受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回はギンナンのお話です。イチョウの葉が色づく季節。葉が落ちるころには木の下でギンナン拾いが楽しめます。でも困るのがあの独特のにおい。ギンナンはなぜ臭いのでしょうか。

ギンナンはなぜ臭いの?

ギンナンが実らないイチョウもある

げんちゃん 家の近くの神社でギンナンを拾ったよ。 さやかちゃんイラスト
さやかちゃん あそこの神社にはイチョウの木がたくさんあるものね。
えりちゃん でも、学校の隣の公園にもイチョウの木はあるけど、ギンナンが落ちているのは見たことがないわ。
げんちゃん 誰か早く来た人が拾っちゃうんじゃないの?
ひかるくん 駅前の大通りのイチョウもギンナンは落ちないよ。ギンナンができる木と、できない木があるのかな。
ピグマはかせ いいことに気がついたね。実は、イチョウの木には雄株と雌株の2種類があって、ギンナンが実るのは雌株だけだよ。イチョウは虫がつきにくく、大気汚染にも強いので、街路樹としてよく使われるけど、街路樹のイチョウは雄株が多いんだよ。 えりちゃんイラスト
さやかちゃん ふーん。雌株のほうが、ギンナンを食べられていいのにね。
えりちゃん 臭くなるからじゃないの? ギンナンが落ちているところって臭いもの。
ピグマはかせ そのとおり。ギンナンがたくさん道に落ちていると、そこを通りかかった車がスリップして危険だという理由もあるけど、においに対する苦情が多いんだ。それまで雌株だったイチョウの街路樹を、雄株に植え替えている市もあるくらいだよ。

臭いにおいは「近づくな!」のサイン

ひかるくん なんでギンナンって臭いんだろう。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 木の実は動物たちが好んで食べるけど、臭ければ食べないよね。いろいろな動物にギンナンを与える実験をしてみたところ、ニホンザルはにおいをかいだ途端、逃げ出したそうだよ。ギンナンはイチョウの果実ではなく種子。臭いのは、動物に食べられないようにして、イチョウが子孫を残せるようにするためだといわれているんだ。
げんちゃん ギンナンのにおいって、人間だけじゃなく、動物たちも嫌いなんだね。
ピグマはかせ ギンナンは、熟してくると「酪酸」という物質が出てくるんだ。これがにおいの原因だよ。酪酸はバターやチーズにも含まれているけど、ギンナンほど強烈なにおいはしないよね。
えりちゃん そういえばギンナンのにおいって、チーズに似ているかも。
ピグマはかせ 酪酸は哺乳類の大腸でも発生するので、そのにおいは、ふんのにおいにも含まれているんだ。人間もそうだけど、哺乳類はふんのにおいに敏感だから、そんなものを食べようとはしない。それから「ヘプタン酸」という物質もギンナンのにおいの原因といわれ、これは古い油にも含まれているよ。靴を脱いだときの足のにおいの原因も、この酪酸とヘプタン酸だそうだ。
さやかちゃん 足のにおいも嫌だよね。
ピグマはかせ 嫌なにおいを発して、食べられないように自分を守っている植物は意外に多いんだ。たとえば、こんにゃくの原料であるコンニャクイモ。その仲間の植物は、ほとんどが臭いんだ。一方で、特定の生物を引き寄せるにおいを放つコンニャクイモの仲間もあるよ。肉が腐ったような強烈な悪臭を発するんだけど、これは死んだ動物を食べる昆虫を集めるためだといわれているよ。昆虫たちに花粉を運んでもらおうとしているんだ。
ひかるくん 生きるために必要なにおいなんだね。
げんちゃん ギンナンは臭いっていうけど、茶わん蒸しに入れたギンナンはおいしいよね。臭いにおいもしないし。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ わたしたちが食べているのはギンナンの中央にある、養分がたくわえられた胚乳という部分。臭いのはぶよぶよとした外側の皮の部分なんだ。洗ってきれいに取り除いてしまえば臭くないよ。
さやかちゃん 焼いて食べてもおいしいよね。
ピグマはかせ おいしいからって、たくさん食べてはだめだよ。ギンナンにはビタミンの一種のはたらきを邪魔する物質が含まれているから、特に子どもは、食べ過ぎると中毒を起こす恐れがあるからね。それから、皮膚が弱い人はかぶれやすいので、拾いに行くときはビニール手袋を忘れずにね。

保護者の方へ

 イチョウは雌雄異株の裸子植物です。花が子房を作らないので果実はありません。ギンナンそのものは種子です。臭いがするのは外側の柔らかい珠皮外層の部分です。その内側の硬い殻の部分が珠皮中層。その内側に薄皮の珠皮内層があり、わたしたちが食用にしているのは、さらにその内側の胚乳と胚の部分です。なぜ人が、このような強烈なにおいがするものを食べるようになったかと考えると不思議ですね。
 そのイチョウですが、実は「野生絶滅種」に指定されています。現在見られるイチョウは、ほとんどが街路樹などとして、人為的に植えられたものばかりだからです。
 最近、街路樹のイチョウはギンナンが実らない雄株が多くなりましたが、イチョウの木を見かけたら、立ち止まってギンナンを探してみませんか。

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