない特殊な袋やトレーなどに食品を入れて密封(パウチ)して、それに圧力や熱を加えて作られるのがレトルトパウチ食品だよ。略してただ「レトルト食品」ともいうんだ。圧力をかけて120度ぐらいの熱で殺菌処理をした後は、密封されているので新たに細菌が付く心配がなく、1年から2年、食品によっては5年ぐらい保存することもできるよ。
ひかるくん 缶詰も長い間保存できるけど、缶詰の作り方とは違うの? ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 缶詰やびん詰の食品も、密封容器に入れて熱を加え、殺菌して作るという意味では変わりないよ。びん詰食品は今から200年ぐらい前に誕生したよ。そのころフランスのナポレオン皇帝が、戦場で兵士が食べる保存食のアイデアを、懸賞金付きで募集したんだ。そのときに懸賞金をもらった人は、募集よりも前から保存食について研究していて、食品を空気に触れさせないでおくと腐りにくいことを知っていたんだ。そこから、食品をびんに詰めて熱を加え、殺菌して作るびん詰食品が作られるようになったんだよ。その後、びんより軽くて割れない缶を使った缶詰食品が多く作られるようになったんだ。
さやかちゃん 大切なのは空気に触れないことなのね。
ピグマはかせ そう。なぜかというと、空気には細菌がいるから。せっかく殺菌しても、その後で空気に触れたら、そこにいる細菌のはたらきで食品が腐ってしまう。レトルト食品も、「レトルトパウチ」と呼ばれる袋に入れるときは、袋の中の空気を追い出してから密封するんだよ。

家庭用レトルト第1号は日本のカレー

ピグマはかせ 缶詰に代わるものとしてレトルト食品が開発されたのは、アメリカの陸軍の研究所が最初だよ。やっぱり軍用の食品がきっかけなんだね。その後、1969年に、初めて月に人を送ったアポロ11号で宇宙食として使われたことで、レトルト食品が一般的に知られるようになったんだ。それまで宇宙食というと、チューブに入ったものが多かったんだけど、レトルト食品の登場で、地上とほとんど変わらないものを食べられるようになったんだ。 げんちゃんイラスト
ひかるくん 最初に宇宙食に使われたレトルト食品って、まさかカレーじゃないよね。
ピグマはかせ アポロ計画のときは牛肉とかポトフだったそうだよ。レトルトカレーは1968年に世界で初めて日本が開発したものだよ。発売されたばかりのころは、1年も2年も保存できるので、「保存料や殺菌剤をたくさん使っているのではないか」と誤解されたそうだよ。
えりちゃん 保存料は使ってないの? えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 密封してから熱を加えて殺菌するから、空気中にいる食品を腐らせる細菌に触れることはない。だから保存料を使う必要がないんだよ。日本初のレトルト食品が生まれてから約50年。今ではご飯類から麺類、おかず類、デザートなど何でもそろっていて、レストラン並みにおいしいものも多いよね。赤ちゃんの離乳食になるベビーフードとか、かむ力や飲み込む力が弱い人のための介護食にもレトルト食品は使われているよ。
げんちゃん おいしいよね、レトルト食品って。
ピグマはかせ おいしいって大事なことだよ。災害時は食べられれば何でもいいと思うかもしれないけど、そのときは体も心も弱っているはずだから、ふだんと変わらないおいしいものを食べることが大事なんだ。

保護者の方へ

 レトルト食品は、正式には「レトルトパウチ食品」といいます。「レトルトパウチ」とはレトルト食品を入れる袋のことで、外側に合成樹脂やアルミ箔をラミネート加工したフィルムを使うなどして、内部の食品が空気に触れないようにする工夫がなされています。内部の食品はすべて調理済みなので、温めなくても食べることができます。ただ動物性油脂を使ったものは温めるとその油が溶けるので、よりおいしく食べられます。また、最近では動物性油脂の代わりに植物性油脂を使った、温めなくてもおいしく食べられるものも登場しています。日本のレトルト食品は世界的に見ても、ほかに類を見ないほど種類が豊富で、しかも品質を保つ技術が高く安全。災害時のみならず、ふだんの食卓にもなくてはならない存在です。

ページトップ このページTopへ