受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は焼き芋のお話です。煮ても、ふかしてもおいしいサツマイモ。特に焼き芋の甘さは格別です。なぜ焼き芋にすると甘さが増すのでしょうか。

サツマイモを焼くとなぜ甘くなるの?

甘くないデンプンが甘い糖に変わる!?

げんちゃん さっき焼き芋屋さんのトラックが来ていたから、おやつに買ってもらったんだ。甘くておいしかったなあ。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ 冬はサツマイモのおいしい季節だからね。サツマイモは秋にたくさんとれるけど、とれてから2か月くらい置いたもののほうがおいしいんだよ。
えりちゃん 家ではよく、サツマイモをふかしてくれるわ。ふかしたお芋も好きだけど、焼き芋はもっと好き。焼き芋のほうが甘いよね。
げんちゃん どうして焼き芋は甘いのかな。中に砂糖でも入れているのかなあ。
ひかるくん サツマイモの種類が違うんじゃないの?
ピグマはかせ サツマイモにはいろいろな品種があるから、売っている焼き芋は甘味の強い品種なんだとは思うよ。でも、品種に関係なく、サツマイモにはもともと、熱を加えると甘くなる性質があるんだよ。生のサツマイモにも果糖などの糖が含まれているけれど、熱を加えると別の種類の糖が増えて、甘さが際立ってくるんだ。
さやかちゃん どうして熱を加えると甘くなるの?
ピグマはかせ サツマイモには、デンプンがたくさん含まれているのは知っているかな。デンプン自体は甘くないけれど、熱を加えるとデンプンが分解されて麦芽糖という甘い糖ができるんだ。収穫されたばかりのサツマイモより、しばらくたったもののほうがおいしいのも、日数がたつにつれて、イモに含まれるデンプンが少しずつショ糖(砂糖の主な成分)に変わるからだよ。このことを「追熟」というんだ。
ひかるくん ジャガイモにもデンプンは多く含まれているよね。でもジャガイモはゆでたり焼いたりしても甘くならないよ。どうしてサツマイモは甘くなるの?
ピグマはかせ サツマイモには「βアミラーゼ」という、加熱されたデンプンを分解する酵素が含まれているからだよ。酵素とはいろいろな化学反応を助ける物質だよ。デンプンはブドウ糖という糖が鎖のようにたくさん結びついた構造をしていて、そのままでは甘くないけれど、鎖を切って細かく分解すると甘さが感じられるようになるんだ。その鎖を切るはたらきをするのがβアミラーゼで、鎖を切ってできた糖が麦芽糖だよ。麦芽糖をさらに分解すると、ブドウ糖になるんだ。

石焼き芋、おいしさの秘密は温度

さやかちゃん サツマイモはふかしたものより焼いたもののほうが甘くなるのは、どうしてなの? えりちゃんイラスト
ピグマはかせ それは熱の加え方に関係しているよ。βアミラーゼが最も活発にはたらくのは50~70度といわれているんだ。そのくらいの温度でじっくり時間をかけて熱を加えると、麦芽糖がたくさんできてより甘くなるんだ。電子レンジでもふかし芋は作れるけど、短時間で一気に熱を加えると、βアミラーゼがはたらかなくなってしまう。だから、あまり甘くはならないんだよ。
えりちゃん 電子レンジだと早くできて便利なようだけど、じっくり焼くのがいいのね。
ピグマはかせ 石焼き芋は、あらかじめ高温にしておいたたくさんの丸い小石の中にサツマイモを入れてじっくり焼くよね。石の熱がゆっくりイモに伝わるから、甘い焼き芋を作るには最適なんだ。
ひかるくん 石焼き芋がおいしい理由は、科学的に説明できるんだね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 昔は落ち葉でたき火をしたとき、よく焼き芋を作って食べたものだよ。落ち葉が燃えてできた灰は、ちょうど60度ぐらいになっているから、そこにサツマイモを入れて1時間ぐらい待つと、甘くておいしい焼き芋ができるんだ。
げんちゃん ぼくも食べてみたいなあ。
ピグマはかせ でも今は、条例でたき火を禁止しているところが多いから、キャンプ場のような特別な場所でないとできないんだ。もっとも電子レンジでも、加熱を「弱」にしてゆっくり作れば、おいしくできると思うよ。最近は、電子レンジでおいしい焼き芋が作れる焼き芋鍋もあるよね。
さやかちゃん みんな焼き芋が好きなのね。
ピグマはかせ 江戸時代には焼き芋のことを「八里半」とか「十三里」ともいったんだよ。「里」は昔の長さの単位。甘くて「味が栗(九里)に近い」というしゃれから、「八里半」といったり、「栗よりうまい」、つまり「九里四里うまい」から、九と四をたして「十三里」といったりしたわけだ。

加熱することで甘い麦芽糖が増える

保護者の方へ

 学校では、「アミラーゼ」は唾液の中に含まれる消化酵素として習います。消化酵素には、食べた物に含まれる栄養素を分解して、体に吸収しやすくするはたらきがあります。唾液のα(アルファ)アミラーゼは、加熱されていないデンプンにもはたらくのに対して、サツマイモのβ(ベータ)アミラーゼは加熱されたデンプンにしかはたらかないという違いがありますが、デンプンを麦芽糖に分解するのは同じです。デンプンをたくさん含むものといえばお米。ご飯をよく噛んでいると次第に甘さが増してくるのは、お米のデンプンが唾液のαアミラーゼによって麦芽糖に分解されるためです。
 サツマイモがおいしい季節です。サツマイモの甘さ比べの実験はご家庭でもできます。ゆでる、蒸す、グリルで焼く、電子レンジを使うなど、いろいろな加熱方法がありますが、お子さんと一緒に実験してみませんか。

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