受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は記憶のお話です。「この漢字、どう書くんだっけ?」「この計算、どうやるんだっけ?」というように、覚えたはずのことが出てこないのはよくあることです。人はなぜ忘れるのでしょうか。

なぜ人は覚えたことを忘れるの?

脳は忘れるようにできている

ひかるくん 今日の漢字テスト、ちゃんと習ったのに一つだけ思い出せなかったよ。悔しいなあ。なんで忘れちゃったんだろう。 ひかるくんイラスト
げんちゃん ぼくなんていつもだよ。算数だって、授業でやっているのに、テストになると解き方を忘れている。どんなことでも忘れずに記憶しておけたらいいのになあ。
ピグマはかせ 人間はコンピューターじゃないからね。もともと忘れるようにできているんだ。
えりちゃん えっ、どうして!?
ピグマはかせ みんなは毎日、たくさんのことを、見たり聞いたりしているよね。それを全部覚えていたら頭がパンクしちゃうよ。記憶って、覚えるだけでなく、必要なときに取り出すことが大切だよね。もし何でも詰め込んで頭がいっぱいになっていたら、必要なときに必要なものが取り出せなくなるよ。
げんちゃん そう言われればそうだね。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ だから、脳はパンクしないように、大事なことは覚えて、そうでないことは忘れるようにできているんだ。
ひかるくん 思い出せなかった漢字も、テストに出るから大事だって思っていたんだけどなあ。
ピグマはかせ たとえば新しい漢字を習う。それを忘れないよう頭に入れる。そして使いたいときに取り出す。記憶するには段階があるんだ。テストで漢字が書けなかったのは、忘れないように頭に入れることが、しっかりできていなかったのかもしれないね。

「復習が大事」にはわけがある

ピグマはかせ 記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があるんだ。短期記憶はすぐ忘れてしまう記憶で、長期記憶は長く覚えている記憶。たとえば、初めて会った人の名前は、その場では覚えていても、すぐに忘れてしまうよね。これが短期記憶。でもその後、何回もその人に会っていれば名前を覚えていられるよね、これが長期記憶だよ。何かを見たり聞いたりしたことはまず短期記憶として脳に送られ、それが重要だと判断されれば長期記憶になるんだ。
えりちゃん ふーん。だれが重要だって判断するの?自分が「この漢字は重要だ」「この人の名前は大切だ」って強く思えばそう判断されるの? えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 脳には「海馬」という部分があって、そこが記憶を管理するはたらきをしている。
さやかちゃん なんか動物の名前みたいね。
ピグマはかせ 海馬はタツノオトシゴのことで、形が似ているからそう呼ばれるようになったんだ。人の海馬は小指ぐらいの大きさで、そこにたくさんの神経細胞があって、記憶を管理するはたらきをしているんだ。新しく入ってきた情報は、いったん海馬に保管されて整理され、必要でないものはそのまま1か月ぐらいの間に消えてしまうといわれるよ。必要なものは脳の別の場所に移されて、長期記憶として貯蔵されるんだ。
えりちゃん 忘れないようにするには、長期記憶にすればいいのね。
ピグマはかせ そのとおり。それには、覚えるときに、「この情報は大事だよ」と海馬に意識させればいいんだよ。
さやかちゃん そんなこと、どうやってするの? さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 海馬が情報を判断する基準は、刺激の強さや回数だといわれているんだ。同じ情報でも何度も繰り返し入ってくれば、重要だと判断されて長期記憶の貯蔵庫に移されるんだよ。
ひかるくん じゃあ漢字だったら、繰り返し手を動かして書いたり、声を出して読んだりすればいいってことだね。
ピグマはかせ そうだよ。新しく覚えたことは、その日のうちに半分くらいは忘れてしまうといわれているよ。だから忘れないように、その日のうちに復習をして、その後1か月の間に繰り返し復習すれば、しっかり長期記憶として定着すると思うよ。
げんちゃん やっぱり習ったことは復習しないとだめなんだね。
さやかちゃん 明日、算数のテストがあるから、もう一度復習しておこうっと。
ピグマはかせ それがいいね。

保護者の方へ

 人間の脳は大きく「大脳」「小脳」「脳幹」の三つの部分に分けられます。最も奥にある「脳幹」は体温・呼吸・ホルモン調節といった生命維持に、後ろにある「小脳」は姿勢保持などにかかわるはたらきをします。最も大きい「大脳」は、ことば・記憶・思考などにかかわる外側の「大脳皮質」と、喜怒哀楽などの感情にかかわる中間部の「大脳辺縁系」に分けられます。「海馬」は大脳辺縁系にあり、五感から入った情報のなかから生命の存続に不可欠なものを取捨選択し、大脳皮質に送り込んで記憶として定着させます。このはたらきを利用して、繰り返し同じ情報を脳に送って海馬に重要な情報だと認識させ、記憶として定着させるために行うのが、反復学習です。見たり、聞いたりするだけでなく、漢字練習のように手を動かす、あるいは九九のように声に出すなど、体を使って覚えれば、脳がさらに活発に動き、記憶は定着しやすくなります。そんな五感をフル活用した家庭学習を、お子さんに勧めてはいかがでしょうか。

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